応答速度の数字はホンモノか!?――液晶ディスプレイの動画性能をチェックしよう簡単に試せるテスト動画付き(3/4 ページ)

» 2010年05月31日 10時00分 公開
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輝度、コントラスト、階調性をチェックする

 続いて、動画表示の臨場感に関係する輝度とコントラスト、きめ細やかな色表現に関係する階調性とカラーバランスを確認していこう。輝度とコントラストの最適な値は、表示する動画、視聴距離、ユーザーの好みで変わってくるが、一般的には高輝度/高コントラストに設定すると見栄えがよくなる。ここでは以下のサンプル動画を用意した。

輝度/コントラスト確認用グレースケール

 1つ目のサンプル動画は、16段階と無段階のグレースケール(グラデーション)を並べたものだ。画面は変化しないので、じっくり見てほしい。

 ここでは十分な輝度とコントラストがあるかどうかをチェックしつつ、必要に応じて液晶ディスプレイのOSDメニューで調整しよう。ほとんどの場合、輝度は最大値で問題ないが、黒がグレーっぽく浮いているのが気になるなら、輝度を少しずつ下げてみる。

 コントラストの調整については、高いほど黒と白の輝度差が大きくなってパンチが効いた表示になるが、高すぎると黒つぶれや白飛びが発生し、階調が破たんしてしまう。逆に、コントラストが低すぎると、メリハリが失われて平坦な画質となり、階調の境界も分かりにくくなる。強いコントラスト感が欲しいならば、16段階のグレースケールを見ながら、階調の境目が分かるギリギリのところまで、コントラストを高くしてもいいだろう。

 一方、無段階グレースケールのパターンは、静止画の表示品質(主に階調)をチェックするときにも使われる。静止画の場合、無段階グレースケールの各所にバンディング(不自然なスジ)がないかどうかを見るのだが、通常は動画でそこまでの階調性は求められない。迫力ある映像にするため、動画向けの設定ではあえてガンマカーブをS字などに補正して、階調性よりコントラストを優先している製品もある。


 今回用意した3モデルは階調表現の美しさにこだわるEIZOディスプレイらしく、グレースケール表示がどれもきちんと整っていた。輝度はEV2303Wが最も低いが、周囲がかなり明るい環境でなければ、画面の暗さが気になることはないだろう。SX2462WとEV2334W-Tは十分な明るさがある。

 コントラストについてはVA系のEV2334W-Tがさすがに優秀で、黒の締まりがよく、メリハリがある。IPS系のSX2462Wもハイグレードなモデルだけあって、黒の表現力は良好だ。EV2303Wについては、ほかの2モデルに比べると暗部の黒さが足らず、やや黒浮きを感じるものの、こうした上位グレードの製品と見比べなければ気にならないレベルではある。

グレースケールのサンプル動画を再生した様子を撮影。左から、EV2334W-T、SX2462W、EV2303W-T

階調性/カラーバランス確認用動画

 次のサンプル動画は、無段階のグレースケールとカラーのグラデーションを並べたものだ(画面の変化はない)。輝度とコントラストを調整するほか、プリセットの画質モードや色温度も変更してみて、カラーの発色がどのように違うかを確認しよう。

 特に色温度を上下させると、発色のイメージがずいぶんと変わるはずだ。参考までに、PC環境の標準的な色温度と、HD映像の国際規格による色温度は6500K、日本国内におけるアナログテレビ映像など(NTSC)の色温度は9300Kとなっている。色温度が低いと画面の発色は赤みを帯び、色温度が高くなるにつれて青っぽくなっていく。ここは映像ソースによって最もマッチする色温度に調整したいところだが、画質モードが付いている製品ならば、色温度もモードに応じて自動で切り替えてくれるため、あまり気にしなくてもいいかもしれない。

 なお、OSDメニューでRGB個別のカラーバランスを調整できる液晶ディスプレイも少なくないが、こちらは基本的に触れないほうがいい。目視だけでRGBのカラーバランスを整えるのは、一般的なユーザーにとって困難だ。RGB個別の調整でカラーバランスを整えたつもりでも、実際の動画コンテンツを視聴すると、おかしな色になっている部分が気になるようなことも多いだろう。


 今回用意した3モデルの階調性、カラーバランスはどれも良好だ。3モデルとも画質モードの「FineContrast」機能を備えているので、映像ソースに応じて「Cinema」「Movie」などにセットすれば問題ない。RGB個別のゲインを細かく調整できる機能もあるが、今回試用した限りでは初期状態でまったく問題がなかった。

階調性/カラーバランス確認用のサンプル動画を再生した様子を撮影。左から、EV2334W-T、SX2462W、EV2303W-T

さらにメリハリを強調する「ダイナミックコントラスト」

 最近は動画やゲーム表示のコントラスト感を高める「ダイナミックコントラスト」機能が備わった製品もある。製品によって呼び方が異なる場合も多いが、つまりは動画のシーンに応じてリアルタイムでコントラストやバックライトを調整し、動画全体の時間軸でコントラストを高める機能だ。

 例えば、液晶ディスプレイ本来のコントラスト比が「1000:1」であっても、ダイナミックコントラストを有効にすると「数千:1」相当や「数万:1」相当まで数値上のコントラスト比がアップする。ただし、ハードウェアスペックとしてのコントラスト比が向上するわけではなく、実際のところ数字の差ほどコントラストの見え方に違いはない点は覚えておきたい。

 ダイナミックコントラストの利点は、動画やゲーム表示のメリハリ感が向上し、見た目の画質をアップさせる効果が高いことだ。デメリットとしては、特定の動画シーンで階調が崩れることがまれにあったり、動画の実際の変化に輝度やコントラストの変化がうまくついていけず、不自然な明るさになるケースもあることが挙げられる。また、コントラストが動的に変化するため、動画やゲーム以外の表示だと、画面のコントラストが頻繁に変化して見づらくなる点は注意したい。ダイナミックコントラストは、動画やゲームでは有効、それ以外は無効で使うのが基本だ。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2011年3月31日