「dynabook RX3」に見る“東芝ノート四半世紀”の結論“理想”のその後(1/4 ページ)

» 2010年08月20日 21時45分 公開
[後藤治(撮影:矢野渉),ITmedia]
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“3年早く”登場していた記念モデル「dynabook RX」

dynabook RX3

 世界初のラップトップPCとして「T1100」が登場したのは1985年。それから四半世紀を経て、東芝はこの夏“ノートPC事業25周年”を記念する4つの新製品を投入した。このうち、2画面液晶を搭載する「libretto W100/11M」、Tegra搭載のAndroid端末「dynabook AZ」、同社にとってほぼ10年ぶりとなる液晶一体型PC「dynabook Qosmio DX」の3つは、復刻もしくは完全な新シリーズで、いかにも“記念モデル”という趣が強い。一方、今回紹介する「dynabook RX3」は、その名の通り3世代目にあたり、13.3型ワイド液晶を搭載する高性能モバイルノートPCとしての仕様は(記念モデルとしては)よくいえば常識的、悪くいえばやや面白みに欠けるかもしれない。

 もっとも、2007年に初代モデルが登場したdynabook SS RXシリーズは、そもそも「東芝ノートPCの開発技術を結集」し、モバイルノートPCに求められる「軽さ」「薄さ」「駆動時間」の3つで(当時の)世界一を達成する偉業を成し遂げた同社の意欲作である。その方向性は世代を経た今でもきちんと受け継がれており、今回のdynabook RX3は、いわば“3年早く登場した記念モデル”が進化した姿と言っていいだろう。

3世代目で13.3型ワイドボディにフルモデルチェンジ

ブラックで塗装した天板にはヘアライン加工が施されている

 dynabook RXの最新モデルでは、従来の12.1型液晶ディスプレイ(1280×800ドット)に代わって、アスペクト比16:9の13.3型液晶(1366×768ドット)が採用され、内部システムとボディの両面で手が入れられた。まずは外観からチェックしていこう。

 強度と軽量化を両立するマグネシウム合金製のボディは、薄型液晶パネルを採用する上位2モデルが316(幅)×227(奥行き)×16.8〜24.7(厚さ)ミリ、下位2モデルが316(幅)×227(奥行き)×16.8〜25.7(厚さ)ミリとなっている。前面側が船底形になったフラットなデザインで、カバンへの収まりもよく、重量は1.25〜1.45キロ(61AAバッテリー装着時)と、光学ドライブを搭載する2スピンドル機としては十分に軽い。また、HDDカバーやパームレストの内側に蜂の巣状のリブ構造を用いることで、軽量化とともに従来同様の堅牢性を兼ね備えているのもポイントだ。100キロの面加圧や76センチの落下試験、30ccの防滴テストをクリアしているのは、常に持ち運んで使うモバイルPCとして非常に心強い。

 実際に触った感触も非常にカッチリと作られている印象で、パームレスト部にかなり力を加えてもたわんだりはしなかった(ただ、光学ドライブの空洞があるため、液晶を開いた状態で右パームレスト部を片手で持つと底面側がややへこむ。この状態で持ち運ぶなら左手を推奨)。天板とパームレストの表面に施されたヘアライン加工も金属的な質感を引き立たせており、シンプルなデザインながら、一見して高性能なモバイルPCであることを思わせる仕上がりだ。ただ、ボディをコンコンと叩いたときの音はいかにも軽く、MacBook Proのようなアルミユニボディと比べてしまうとややチープな印象はある(もっとも、13型MacBook Proはそのぶん重量が2キロを超えているが)。

ACアダプタのサイズは、44(幅)×160(奥行き)×29(高さ)ミリ、重量はケーブル込みで268グラムだった(実測値)。モバイルPCのACアダプタとして考えればやや大きめだ(写真=左)。メモリスロットやHDDは底面から簡単にアクセスできる。底面の左パームレスト側に吸気ファンがあり、ここから吸い込んだ空気を左側面奥から排気する構造だ(写真=右)

 ちなみに、普段はカバンにMacBook Proを入れて持ち運んでいても(アップルの愛ゆえに)何とも思わない筆者のような人間でさえ、iPadを同時に携帯するようになってからは弱音を吐いてしまうことがある。考えてみれば、680グラムのiPad(Wi-Fiモデル)と2040グラムの13型MacBook Proをあわせればその重量は2.7キロを超えているわけだ。一方、iPadとRX3/T9Mの組み合わせなら1930グラムと2キロを切っており、同じ2スピンドル機であるMacBook Pro単体よりも軽いことになる。信仰心が揺らぎそうだ。

13.3型ワイドの液晶ディスプレイをチェック

 前述したように、LEDバックライトを採用した液晶ディスプレイの画面サイズは、従来の1280×800ドットから、昨今の主流にあわせてアスペクト比16:9の1366×768ドットに変更された。また、バックライトをオフにして光源に外光を利用し、屋外での視認性を高めつつ消費電力も抑えられる半透過型液晶も廃止し、通常の透過型としている。この辺りは意見が分かれるところだが、当初は尖っていた仕様が世代を経ることに“丸く”なってきた分、より一般受けしやすいという側面はあるだろう。ただ、同じ方向性を持つ1キロ台前半の高性能モバイルPCとして、標準で1600×900ドット(BTOで1920×1080ドット)の画面解像度と広色域を実現した「VAIO Z」の存在を考えると、Web直販モデルでもいいので、もう1つグレードの高い液晶の選択肢もあったほうがよかった。なお、RXシリーズはこれまで非光沢パネルを採用してきたが、RX3では透過型液晶が採用されているため、特に彩度が低い印象はない。外光の映り込みも少ないため、仕事用マシンとしては最適だろう。

1366×768ドット表示対応した13.3型液晶ディスプレイを搭載する(写真=左)。13.1型で1920×1080ドットのパネルまで選べる「VAIO Z」と比較(写真=中央)。RX3の上位2モデルは薄型仕様のLED液晶を採用する。右は「VAIO Z」(写真=右)

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