「Eee PC 1018P」徹底検証――Netbookの殻を破ったプレミアムミニノートUSB 3.0×2、BT 3.0、ギガビットLAN、指紋センサーまで(1/4 ページ)

» 2010年09月07日 11時00分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]
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もはやこれはNetbookと呼べるのだろうか?

ASUSのミニノートPC新モデル「Eee PC 1018P」

 「Eee PC 1018P」は、ASUSTeK Computer(ASUS)のミニノートPCブランド「Eee PC」に加わった新モデルだ。CPUにAtom Nシリーズを採用したNetbookカテゴリーの製品ながら、アルミ素材の薄型軽量ボディに、2基のUSB 3.0ポートをはじめ、Bluetooth 3.0+HS、ギガビットLAN、指紋センサーまで搭載したプレミアムモデルとなっている。

 過去のEee PCシリーズだけでなく、Netbook全体でもこれほどインタフェース回りが充実した製品はまず見当たらない。同社は1018Pを“新世代のEee PC”と位置付けているが、確かにこれまでのNetbookの枠を超えた装備が目立つ。

 今回は1018Pが今までのNetbookとどう違うのか、パフォーマンスや使い勝手、バッテリー駆動時間などをじっくり検証した。

プレミアムな存在感を演出するエレガントな薄型軽量ボディ

 昨今のEee PCシリーズはボディデザインの作り込みに力を入れているが、1018Pについては、これまで以上に外観が洗練された印象だ。天面とパームレスト、液晶ディスプレイのフレーム部にはアルミニウムを使用し、その表面は金属の質感を生かした粗めのヘアライン加工で仕上げている。

 天面の中央部にはASUSの金属ロゴバッジをあしらっており、ロゴ自体にも微細な溝を掘るなど、シンプルながらこだわりが感じられる外装だ。キーボードはおなじみのアイソレーションデザインだが、キーボードユニットとキーボードベゼル、パームレストをシームレスに一体化し、エレガントなラインを作り上げている。

 PC本体部の側面から底面にはバッテリーも含めて細かいテクスチャが施されており、なかなかの高級感があることに加えて、手に持ったときの感触も心地よい。ボディカラーは2色用意され、今回入手したブラックのほか、ホワイトが選べる。

天面は粗いヘアライン加工が施されたアルミニウム製だ
ASUSのロゴバッジにも微細な溝が掘られている

写真では分かりにくいが、パームレストとタッチパッド面もヘアライン加工で統一されている
液晶ディスプレイのフレームも粗いヘアライン加工だ
PC本体部の側面から底面には細かいテクスチャが見られる

 ボディのサイズは公称値で262(幅)×179(奥行き)×18〜21(高さ)ミリだ。ほぼB5ジャストサイズのフットプリントで、フラットに近いスリムなフォルムはビジネスバッグなどマチがさほど広くないバッグへの収まりもよい。ただ、公称値の表記では「突起部を除く」サイズとされており、底面のゴム足まで含めて実測してみると、最薄部で約23ミリ、最厚部では約25ミリ程度あった。

 重量は公称値で約1.1キロだ。実測での重量は1.111キロで、こちらはほぼ一致した。たくさんのバリエーションで展開してきたEee PCシリーズの中でも最薄・最軽量の部類に入り、Netbookカテゴリーの製品としては高い携帯性を誇る。

薄型のリチウムポリマーバッテリーと、小型軽量のACアダプタを採用する

 底面のパームレスト裏側に装着するリチウムポリマーバッテリーの容量は44ワットアワー(6000mAh/7.4ボルト)で、公称の駆動時間は約6時間とされている。厚さ21ミリ程度、重量約1.1キロの薄型軽量ボディであることを考えると、このバッテリー駆動時間はかなり優秀といえるだろう(バッテリー駆動時間のテスト結果は後述)。

 また、従来のEee PCシリーズ同様、本体と一緒に携帯しても苦にならない小型軽量のACアダプタが付属する。ACアダプタのサイズは34(幅)×88(奥行き)×26(高さ)ミリで、電源ケーブルを含めた重量は約209グラムだ(いずれも実測値)。電源ケーブルが海外仕様の太い3ピンタイプではなく、国内で主流の細い2ピンタイプなので、バッグの中でかさばらないのは携帯時に助かる。

Bluetooth 3.0+HS、ギガビットLAN、USB 3.0を標準装備

 通信機能は、1000BASE-Tの有線LAN、IEEE802.11b/g/nの無線LAN、そしてBluetooth 3.0+HSにも対応しており、Netbookとしては非常に充実している。標準でギガビットLANが利用できるのに加えて、Bluetooth 3.0+HSのすばやいサポートは目を引く。

 Bluetooth 3.0+HSは無線LANの通信方式を取り入れ、最大24Mbpsの高速なデータ転送を実現していることが大きな特徴だ。Bluetooth 3.0+HSに対応した機器同士では、機器のペアリングをBluetoothで行いつつ、無線LANのリソースを利用して高速なデータ転送ができる。Bluetooth 2.1+EDRと下位互換性があるので、従来のBluetooth機器との接続も可能だ。現状では先物買いだが、今後Bluetooth 3.0+HS対応機器が普及しても、標準仕様で利用できるという安心感はある。

右側面に2つ並んでいるブルーで塗られたUSBポートがUSB 3.0対応だ

 本体装備の端子類では、USB 3.0ポートを2基搭載する点が目新しい。Eee PCシリーズとしては初めての採用だ。USB 3.0では、従来USB 2.0で規定されていたロースピード(1.5Mbps)、フルスピード(12Mbps)、ハイスピード(480Mbps)に加えて、新たにスーパースピードモードを用意し、5Gbpsの高速転送を実現している。

 USB 3.0のメリットとしては、外付けHDDなどのストレージとのデータ転送が高速に行える点が大きい。すでにUSB 3.0に対応した外付けHDDは数多く登場しており、その恩恵はすぐに得られる。評価機のデバイスマネージャを見ると、USB 3.0コントローラにはルネサスエレクトロニクス(旧NECエレクトロニクス)製が採用されていた。

 USB 3.0ポートはボディの右側面に2基装備しているが、左側面にはUSB 2.0ポートも1基備えており、合計で3基のUSBポートが利用できる。青色のコネクタで区別されているUSB 3.0ポートは、形状こそ従来のUSB 2.0ポートと同じだが、信号線は5本増えており、USB 3.0のスーパースピードモードに対応したケーブル/デバイスを接続すれば、最大5Gbpsでの高速転送が可能になる。もちろん、下位互換性も確保されているので、従来のUSB 2.0対応HDDやUSB 1.1対応のマウスなどを接続しても問題なく利用できる。

 なお、左側面のUSB 2.0ポートは、電源がオフや休止状態のときでも携帯電話や携帯音楽プレーヤーを接続して充電できる「USB Charge+」機能に対応している。したがって、携帯機器をUSBバスパワーで充電するためだけに、PCを起動する手間は不要だ。

デバイスマネージャで確認したところ、評価機のUSB 3.0コントローラはルネサスエレクトロニクス(旧NECエレクトロニクス)製だった
「USB Charge+」というユーティリティが用意されており、本体が休止状態や電源オフ状態でもUSB 2.0ポートから充電できる

 右側面にはこのほかSDメモリーカード(SDHC対応)/MMCの読み書きに対応したカードスロット、ヘッドフォン出力、マイク入力、有線LAN、ACアダプタ用のDC入力などがあり、左側面にはUSB 2.0ポートのほか、アナログRGB出力が用意されている。ボディがスリムなため、有線LAN端子は使うときだけ開く開閉式を採用している。ACアダプタのDC入力端子がとても細く、やや外れやすいのは少し気になった。

前面にインタフェース類は用意されていない
背面には電源やバッテリーのインジケータがある

左側面にアナログRGB出力、USB 2.0、排気口、盗難防止ロック用コネクタを配置している
右側面にカードスロット(ダミーカード装着)、音声入出力、2基のUSB 3.0、有線LAN、DC入力が並ぶ

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