東芝は、6月21日に同社のラップトップPC(ノートPC)発売25周年を記念する特別モデルを発表した。同日行われた製品発表会では、同社執行役上席常務 兼 デジタルプロダクツ&ネットワーク社 社長の深串方彦氏から、2010年におけるノートPC事業戦略が紹介された。
まず、深串氏は、グローバル市場のPC売り上げで、2009年にノートPC(ポータブルPC)がデスクトップPCを上回り、東芝のPCとしても、グローバル市場で累計出荷台数が間もなく1億台になることを紹介。2010年の目標として、「グローバル市場で出荷台数2500万台」を掲げるとともに、2010年4月にカンパニー名を「デジタルプロダクツ&ネットワーク社」へ改名したことを受けて、従来のノートPCを中核とした事業領域が、液晶一体型のオールインワンデスクトップPCから、スレートPC、電子ブックリーダー、クラウド向けデバイスへと拡大すると述べた。
その事業拡大の第一弾として投入したのが、今回の「ラップトップPC出荷25周年」記念モデルとなる4つのラインアップだと深串氏が説明。同社の事業拡大にあわせて、液晶一体型PCの「dynabook Qosmio DX」や、デュアルディスプレイを搭載したWindows 7 Home PremiumミニノートPC「libretto W100/11M」、そして、クラウドブックと東芝が呼ぶTegra&Androidデバイス「dynabook AZ」が登場したと紹介した上で、「広い視野で新しいデバイスの投入を検討中」として、スレートタイプのデバイスも開発を進めていることを明らかにした。
また、B2B市場に対する事業展開では、デジタルプロダクツ&ネットワーク社の製品と、新しく東芝が立ち上げた「IPネットワーク・ソリューション事業部」が協同でクラウドサービス事業を進めていき、東芝の関係会社である東芝テック、東芝メディカルシステムズなどとともに、流通市場、医療市場でクラウド関連事業を推進していくとした。
同社デジタルプロダクツ&ネットワーク社 PC第一事業部事業部長の長島忠浩氏は、新製品の概要を紹介した。dynabook RX3では軽量なボディで堅牢性を確保する「ハニカムリブ構造」と、通常電圧版のCPU(Core i5-520M、または、Core i3-350M)を搭載できる高い冷却効率を実現するため、インテルと共同で開発した「新空冷技術」が特に訴求された。
ハニカムリブ構造では、形状を小さくしリブを細くしたにもかかわらず、従来の線形リブ構造から24%の強度向上を実現。また、細いリブを成型するために新規に開発した「真空鋳造技術」では、空気粒子の混入を防ぐことで経年劣化で強度が損なわれないことも紹介された。また、新空冷技術では、底面から取り込んだ冷却用の外気をダクトで発熱パーツのエリアに直接誘導することで高い冷却効率を実現したという。
ほかにも、液晶一体型PCのdynabook Qosmio DXでは、ノートPCの省電力技術採用と従来のQosmioシリーズで採用されてきた「SpirsEngine」の導入が、“クラウドブック”のdynabook AZでは、TegraとAndroidの採用で長時間のバッテリー駆動とHDMIに接続した大画面テレビに1080pクラスのフルHD動画が快適に再生できるグラフィックス性能の両立が訴求された。
さらに、デュアルディスプレイを搭載したlibretto W100/11Mでは、約699グラムの軽量ボディにWindows 7 Home Premiumを導入した“汎用性”とともに、これまで東芝のノートPCで最軽量だったdynabook RX2の基板から面積が27%縮小し、厚さも34%薄くなった高密度実装技術が説明された。
長島氏は、2010年の日本市場に対するプロモーションについても言及し、2008年から2009年のPC市場がプラス成長であったことから、「Impossible? I'm possible. できないことを、みんなのできるに。」をキャッチフレーズに、個人にとって必要不可欠になったPCプロモーションを進め、2010年はこれまで東芝が得意としてきたB2Bだけでなく、B2Cでも「No.1」を目指すと述べた。
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