みんなの“Fermi”がやってきた──2万円台の「GeForce GTX 460」は“9800 GT”の再来か?イマドキのイタモノ(1/3 ページ)

» 2010年07月12日 13時01分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

 NVIDIA GeForce GTX 400シリーズに“460”が追加された。GeForce GTX 460はハイエンドラインアップの一員ながら、これまでのGeForce GTX 480/同 470/同 465で採用されていた初代コア「GF100」から「GF104」へと変更されている。さらに、199ドルからと設定された実売価格は、ハイエンドに限定されていたGeForce GTX 400シリーズを、グラフィックスカードで売り上げが最も集中する価格帯で投入できることになる。

 この価格帯でDirectX 11対応のGPUとしては、すでにRadeon HD 5830が存在するが、このシェアを奪還しようとする新しいGPUの「価格性能比」を中心に検証してみよう。

CUDAコアは336基と少ないながら動作クロックは“465”より高い

 GeForce GTX 460のスペックをチェックすると、CUDAコアが336基とGF100ベースのGeForce GTX 465より少ないことが気になる。テクスチャユニットは56基でこれはGeForce GTX 470に並ぶ。なお、資料によるとStreaming Multiprocessors(SM)の数は7基とされている。CUDAコアの336を7で割れば48だが、GeForce GTX 480では32基のCUDAコアで1つのSMを構成していたから、この部分でGF100とGF104が異なることが分かる。

 また、同じ資料ではGeForce GTX 460のGraphicsProcessingClusters(GPC)は2クラスタとなっている。ただ、SMが4基で1つのGPCを構成するというGF100の構成をそのまま適用すれば、48×4×2で384となる。このことから、ダイに384基のCUDAコアが実装されていると想像できる。

  GeForce GTX 480 GeForce GTX 470 GeForce GTX 465 GeForce GTX 460(1GB) GeForce GTX 460(768MB)
CUDA Core 480 448 352 336 336
テクスチャユニット 60 56 44 56 56
ROPユニット 48 40 32 32 24
GPUクロック(MHz) 700 607 607 675 675
シェーダクロック(MHz) 1401 1215 1215 1350 1350
グラフィックスメモリクロック(MHz) 924 837 802 900 900
グラフィックスメモリタイプ GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5
グラフィックスメモリ接続バス幅 384 320 256 256 192
グラフィックスメモリ帯域幅 177.4GB/sec 133.9GB/sec 102.7GB/sec 115.2GB/sec 86.4GB/sec
グラフィックスメモリ容量(MB) 1536 1280 1024 1024 768
消費電力(ワット) 250 215 200 160 150
補助電源レイアウト(ピン数) 8+6 6+6 6+6 6+6 6+6
DirectXサポート 11 11 11 11 11
構成トランジスタ数 30億 30億 30億 19.5億 19.5億
プロセスルール 40ナノメートル 40ナノメートル 40ナノメートル 40ナノメートル 40ナノメートル
SM(Streaming Multiprocessors)数 15 14 11 7 7
GPC(Graphics ProcessingClusters)数 4 4 3 2 2

1Gバイト版と768Mバイト版の違いはメモリチップだけじゃない

 次に、GeForce GTX 460の動作クロックを確認していく。コアクロックは675MHz、シェーダクロックは1350MHz、メモリクロックはベース900MHz(3.6Gbps)となる。このクロック設定はGeForce GTX 465に対して高めだ。なお、出荷が予定されているGeForce GTX 460の製品では、グラフィックメモリの容量別に1Gバイト版と768Mバイト版が用意されるが、それぞれ、グラフィックスメモリの容量以外の仕様にも違いがあるという。まず、1Gバイト版はメモリ接続バス幅が256ビット、768Mバイト版は192ビットとなる。ROPユニット数も1Gバイト版は32基、768MB版では24基となっている。TDPも1Gバイト版が160ワットであるのに対し768Mバイト版は150ワットと、両者には10ワットの差がある。ただ、どちらにしても、GeForce GTX 480/同 470/同 465のTDPが200〜250ワットだったのからすれば、かなり扱いやすくなった。

 実売価格は1Gバイト版が229ドル、768Mバイト版が199ドルとされている。NVIDIAによると、Steamで知られるValveが2010年5月に行った調査で「199ドルラインがグラフィックスカードのスィートスポット」(最も多くの製品が売れている価格帯)という結果が出ていると説明する。確かに国内でもゲーム用グラフィックスカードの予算として2万円台というのがよく売れている1つの目安という感がある。高価格のハイエンドモデルしかなかったNVIDIAの最新アーキテクチャ“Fermi”を採用したモデルが、ようやく多くのユーザーに購入できる価格帯まで降りてきたともいえるだろう。

グラフィックスメモリ1Gバイト搭載のリファレンスカードでチェックしたGPU-Zの情報(写真=左)。シェーダ数が224と出ているが公式には336基とされている。MSIのグラフィックスメモリ768Mバイト搭載版「N460GTX CYCLONE 768D5」でチェックしたGPU-Zの情報(写真=右)。オーバークロック版であるため、評価作業では標準クロックに落として測定した。ROPSが「32」と出ているが公式では768Mバイト版で24基とされている

コンパクトなPCケースにも組み込みやすいサイズに

 リファレンスカードでグラフィックスメモリ1Gバイト版と768Mバイト版のレイアウトを比較すると、ファンの刻印以外どちらも同じデザインだ。これはクーラーユニットを取り外しても同様で、2つのモデルの違いは先に述べた通りメモリ接続バス幅とTDPになる。1Gバイト版の基板には、グラフィックスメモリとして8つのメモリチップが搭載されているが、768Mバイト版は6チップだけで2チップ分のパターンが空いている。

ともに上が1Gバイト版、下が768Mバイト版。表(写真=左)と裏(写真=右)を比べて分かるように、クーラーも基板も同じデザインだ

ディスプレイ出力はデュアルリンクDVI-Iを2基とHDMIという構成(写真=左)。後部に補助電源コネクタを6ピン×2を備える

グラフィックスメモリを1Gバイト搭載したリファレンスカードの基板(写真=左)と、同じく768Mバイト搭載したリファレンスカードの基板(写真=右)。GPUの右側にある2枚のメモリチップがあるかないかが唯一の違いで、ほかはほぼ共通する

カード長は8.25インチで10.5インチカードと比べればPCケースに組み込みやすい。ただし補助電源コネクタが後部にあるため、実際の装着ではその分の奥行きが必要だ(写真=左)。リファレンスカードが搭載するクーラーユニットは、銅のヘッドに銅のヒートパイプ2本とヒートシンクを組み合わせている(写真=右)

MSIが出荷を予定しているGeForce GTX 460搭載モデル「N460GTX CYCLONE 768D5」はグラフィックスメモリを768Mバイト搭載する。リファレンスカードのクーラーユニットは“CYCLONE”シリーズに似た構造だが、サイズはCYCLONEのユニットが断然大きい。そのほか、Hi-C Capの採用など、「ミリタリークラス」の信頼性などMSIが得意とする仕様となっている(写真=左)。「N460GTX CYCLONE 768D5」が実装していたグラフィックスメモリのチップはSAMSUNGのGDDR5メモリ「K4G10325FE-HC05」を採用していた

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