バッファローとNTTBP(エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム)は5月25日、NTTドコモのFOMAネットワークを利用できる小型無線LANルータ「ポータブルWi-Fi」を発表、6月24日に発売する。
ポータブルWi-Fiは、2009年にNTTBPが実施し、約500人が参加した「Personal Wireless Router」(PWR)のモニターテストの結果をふまえて製品化された。同テストにおいて、ボディの発熱性やバッテリー動作時間などの課題が明らかになったが、3G/無線LAN/固定回線をシームレスに切り替えながら運用できるNTTBP開発の“コグニティブ”機能が高く評価され、かつ課題が改善された場合の購入意向が9割を超えたことから、バッファローとの共同開発することで製品化を決めた。
「当初は2009年末に発売する予定だったが、ハードウェア/ソフトウェアともに、ゼロから作り直すことに決めた。PWRの始まりは、無線通信の速度とエリアは本来トレードオフとなる項目であり、単体の通信機能・機器ですべて満足させることはできない──という考えがあったため。また、状況に応じて回線を切り替えることによる効用に、“3Gネットワークからのトラフィックオフロード効果が高い”ことも大きなメリットであることが分かった。急増しつつある3Gネットワークトラフィックの負荷を分散しつつ、(高速に通信できることで)ユーザーメリットにもつながる──この機能の有用性は今後、より高まってくると思う」(NTTBP代表取締役 小林忠男社長)
ポータブルWi-Fiの製品版は、熱とバッテリー問題以外に、
などの機能向上も果たした。
本体価格は3万7000円。PC周辺機器単体の価格として見るとやや高額だが、「本体購入+NTTドコモの通信契約」でセットで行うことで、実質の本体価格を割り引く販売方法──いわゆる“100円PC”と似た方法を各家電量販店は採用すると思われる。ちなみにポータブルWi-Fiは、NTTドコモが展開する「定額データプラン 新規加入キャンペーン」において、L-05AやL-07Aなどの“ドコモ製品”と同様、ドコモからすると他社の製品ながらも対象製品になっている。これはかなり珍しいことのように思う。
「バッファローは、2009年にコーポレートステートメントを“デジタルライフ、もっと快適に”へ変更したが、ポータブルWi-Fiはまさにこれを実践する製品に仕上がった。開発にはかなり苦労したが、本当に“自信作”だ。やや死語となりつつある“ユビキタス”という言葉が、いま一度よみがえるのではないかとも思っている」(バッファロー代表取締役の斉木邦明社長)
「コグニティブ機能の技術をより推進し、LTEや4G、IEEE802.11n、WiMAXなど新世代通信への対応も柔軟に行いたい。先ほど、NTTグループの社長会合で会った(NTTドコモの)山田隆持社長から、“いろいろ頼む──”と言われた(笑)。おそらく、本当にいろいろだと思う」(小林社長)
なお、ドコモと回線契約を行えるようにする(かつ、“定額データプラン スタンダード バリュー+定額データ スタンダード割”の料金プランを選択できるようにする)──関係で“FOMAカードのみ”とするSIMロックがかけられ、イー・モバイルやソフトバンクモバイルなどの国内他社、および海外キャリアのSIMカードは現時点では使用できない。ただし、「PWRテスト時から“海外でもそのまま利用可能に”という要望はかなりあった。SIMフリー化についても今後の検討課題したい」という。
2009年のPWRテスト時より、全国で「路上から生放送」してきたDJ兼アーティスト、ジャーナリストのモーリー・ロバートソン氏も登壇。今後はPWR改めポータブルWi-FiとUstreamで活動していくという。同氏のWebサイト「i-morley」で、毎週火曜日の21時からポータブルWi-Fiを用いたリアルタイム中継を行っている。
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