DVDで十分? またまたご冗談を――「BDR-S05J」で始めるBlu-ray生活“BL憂いならパイオ”のワケ(1/2 ページ)

» 2010年04月28日 11時00分 公開
[瓜生聖,ITmedia]
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そろそろBlu-rayに移行する時期

PCで地デジチューナーを利用するときは再エンコードなしでコピー可能なBlu-ray Discドライブがあると安心だ

 「オリコン年間映像ランキング2009」の総合BD部門作品別売上枚数年間ランキングは、1位の「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(EVANGELION:1.11)」を始めとして、10位以内に「化物語」が3巻ランクインするなど、昨今のアニメーション作品に見るBlu-rayソフトの売上は目覚ましいものがある。

 アニメーションを好む人にはコレクター気質の人が多いと思われるが、手元に残しておくのであれば、なるべく高品質なものを求めるのは当然だ。アナログ放送の停波を控え、地デジの普及も本格化しつつあるが、HD放送の地デジ画質はDVDを上回る。つまり“番組放送後に販売されるDVDは地デジ放送時よりも画質が低い”ということになる。もちろん、制作面での本放送からの品質向上はあるものの、プラットフォームとしての限界はいかんともしがたいところだ。少なくとも有償パッケージに地デジと同等あるいはそれ以上の品質を求めたくなるのが人情だろう。

 また、地デジには厳重なコピーガードが盛り込まれており、その結果、画質と音質が向上する一方で“アナログ未満の使い勝手”も同時に背負ってしまった。当初は単体での販売さえ許されなかったPC用地デジチューナーは、今でこそかなり価格がこなれてきたものの、録画データをHDDに保存する限りにおいて、(iVDR-Sをのぞくと)PCとひもづけられた状態になる。つまり、録画したPCでしか再生できない。もしそのPCが故障してしまった場合には2度と観ることができなくなる可能性が高い。

 そこで唯一、録画したデバイス以外で劣化のないHD映像を再生できる安価なポータブルメディアがBlu-ray Discだ。家庭用のHDDレコーダーには、DVDへの高画質長時間録画をサポートしたものも増えているが、圧縮率を上げることで全体の容量を抑えるトランスコード処理が入るという点ではどの機器も変わらない。再圧縮による画そのものの品質、アルゴリズムのクセによる傾向などは、放送時のままとはなり得ない。

 一方、PC用のメディアとしてBlu-rayを見た場合にも大きなアドバンテージがある。1層で25Gバイトという大容量は、年々増加するデータのバックアップ用としても重宝する。HDDのクラッシュに備えてシステムドライブとデータドライブにパーティションを分割して利用しているユーザーも多いと思われるが、システムドライブのバックアップ用に25Gバイトの容量があればそれほど困ることはないはずだ。複数のOSをインストールしてマルチブート環境を構築し、それぞれをBD-RあるいはBD-REに定期的にバックアップを取るという運用も考えられる。また、昨今はBDメディアの入手性もかなりよくなってきた。そう、今こそBlu-ray Discドライブを導入してもいい時期だ。

Blu-ray Discドライブに求められるもの

 Blu-rayの最大の特徴は大容量にある。1層で25Gバイト、2層では50Gバイトに達する容量を使いこなすのは意外に大変かもしれない。DVD-R(1層)に容量いっぱいまで書き込む場合、仮に等倍だと約1時間かかる。もし、BD-R(1層)に同じ速度で書き込むとしたら実に5時間半を必要とする計算だ。これはさすがにげんなりするだろう。

 つまり、大容量であればあるほど、書き込み速度が向上しなければストレスがたまるということだ。そもそもBlu-rayの等倍速はDVDの約3.2倍速に相当するが、DVD-Rの5.3倍の容量があるBD-Rではそれでも(等倍速なら)1時間半程度はかかる。Blu-ray Discドライブを選ぶにあたって、書き込み速度は重視すべきポイントの1つだ。

 また、読み出しについても速度は重要だが、それ以上に重要なのがドライブの発する騒音・振動だろう。読み出し速度を高速化するためには回転数を上げる必要があるが、回転数を上げると今度は騒音の問題やメディアの偏芯(へんしん/重心のずれ)による影響が大きくなる。

 一般に高品質な国産メディアであれば偏芯は小さいものの、“後天的な理由”によって激しく偏芯している場合もある。例えば、テプラなどのラベルテープを張ったメディアはめずらしくないが、これは偏芯の原因になる。特にバックアップメディアなどは、データを焼いた後にラベルを張り、その後1度も再生させていない場合もあるはずだ。かといってラベルをはがすにしてもディスク破損の恐れがあるためおすすめできない。特にレーベルが記録媒体を兼ねているCD-Rの場合はなおさらだ。この場合、中心から反対側に同サイズのテープを張ることである程度は偏芯を軽減できるものの、ディスクの重量をさらに増すことになる。重量のあるディスクでは高速回転時にドライブにかかる負荷が大きくなってしまう。Blu-rayのタイトルは音質の良さも特徴の1つだが、いくらクリアで生音の再現性が高くても、ドライブそのものからノイズが発生していれば結局、原盤にノイズが乗っている状態と変わりない。

 以上のことから、Blu-ray Discドライブを選ぶときは、「書き込み速度」と「速度静音・低振動」の2点に特に気をつかうべきだ。もちろん、大容量ゆえにデータロストの影響は大きいため、エラーの少ない信頼性の高い書き込み性能というのは大前提になる。

「Blu-rayならパイオ」のワケ

「BDR-S05J」は、高い品質で定評のあるパイオニア製ドライブの中でも、BD-Rへの12倍速書き込みを実現したフラッグシップモデルだ

 そのような観点から見た場合の筆頭候補とされるのがパイオニア製ドライブだろう。中でもフラッグシップの「BDR-S05J」は、BD-R(1層・2層とも)書き込み最大12倍速に達するモデルだ。

 前述の通り、その大容量ゆえに高速性を求められるBlu-ray Discドライブだが、12倍速時にはドライブの回転速度は1万rpmに達する。これは現在広く利用されているHDD(5400rpm)の2倍近い速度だ。ポリカーボネートの円盤ではたゆんでしまうのも無理はない。また、読み出しでも回転数が上がれば騒音や振動は増加する。

 BDR-S05Jはこの問題をディスクの回転によって生じる風の力で解決している。天板部分にディスク共振スタビライザーと呼ばれる突起があり、これによって向きを変えられた風の力でたわみやすい外周部を押さえつける。風の利用はこれだけにとどまらず、筐体内部で発生した熱の放熱にも効果的に使われている。特にリテール品では風が跳ね返る天板後部にハニカム構造が採用されており、空間と強度を同時に確保している。BDR-S05Jでは、従来機のBDR-S03Jから基板を約3分の1に小型化しているが、これも筐体内部の空間を拡大し、より多くの空気の流量を確保することが狙いの1つだ。

ディスク共振スタビライザーの仕組み

 そこで実際に試してみたところ、デスクトップPCの5インチベイに組み込んだ状態では、下の動画で示した数値以上に静かな印象を受けた。その理由は2つ考えられる。1つは振動が少なく、高速回転時にも地鳴りのような音が出ないこと。そしてもう1つは音の質だ。BDR-S05Jでは騒音を抑えるだけでなく、特定周波数にピークのないホワイトノイズとなるようにチューニングされている。そのため環境騒音やPC自身のファンなどのノイズにかき消されやすくなっているようだ。

BDR-S05Jの前面側から騒音を測定したところ。約41デシベルと表示されている
(高画質版はこちらから)


一方、BD-R 10倍速書き込みをサポートする他社製BDドライブを前面から測定。こちらは約45デシベルとなった。4デシベルの差は音の大きさとしては約1.6倍になる
(高画質版はこちらから)


 また、偏芯しているメディアに対しては、回転速度を落として再生することにより振動を抑制している。国産メディアでは極端な偏芯はまず見られないが、オフィスなどでは書き込み後にラベルを張り付けた後天性の偏芯メディアがかなりあるのではないだろうか。

偏芯メディアを感知すると自動的にドライブの回転数が低下する。そのため正常なメディアよりも静かな約34デシベルだった。ただし、その分読み込み速度も低下する
(高画質版はこちらから)


偏芯メディアの感知機能がない他社製ドライブでは爆音レベルの48デシベルに達した。音の大きさでいえばBDR-S05Jの約5倍になる
(高画質版はこちらから)


パイオニアBDドライブユーティリティを使用すればアドバンスド静音機能の設定も可能だ

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