キヤノンは8月30日、インクジェットプリンタ「PIXUS」シリーズのA4複合機5モデル、A4単機能機1モデルを発表した。9月9日より順次発売する。製品概要は既報の通りだ。ここでは同日都内にて開催された製品発表会の模様をお届けする。
最初に登壇したキヤノンマーケティングジャパン代表取締役社長の川崎正己氏は、国内インクジェットプリンタ市場の動向について「2005年以降は微減傾向が続いたが、2010年上半期は景気回復に伴って前年比で6%増と持ち直し、年間では4%増の伸びが見込める」と予測。自社のインクジェットプリンタ事業に関しては「2010年上半期のシェアは46%程度、今回の新製品投入により年間で50%以上のシェア1位を目指す。消耗品も市場全体の伸び率を上回って伸びている」とPIXUSシリーズの好調ぶりを語り、新製品に対する自信を見せた。
PIXUSブランドは2010年で誕生から10年目を迎える。川崎氏は「これを機にデザインとUIを一新し、フルモデルチェンジを行った。PIXUSのロゴマークも、未来へ羽ばたくチョウのように成長することを願った新デザインに変更している」と、例年以上の注力ぶりを強調した。また、今後の事業方針として「プリンタ本体のみならず、アプリケーションの使いやすさや、サービス・サポート体制も充実させる。さらには教育支援や写真文化の醸成、使用済みインクカートリッジの積極的な回収による環境保全、社会貢献も継続して行っていく」という。
次にキヤノン 常務取締役 インクジェット事業本部長の清水勝一氏が登壇し、新モデルの特徴を解説した。清水氏は「新ラインアップは美しさと快適さを両立しており、ボディ天面にユーザーインタフェースを融合した。漆黒のボディへ突如浮かび上がる光がユーザーをナビゲーションする操作性により、あたかもプリンタと対話しているかのような、これまでにない感動を味わえる」と、黒鏡面で統一した新デザインのボディと、複合機上位2モデルに採用した静電センサー式の新ユーザーインタフェース「Intelligent Touch System(インテリジェントタッチシステム)」をアピールした。
Intelligent Touch Systemでは、未使用時に静電センサーの各ボタンがブラックアウトした状態になっており、メニューの操作に応じて必要なボタンだけがLEDの光で浮かび上がる。静電センサーの採用により、指で軽く触れるだけで操作が可能だ。清水氏は、同社が実施したアイトラッキング試験において、光によるナビゲーションがあると、視線に迷いがなくなり、操作時間も大幅に短縮できるという結果を発表し、新UIの優位性をアピールした。
また、複合機の上位3モデルに標準搭載された無線LAN機能を利用したiPadやAndroid端末からの印刷機能、キヤノンのデジタルカメラで撮影したMOV形式のフルHD動画から1コマを切り出して自動画像補正もかけて印刷できる「フルHD動画プリント」機能、BCI-325/326の純正インクを使う新モデル向けに、専用の画像コンテンツを提供するWebサービス「クリエイティブパーク プレミアム」などを紹介した。「自動写真補正II」機能では、PC使用時に光源情報を推定して色かぶりを補正することで、従来得意としていた青かぶりに加えて、赤かぶりの補正も強化したという。
最小1ピコリットルのインク滴と最高9600dpiの解像度を両立するプリントヘッド技術「FINE」、2つの黒インク(W黒)は健在だ。新モデルでは、従来ハイエンド機のMP990が採用していたグレーインク搭載の全6色インクシステム(顔料ブラック、染料ブラック、グレー、シアン、マゼンタ、イエロー)を上位2番目のMG6130まで拡充している。
清水氏は環境への配慮も重要なスペックとして掲げ、「さまざまな環境基準を満たすほか、自動両面印刷やWebページをレイアウト印刷できるWebブラウザプラグインのEasy-WebPrint EXにより、簡単に紙を節約できるようにしている。LEDライトの採用や全機種でスリープモードに対応するなど、今後も人と環境に優しいモノ作りを続ける」と述べた。
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