東芝が10年ぶりに放つ液晶一体型PC――「dynabook Qosmio DX」の実力に迫るDynaTop・おぼえていますか(1/5 ページ)

» 2010年08月09日 17時00分 公開
[小川夏樹(撮影:矢野渉),ITmedia]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

ノートPC事業25周年とともに東芝の液晶一体型が復活

東芝の液晶一体型PC「dynabook Qosmio DX/98M」

 東芝の「dynabook」といえば、ノートPCの老舗ブランドだ。中でも「Qosmio」シリーズはAV機能を強化したハイスペックなラインアップに位置付けられる。そのdynabook Qosmioに21.5型ワイド液晶ディスプレイ一体型のデスクトップPC「dynabook Qosmio DX/98M」(以下、Qosmio DX)が加わった。東芝のノートPC事業25周年記念モデルの一角であり、同社の個人向けPCとしては久々のデスクトップとなる注目の新機種だ。

 最初に少し昔話をしよう。かつて同社には「BREZZA」(ブレッツァ)というハイスペックなデスクトップPCブランドが存在していた。「インテルの最新CPUの搭載は、まずBREZZAから始まる」といわれるほど、最新テクノロジーを凝縮したようなマシンであったと記憶している。また、1997年にはBREZZAの上位シリーズとして、「Infinia」(インフィニア)も投入したが、これらを最後にデスクトップPC市場からは姿を消した。BREZZAとInfiniaはいずれもセパレート型のデスクトップPCだった。

 同社が次に投入したデスクトップPCは、1999年に発売した液晶一体型の「DynaTop」(ダイナトップ)だ。インテリアとの調和を意識したデザイン性の高いボディが特徴だったが、こちらも2000年を最後に終息した。その後、同社はノートPCのラインアップ拡充に注力し、個人向けデスクトップPCは10年間販売してこなかったことになる(法人向けデスクトップPCの「EQUIUM」シリーズは今も健在)。

セパレート型のハイスペックなデスクトップ「BREZZA」。タワー型もあった
ブラックボディのタワー型ボディが高性能を予感させる「Infinia」
「DynaTop」は、dynabook発売10周年記念モデルの一員として1999年に投入された

 10年ぶりのデスクトップPCとなるQosmio DXは、その名の通り、ノートPCのdynabook Qosmioに搭載されてきた技術が多数盛り込まれている。基本スペックを見ても、CPUやチップセット、メモリといった主要パーツはノートPC用のものを採用しており、まさにdynabook Qosmioのデスクトップ版といった印象だ。無論、Qosmioの名を冠するだけあって、高度なAV機能も誇る。

「REGZA」風デザインにQosmioのエッセンスを凝縮

 まずは外観から見ていこう。ボディは同社の液晶テレビブランド「REGZA」のデザインを継承しており、液晶のフレームを光沢ブラック、画面の下部からY字型のスタンドにかけてをシルバーでまとめている。派手な色や過度なデザインがなく、全体的にシンプルかつ上品な外装だ。付属のキーボードとマウスが無線式で、配線をすっきりとまとめて設置できることもあり、液晶一体型PCと知らなければ、小型の液晶テレビだと思うかもしれない。

 設置に必要なスペースは、単体の21.5型ワイド液晶ディスプレイと同レベルだ。サイズは531(幅)×190(奥行き)×405(高さ)ミリで、液晶パネルの裏側にPC機能を含めたハードウェア部分を詰め込んでいながらも、それほどゴツくならずに済んでいる。その理由は冒頭で述べた通り、ノートPCのパーツを積極的に採用しているからだ。重量は約8.5キロと、さすがに単体の液晶ディスプレイより重い。スタンドにはチルト機構があり、上20度、下5度に角度調整が可能だ。

上20度、下5度のチルト調整が可能だ
背面のデザインもシンプルにまとまっている
大振りのACアダプタで給電する仕様だ

1TバイトHDDやBDドライブなど、充実の基本スペック

 PCの基本スペックは、CPUがCore i5-450M(2.4GHz/最大2.66GHz)、チップセットがIntel HM55 Express、メインメモリが4Gバイト(2GバイトPC3-8500 DDR3-1600 SDRAM SO-DIMM×2/最大8Gバイト)、データストレージが1Tバイトの3.5インチSerial ATA HDD(7200rpm)、光学ドライブが1層BD-Rに最大6倍速、BD-R DLに最大4倍速で書き込めるBlu-ray Discドライブとなっている。このうち、HDDを除くパーツがノートPC用だ。グラフィックス機能はCPUパッケージに統合されたIntel HD Graphicsを利用する。

 Core i5-450MはArrandale世代のモバイル向けCPUだ。CPUコア数は2コアで、Hyper-Threadingのサポートによって4スレッドを同時に実行できる。動作周波数は標準で2.4GHz動作だが、Intel Turbo Boost Technologyに対応することで、1コア時では最大2.66GHzまでクロックアップする。

 ちなみにCPU-Zで「Core i5-520M」という表示になっているのは、このCPUがCore i5-520Mから派生したモデルのためだ。Core i5-520Mの動作周波数は、標準では2.4GHzと同じだが、Turbo Boostによる最大クロックは1コア時で2.93GHzと高く設定されている。

 ほかにもCore i5-520Mでは、仮想マシンからダイレクトにハードウェアにI/Oアクセスを行う「Intel Virtualization Technology for Directed I/O」(VT-d)、仮想化のセキュリティを高める「Intel Trusted Execution Technology」、AES暗号の新しいインストラクション命令「AES New Instructions」に対応しているが、Core i5-450Mではこれら3つの機能が非対応となっている。つまりCore i5-450Mは、コンシューマーに必要ではないと思われる機能をCore i5-520Mから削ったモデルと考えるのがいいだろう。

CPU-ZでチェックしたCPU情報。Arrandale世代のCore i5であることが分かる。CPUはCore i5-450Mを搭載するが、Core i5-520Mと表示されている
搭載するチップセットはIntel HM55 Expressだ。Core i5-450M内蔵のグラフィックス機能を用いた外部映像出力に対応する
グラフィックス機能はCore i5-450Mに内蔵されたIntel HD Graphicsを利用する

デバイスマネージャ画面からの抜粋。こちらはCPUがCore i5-450Mと正しく認識されている。光学ドライブは「MATSHITA BD-MLT UJ240ES」、HDDは「Hitachi HDS721010CLA332」とある

       1|2|3|4|5 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月25日 更新
  1. ワコムが有機ELペンタブレットをついに投入! 「Wacom Movink 13」は約420gの軽量モデルだ (2024年04月24日)
  2. 16.3型の折りたたみノートPC「Thinkpad X1 Fold」は“大画面タブレット”として大きな価値あり (2024年04月24日)
  3. 「IBMはテクノロジーカンパニーだ」 日本IBMが5つの「価値共創領域」にこだわるワケ (2024年04月23日)
  4. 「社長室と役員室はなくしました」 価値共創領域に挑戦する日本IBM 山口社長のこだわり (2024年04月24日)
  5. Googleが「Google for Education GIGA スクールパッケージ」を発表 GIGAスクール用Chromebookの「新規採用」と「継続」を両にらみ (2024年04月23日)
  6. バッファロー開発陣に聞く「Wi-Fi 7」にいち早く対応したメリット 決め手は異なる周波数を束ねる「MLO」【前編】 (2024年04月22日)
  7. ロジクール、“プロ仕様”をうたった60%レイアウト採用ワイヤレスゲーミングキーボード (2024年04月24日)
  8. あなたのPCのWindows 10/11の「ライセンス」はどうなっている? 調べる方法をチェック! (2023年10月20日)
  9. ゼロからの画像生成も可能に――アドビが生成AI機能を強化した「Photoshop」のβ版を公開 (2024年04月23日)
  10. MetaがMR/VRヘッドセット界の“Android”を目指す 「Quest」シリーズのOSを他社に開放、ASUSやLenovoが独自の新ハードを開発中 (2024年04月23日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー