ASUSの「TS mini」は、「Windows Home Server」(以下WHS)をOSとして採用した家庭向け、個人ユーザー向けの製品だ。サイズがコンパクトで、机上や本棚のちょっとしたスペースに手軽に設置して利用できる。ただ、「そもそもWHSになじみがない」「WHSのどこが便利なのか分からない」というユーザーもまだまだ多いだろう。
WHSについて“ざっくり”説明すると、「家庭用のサーバマシンを簡単に作れるWindowsベースのOS」となる。WHSを導入したTS miniは、ファイル共有用のディスクスペースや、マルチメディアファイルのライブラリ、バックアップ用ストレージエリアなどとして「比較的簡単に」利用できるのが特徴だ。
もちろん、Windows 7をインストールした通常のPCでもサーバとして利用可能だし、バックアップやファイル共有はNASでもできる。しかし、Windows 7などの「汎用」OSは多くの機能を持っているためPC側のパフォーマンスも必要だし、逆にNASは手軽だが、サーバとしての機能と使い勝手が充実していない製品もある。WHSなら、サーバに特化しているため通常のPCより低いハードウェアスペックでも十分実用になるだけでなく、機能がNASより使いやすい。汎用OSとNASの「いいとこ取り」な、サーバを簡単に構築できるのがWHSの特徴といえるだろう。
WHSについて紹介したところで、TS miniの製品構成を見ていこう。TS miniは、CPUにAtom N280(1.66GHz)を採用し、メインメモリは1Gバイト(最大2Gバイト)を用意する。ネットワークインタフェースとしては、ギガビット対応の有線LANを備える。本体サイズは96(幅)×245(高さ)×204(奥行き)ミリ、重さが約3.3キロとコンパクトだ。「週刊少年誌を2冊重ねた程度の大きさ」というとイメージしやすいだろうか。
前面パネルには動作状態を示すLEDが存在するだけだが、背面にはUSB 2.0×6、eSATA×2、有線LAN×1と、ACアダプタの接続用コネクタがある。一般的なPCと違い、ディスプレイ出力に使うコネクタはない。TS miniに搭載されるマザーボードには、D-Sub15ピンのアナログRGB出力が存在し、ここにディスプレイケーブルを接続すればWHSの画面が表示できる。しかし、このコネクタは、ケースの外部からは接続できないようにバックパネルでふさがれている。バックパネルをカッターなどで切り取って穴を開けることも可能だが、これは保証対象外の行為となる。
このように、標準状態ではディスプレイ出力が利用できないが、TS miniの設定は、LANで接続すれば別のPCからリモートですべて行えるので心配はいらない。
TS miniは、通常のNASより若干大きめのサイズでありながら、Atomを搭載するNettopのプラットフォームを採用している。メインメモリは標準構成で1Gバイト、最大で2Gバイトまで搭載できる。使用するメモリはSO-DIMMのDDR2-800で、マザーボードに用意されるメモリスロットは1基なので、2Gバイトに増設するときは標準構成で装着されているメモリと交換することになる。
標準構成で搭載する3.5インチHDDは1台でその容量は1Tバイトだが、こちらも増設が可能だ。TS miniのケースを開けるのは簡単で、背面にある手回し式のネジを外すとカバーが外れる。ボディ内部にはHDDベイが組み込まれたフレームが3本のネジで固定されている。このネジも硬貨で外せるほか、フレームに取っ手があるおかげで簡単にベイを取り出せるなど、メンテナンスは行いやすい。
HDDは、このフレームに装着されているライザーカードにあるSerial ATAコネクタに直接取り付ける。ケーブルを必要としないので差し間違うことはないだろう。SATAコネクタは2基あって、HDDを増やしたい場合はもう1台のHDDを装着すれば済む。なお、HDDを増設するときは、HDDの側面に専用ネジを取り付けて、ベイマウンタのレール上をスライドさせて基板上のコネクタに差し込むことになる。増設を行ったら、あとはWHSコンソール上から追加作業をするだけで認識される。
ボディ内部にはHDDを2台まで搭載できるが、WHSでは外付けHDDも記憶領域として利用可能なので、背面にある6基のUSB 2.0と2基のeSATAポートに外付けHDDを接続すれば、「TS miniのシャドウベイがいっぱいになった」「手持ちの外付けHDDでサーバのHDD容量を手軽に増やしたい」というユーザーのリクエストに対応できる。
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