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レビュー

完全分解×開発秘話:「VAIO P」の新ボディをいきなり丸裸にする (1/3)

“つつむ、たたむ”をイメージした新ボディに生まれ変わった「VAIO P」。中身はそれほど変わらないかも……と思いながら開発者に分解してもらったが、実は大違いだった。

フルモデルチェンジしたVAIO Pを速攻でバラバラに

tm_1005vaiopi_01.jpg デザインを大幅に変更した「VAIO P」の2010年夏モデル

 ソニーの「VAIO P」は、“ポケットスタイルPC”の愛称で知られる薄型軽量ミニノートPCだ。2009年1月にWindows Vista搭載モデル(当時の製品名は「VAIO type P」)がリリースされてから、Windows XPモデルの追加Windows 7への移行など、数度のマイナーチェンジを繰り返してきたが、2010年5月22日に発売される新モデルでは初のフルモデルチェンジが行われる。

 新型VAIO Pは、従来モデルで好評だった“ジャストキーボードサイズ”の横長ボディによる持ち運びやすさと文字入力のしやすさ、Atom Zをベースとした基本設計を踏襲する一方で、“つつむ、たたむ”をイメージしたという有機的なボディデザインにビビッドなカラーバリエーションを採用し、画面両脇のポインティングデバイスや各種センシング技術を加え、さらに直販モデルで選べるCPUとチップセットのグレードも引き上げるなど、大きな変貌(へんぼう)を遂げている。

 ここでは、今回のフルモデルチェンジでVAIO Pの内部構造がどのように変わるのかを調べるため、分解して内部構造をチェックした。とはいえ、ソニーから借用した機材は発売前の試作機ということもあり、編集部での分解行為はNGとのこと。そこで、VAIOノートの新製品発表では恒例行事となりつつあるが、開発者自身の手で分解してもらった。

 分解をお願いしたのは、機構設計を取りまとめた冨田隆広氏(VAIO事業本部 VAIO P 機構設計リーダー)と、キーボード回りの機構設計を担当した浅見正氏(VAIO事業本部 VAIO P 機構設計担当)だ。

tm_1005vaiopi_02.jpg 左が冨田隆広氏、右が浅見正氏


目指したのは初代VAIO type Pからの「正当進化」

 分解に入る前に、ざっと開発の経緯を聞いた。新型VAIO Pの開発を始めたのは約1年前で、早い段階のうちにボディサイズを維持したまま、デザイン、性能、機能を強化していくという方向性が決まったという。冨田氏は「VAIO Pの強みであるキーボードの使いやすさと持ち運びやすさのバランスを考えると、やはりこのフットプリントは今でも変えないほうがいいと判断しました。その上で最新のモデルらしく、さまざまな機能を強化するという“正当進化”を目指しました」と語る。

tm_1005vaiopi_03.jpgtm_1005vaiopi_04.jpg
tm_1005vaiopi_05.jpgtm_1005vaiopi_06.jpg 左が従来モデル、右が新モデルの外観。本体サイズはどちらも245(幅)×120(奥行き)×19.8(高さ)ミリと変わらない。重量についても、従来モデルが約588〜757グラム、2010年夏モデルが約595〜781グラムとほぼ同じだ(直販モデルの場合)。ただし、デザインは大きく変わった

 大幅に変更された外装については、デザイナーのこだわりが詰まった部分だ。1つのカラーで天面から、バッテリーを含む底面、キーボードまでぐるりと包み込んだ曲線的なボディデザインは、横から見ると布を三つ折りにしたようなイメージで、一体感を表現している。また、2010年2月に登場した「VAIO E」を思わせる色鮮やかなカラーバリエーションにより、ソニーから新しいトレンドを発信したいとの願いも込めた。

 表面の塗装についても光沢塗装からマット調の塗装に変更されているが、どこへでも持ち運ぶモバイル機としてもっとラフに使ってもいいように、傷や汚れが目立ちにくい仕上げを選択したとしている。「ボディデザインについては当初2パターンが提案され、今回採用したものと、ソリッドな形状のものがありました。初期のモックアップにかなり近い形で製品化できています」(冨田氏)

tm_1005vaiopi_07.jpgtm_1005vaiopi_08.jpg 左が従来モデル、右が新モデルの側面から見た様子。新モデルは、1つのカラーが天面からキーボード面にぐるりと回り込んでいるのが分かる。新モデルは液晶ディスプレイ側がわずかに厚くなり、そのぶん本体側が薄くなった

今度の新ボディはネジ穴どころか通風口さえ見当たらないが……

注意

製品を分解/改造すると、メーカー保証は受けられなくなります。内部で使用されている部品などは取材した機材のものであり、すべての個体に該当するわけではありません



tm_1005vaiopi_09.jpg 冨田氏がVAIO P本体、浅見氏がディスプレイ側の分解を行っている様子

tm_1005vaiopi_10.jpg 従来モデルで左側面にあった通風口もなくなっている

 それでは、新型VAIO Pの中身を見ていこう。新デザインのボディは従来モデルと同様、天面から底面まで表にネジが1本も露出しておらず、余計な凹凸や通風口すらない。全体をフラットにまとめつつ、前後に丸みを付けたフォルムは美しい仕上がりだ。「VAIO Pはファンレス設計ですが、従来モデルは放熱のため側面に通風口を用意していました。これに対して、新モデルでは放熱設計を改善することで、通風口をなくし、よりデザインを洗練させることができました」(冨田氏)

 分解する場合はどこから始めればいいのか迷うが、バッテリーパックを外すと3本のネジが現れるので、まずはこれらを外す。次に、キーボードの右下と左下に液晶ディスプレイを閉じたときのクッションになる楕円(だえん)形のシールがあるので、これらをピンセットなどで注意深くはがす。すると、その下に1本ずつネジが隠れているので、順次外していく。

 キーボード下の両端にあるネジを外せば、キーボードと一体化したトップカバーを取り外すことが可能だ。トップカバーには、キーボードとスティック型ポインティングデバイスのフレキシブルケーブルが接続されているので、これらを抜いてから取り外す必要がある。「キーボードは配列をより標準的なものに近づけ、タッチを少し硬くし、耐久性の高いレーザー印字を採用するなどの改良をしています。スティックも4〜5種類のサンプルから最適なゴムの硬さを選び、ドライバの感度もチューニングして使い勝手を向上しました」(浅見氏)

 なお、キーボードの下には、「ASSIST」(サポートソフトの「VAIO Care」を起動)、「解像度切り替え」(1600×768/1280×600ドットに切り替え)、「WEB」(Windows 7を立ち上げずに利用できる高速起動のWebブラウズ機能「Quick Web Access」を利用)の3ボタンが新設された。代わりとして、従来モデルにあったウィンドウ整列ボタンとインスタントモードはなくなっている。

 トップカバーを外すと、VAIO Pの骨格となるマグネシウム合金製のフレームが露出する。この内部フレームがボディの剛性やキー入力時の安定した底突き感を支えているのは、従来モデルと同様だ。しかし、ここから先の分解手順は従来モデルと異なる。

tm_1005vaiopi_11.jpg 底面のバッテリーパック(7.4ボルト 2500mAh/19ワットアワー)を外すと、その下に3本のネジが現れるので、すべて取る
tm_1005vaiopi_12.jpg キーボード下の両端にある小さな楕円(だえん)形のシールをはがし、その下のネジ2本を外す
tm_1005vaiopi_13.jpg フレキシブルケーブルを外し、キーボードと一体化したトップカバーを分離する

tm_1005vaiopi_14.jpg 取り外したアイソレーションキーボード一体型のトップカバー(樹脂製)。写真は直販モデルで選べる英字キーボードだ
tm_1005vaiopi_15.jpg トップカバーの裏側。キーボードがたわまないよう、格子状にキートップの穴が空いたカバーに接着されている。スティック型ポインティングデバイスを引き続き採用する
tm_1005vaiopi_16.jpg トップカバーを外した様子。骨組みとなるマグネシウム合金製のフレームは、軽量化のため部分的にパンチング加工が施されている

 次のページでは、ボトムカバーや液晶ディスプレイを外し、新型VAIO Pの内部構造により深く迫っていこう。

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