エムエスアイコンピュータージャパン(以下、MSI)が、8月24日に大々的な発表会を行って日本市場での登場をアピールした「GT660R」と「GX660R」は、同社が2010年に最も力を入れて展開すると宣言したゲーミングノートPCだ。
すでに、日本市場でも「GT640」といったゲーミングノートPCが投入されているが、“660”シリーズは、それより型番が大きい“単なる上位モデル”というだけでなく、MSIがユーザーに「最高のゲームプレイができるノートPCを提供する」というコンセプトで開発された「ゲーミングノートPCのプレミアムモデル」といってもいい。
「最高のゲームプレイ環境を実現」するために、MSIが意識したのは、これまでの“G”シリーズで長い年月をかけて蓄積してきた、ゲームプレイを支援する「“A”“W”“S”“D”キートップの赤いアイコン」や、高いパフォーマンスを発揮するハイエンドCPUとGPUの実装を可能にする高い冷却性能だけでない。
システムの負荷にあわせたオートオーバークロック機能ともいえる「TDE+」の実装など、独自の技術で実現した性能向上機能に加え、ゲームサウンドを充実させるため、車載オーディオの分野において高級モデルの開発で世界的に支持されている、「DYNAUDIO」との共同による内蔵サウンドシステムのデザインが行われているのも大きな特徴としてMSIはアピールしている。
このように、2010年に登場するプレミアムなゲーミングノートPCとなる“660”シリーズについては、3月に行われたCeBIT 2010で大々的にローンチイベントを行っているが、2010年も8月の末になって、ようやく日本でも製品が投入されることになった。
冒頭でも紹介したように、今回登場する“660”シリーズは「GT660R」と「GX660R」の2モデルだ。どちらも、そのスタイルはまったく同じで、15.6型ワイドの液晶ディスプレイからブラックのボディにオレンジのラインをあしらった戦闘的なデザイン、本体に搭載したインタフェースの種類やイルミネーションのレイアウトまで、外見はほぼ共通している。液晶ディスプレイの解像度も1920×1080ドットのフルHD対応と同じだ。
内部のシステム構成も、CPUがClarksfield(開発コード名)世代のクアッドコアモデル「Core i7-720QM」で、定格動作クロックは1.6GHz、Turbo Boost Technology有効時で最高2.8GHzまでクロックアップ可能。また、DDR3に対応したメモリスロットを3基用意して最大12Gバイトまで実装可能で、チップセットにはIntel PM55 Expressを採用しているのも共通する。さらに、両機とも、データストレージとして500GバイトのHDDを2基内蔵している。
GT660RとGX660Rの違いは搭載するGPUだ。GT660Rは、NVIDIAのGeForce GTX 285M(グラフィックスメモリはGDDR3を1Gバイト)を採用し、GX660RはAMDのMobility Radeon HD 5870(GDDR5を1Gバイト)を採用する。見た目も内部構成も似通った両者の違いは、このGPUの違いに尽きるといってもいいだろう。例えていうなら、旧日本海軍が太平洋戦争中に建造した海防艦の「丙型」と「丁型」の関係に近い(ここは、分かる人だけがフンフンとうなずいてくれれば本望)。
なお、GT660RとGX660Rの仕様やそのコンセプト、出荷開始時期や価格などについては、MSIが行った発表会の記事で詳しく紹介するので、そちらも参考にしていただきたい。
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