米NVIDIAのGPUテクノロジーをテーマにした開発者向けカンファレンス「GPU Technology Conference」(GTC)が米カリフォルニア州のサンノゼでスタートした。9月21日(現地時間)には同社プレジデント兼CEOのジェンセン・ファン氏による基調講演が行われ、NVIDIAの現況、そして、CUDAの利用事例や将来のロードマップについて紹介した。
NVIDIAといえば「GPU」となる。実際、GeForceやQuadroなどのGPUを搭載したグラフィックスカードを、自宅やオフィスのPCで利用しているユーザーも多いだろう。最近では「Tegra」で、スマートフォンやタブレットデバイスや組み込み分野への参入も果たしている。
そのNVIDIAが、いま最も力を入れており、第3の柱として重視するのが「GPUコンピューティング」と呼ぶGPU性能を生かした並列コンピューティングだ。NVIDIAでは以前から自社のGPUに「CUDA」と呼ぶGPUコンピューティングを実現する開発環境を用意し、GPU上でさまざまな計算を行わせるプログラムを作成できるようにしている。GPUを描画計算以外の処理に活用するこうした取り組みは、DirectXでも標準採用されるなど注目を集めている。
最新の「Fermi」世代では、GPUコンピューティングに最適化されたアーキテクチャを採用することで、非常に高い汎用演算性能を実現している。NVIDIAではFermiを「テッセレーション・モンスター」と表現しているが、ジオメトリ演算性能では従来製品の数十倍というパフォーマンスを発揮する。テッセレーションは少ないデータ構造で複雑な描画を実現する技術で、この演算で強力なパフォーマンスをユーザーに提供するのがFermiに与えられた重要な任務だ。
NVIDIAは、Ageiaを買収してPhysXの物理演算エンジンを入手するなど、3D描画以外の分野におけるGPUの役割の拡大に力を入れている。GTCでも物理演算の結果をリアルタイムで視覚化するなどの、GPUコンピューティングだからこそ可能になるさまざまなライブデモが紹介された。
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