NVIDIAから、9月13日(日本時間)にFermi世代GPUの新モデル「GeForce GTS 450」が発表された。この発表により、これまで、「GTX」のハイエンドモデルだけだったFermi世代のGPUが1万円台のグラフィックスカードにも搭載されるようになる。長らくDirectX 10対応だった低価格GeForceユーザーにとって、GeForce GTS 450はどのようなメリットをもたらしてくれるのかを、検証してみたい。
GeForce GTX 480からスタートし、“GTX 470”、“GTX 465”、そして“GTX 460”とFermi世代のGPUが登場したが、すべてハイエンド向けを示す「GTX」のラインアップだった。しかし、今回登場する“GTS 450”によって、ようやくミドルレンジ(とはいえ、搭載するグラフィックスカードは1万円台で購入できるが)でもFermi世代が投入されることになる(依然として、1万円を切るローエンドクラスでのFermi世代は待ち状態であるが)。
GeForce GTS 450のコアは開発コード名で「GF106」と呼ばれており、GeForce GTX 460のGF104と異なる。構成トランジスタ数が11億7000万個まで減り、ダイサイズも大幅に縮小された。
CUDAコアは、GeForce GTX 460の約6割となる192基で、テクスチャユニットが32基、ROPユニットが16基となる。また、グラフィックスメモリはGDDR5に対応する。メモリ容量は1Gバイト、メモリバス幅は128ビットで、これはGeForce GTX 460の1Gバイト版に対し半分に相当する。なお、GeForce GTX 460の768Mバイト版に相当するメモリバス幅縮小モデルについては、現在まで情報が出ていない。
このように、構成トランジスタ数やCUDAコアの数を減らしたことで、消費電力はGeForce GTX 460から50ワットほど削減でき、補助電源コネクタを6ピン×1基で補えるようになった。
GeForce | GTX 480 | GTX 470 | GTX 465 | GTX 460(1GB) | GTX 460(768MB) | GTS 450 |
---|---|---|---|---|---|---|
CUDA Core | 480 | 448 | 352 | 336 | 336 | 192 |
テクスチャユニット | 60 | 56 | 44 | 56 | 56 | 32 |
ROPユニット | 48 | 40 | 32 | 32 | 24 | 16 |
GPUクロック(MHz) | 700 | 607 | 607 | 675 | 675 | 783 |
シェーダークロック(MHz) | 1401 | 1215 | 1215 | 1350 | 1350 | 1566 |
メモリクロック(MHz) | 924 | 837 | 802 | 900 | 900 | 900 |
メモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 |
メモリバス幅 | 384 | 320 | 256 | 256 | 192 | 128 |
メモリ帯域幅 | 177.4GB/sec | 133.9GB/sec | 102.7GB/sec | 115.2GB/sec | 86.4GB/sec | 57.7GB/sec |
メモリ容量(MB) | 1536 | 1280 | 1024 | 1024 | 768 | 1024 |
消費電力(ワット) | 250 | 215 | 200 | 160 | 150 | 106 |
補助電源レイアウト | 8+6 | 6+6 | 6+6 | 6+6 | 6+6 | 6 |
DirectXサポート | 11 | 11 | 11 | 11 | 11 | 11 |
構成トランジスタ数 | 30億 | 30億 | 30億 | 19.5億 | 19.5億 | 11.7億 |
プロセスルール | 40ナノメートル | 40ナノメートル | 40ナノメートル | 40ナノメートル | 40ナノメートル | 40ナノメートル |
SM(Streaming Multi Processors) | 15 | 14 | 11 | 7 | 7 | 4 |
GPC(Graphics Processing Clusters) | 4 | 4 | 3 | 2 | 2 | 1 |
NVIDIAはGeForce GTX 460の説明資料で、GeForce GTX 480を(主力戦車の意味で)「Tank」、GeForce GTX 460を(軽快な偵察装甲車両の意味で)「Hunter」と表現したが、GeForce GTS 450は、「Sniper」と紹介している。
主に利用する解像度として、ハイエンド向けのGTXシリーズが1920×1200ドット以上であるのに対し、GeForce GTS 450では1680×1050ドットを想定している。これは、Valveの調査で、1280×1024〜1680×1050ドットという解像度でゲームを楽しむユーザーが調査対象者の約57%を占めるという結果がでていることが影響している。“Sniper”という表現は、GeForce GTS 450がこのゾーンに属するPCゲームユーザーを“狙い撃ちして”低価格と性能を訴求するNVIDIAの考えを示している。
NVIDIAは、GeForce GTS 450はオーバークロック耐性に優れている面も訴求している。同社の検証では、コアクロック860MHz以上という条件でもベンチマークテストが実行できたとしている。このことから、グラフィックスカードベンダーからオーバークロックモデルが多数投入される可能性は高いだろう。
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