“倍速補間”ד超解像”で先を行く――三菱、23型フルHD液晶「RDT232WM-Z(BK)」体験会滑らかな動画表示に驚きの声(2/2 ページ)

» 2010年06月07日 10時00分 公開
[ITmedia]
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実機体験では「倍速クリアピクチャー」の実力が明らかに

RDT232WM-Z(BK)の画質をチェックする本田氏

 藤村氏が製品の特徴を解説した後は、特別ゲストの本田雅一氏を中心として、さまざまな映像コンテンツをRDT232WM-Z(BK)に映し出し、倍速補間や超解像の効果を他の液晶ディスプレイと比較しながらチェックしていく実機体験の時間となった。

 まず本田氏は倍速補間や超解像は映像コンテンツによって使い分けることが重要と指摘。「例えば、毎秒24フレームで撮影された映画において、主人公が街中を歩いている様子を遠目から1カットで追うようなシーンでは、倍速補間や超解像によって主人公の周囲の群衆や風景までクッキリ描かれ、映画監督の撮影意図と異なってしまう。作品性を重視するなら、オフにしたほうがいい場合もある」と述べた。

 その点、RDT232WM-Z(BK)には毎秒24フレーム映像の各フレームを5回繰り返し、毎秒120フレームで映画フィルムの動きを再現する「シネマモード」の「フィルム」設定が用意されているため、この機能を有効活用すれば、映画の作品性を損なわずに楽しめることに注目したい(24フレームの間に4フレームを挟み込む補間設定「なめらか」も用意している)。

 一方、ドキュメンタリーやスポーツ、ゲームなどではこうした機能を積極的に使うことで、映像コンテンツの魅力をさらに引き出せるという。実際に会場ではBlu-ray Discのドキュメンタリー映画「Earth」を再生し、倍速クリアピクチャーの効果を確認したが、初期設定のままでかなり高い効果が見られた。

 例えば、超解像により動物の体毛や草原などのディテールをきつすぎない程度にクッキリ描きながら、倍速補間により空撮などで映像がスクロールするシーンは滑らかに表現できる。こうした画作りは、実績あるテレビ開発の部隊と密に情報共有しながら製品開発ができる三菱電機のアドバンテージといえるだろう。一般参加のユーザーも「実際に見てみるまで、このように一目でオン/オフの違いが分かるほどの差があるものとは思っていなかった」と驚いた様子だ。

本田氏が倍速補間や超解像の“使いどころ”を解説

 次に、取り出したのはバレエの「白鳥の湖」を1080iで収録した「Swan Lake」だ。第2幕における白鳥の群舞では、天井に固定されたカメラが暗いステージに舞う数多くの白いチュチュを俯瞰(ふかん)で美しく見せるが、このように背景がほとんど動かず、複数のオブジェクトが少しずつ変則的に動くような映像は、前後フレームの差分で中間フレームを作成する倍速補間の仕様上、補間エラーによって映像の乱れが発生しやすいシーンとなる。

 実際、テレビではこのように補間エラーが発生しそうな場合、倍速補間を自動的にオフにして映像が不自然になるのを回避する製品もあるが、RDT232WM-Z(BK)では積極的に倍速補間を行い、かなり自然で滑らかに映像が再現されるのを確認できた。これについて本田氏は「大画面テレビでは補間エラーが目立つくらいならオフにしたほうがいいという考え方もあるが、せっかくの機能が使われないことが多いのは惜しい。プライベートな空間で楽しむ23型のRDT232WM-Z(BK)ならば、補間をキッチリ効かせた画作りもアリだろう。Swan Lakeを見ても頑張って補間しているのが分かる」とのコメントだ。

 また、本田氏は「三菱電機が初期に発売した超解像対応モデルは超解像の調整段階数が少なく、一般ユーザーに効果をはっきり見せるために強めの補正をかけており、HDコンテンツなどでは使いにくい部分があった」としながらも、今回のRDT232WM-Z(BK)については「超解像とダイナミックコントラスト補正を10段階+オフに細かく調整可能で、倍速補間も強/弱/オフにセットできることから、好みや映像に応じて画質を追い込みやすくなった。しかも、主要な機能をダイレクトに調整できるリモコンが付属しているのがいい」と高く評価した。

質疑応答ではユーザー視点での厳しい質問も

 その後は、一般参加のユーザーに実機を自由に触れてもらいながらの質疑応答が行われた。ここではRDT232WM-Z(BK)に限らず、三菱電機の液晶ディスプレイについての要望が数多く寄せられた。その内容の一部を紹介すると、「PCのヘビーユーザーならば外付けスピーカーを使っていることが多いだろうから、スピーカーを省いてでも低価格にしてほしい」「スピーカーがない場合、音声のスルー出力がほしい」「RDT232WM-Z(BK)は非常に高機能なディスプレイだと思うが、今後はIPSパネルを使った上位機種も発売してほしい。ただし、10万円を超えるような価格帯だと手が出せない」と、ディスプレイにこだわるユーザーらしいシビアな質問が相次ぐ。

 これに対し、藤村氏は「スピーカーは非常にこだわって作り込んでいる部分で、ご評価をいただいている方も多いが、スピーカーを省いたり、音声のスルー出力を設けるという選択肢も貴重な意見として持ち帰る」「現状で120Hz駆動に対応したPCディスプレイ用のIPSパネルは製造されていないが、三菱はこれまでもIPSを積極的に採用してきたので、ニーズがあれば取り組みたい」と真摯(しんし)に応じていたのが印象的だった。

 質疑応答での興味深いやり取りでは、製品の品質管理についてが挙げられる。昨今の液晶ディスプレイは価格の下落が激しく、2〜3万円も出せば安価なフルHD液晶ディスプレイが手に入るようになった。しかし、こうした安価な製品について本田氏は警笛を鳴らす。「液晶ディスプレイは独自技術が物をいったCRT時代とは違って、液晶パネルをメーカーから調達して組み上げれば、比較的簡単に製品化ができる。そのため、安価な製品が出回りやすい状況だが、単に液晶パネルを組み込んだだけで画質に難がある製品が多い。液晶パネルの個体差や品質のバラツキを製造時に吸収できていないからだ」というのだ。

 本田氏から三菱電機のディスプレイの品質管理について問われたところ、藤村氏は「これまでの製品開発のノウハウが製造時の品質管理で大いに役立っている。RDT232WM-Z(BK)についても、1台ずつ画質を精査して出荷するキャリブレーション対応モデルとまではいかないが、液晶パネルの個体差も考慮し、数台の測定値から標準的なチューニングになるように調整しているうえ、階調性を高める10ビットガンマ補正機能も搭載した。実際に測定してもらえば分かるが、静止画モードではガンマ2.2のカーブに沿うように階調が整っている。カタログスペックだけでなく、こうした目に見えない品質が高いことも知ってほしい」と品質に対する自信を見せた。

 イベントが終了した後も、実機の回りには一般参加のユーザーがしばらく集まり、設定を細かく変えながら、その効果を画面上で確認するなど、RDT232WM-Z(BK)への高い関心が伺えた。参加者の中からは「YouTubeを視聴してみたが、動画を再生している部分だけ超解像がしっかり効くのが魅力的だと思う」といった感想や、「TNだと思って懐疑的な部分もあったが、実際に見てみると上下の視野角以外に不満はなく、倍速補間と超解像の高画質化に感心した。これなら5万円台(実売価格)でも納得ではないか」といった声も聞かれ、多くのユーザーが製品の仕上がりに好感触を得たようだ。

熱心なユーザーが集い、画質チェックや開発者との意見交換を積極的に行う姿が見られた

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