「WiMAX2」世界初の動態デモ──WiMAXルータ新モデル+WiMAXタブレットもCEATEC JAPAN 2010

» 2010年10月05日 14時41分 公開
[岩城俊介,ITmedia]

最大330MbpsのWiMAX2デモ+WiMAXルータ新モデルを公開

photo UQコミュニケーションズブース

 CEATEC JAPAN 2010のUQコミュニケーションズブースは、2012年以降に製品リリースを予定するWiMAX2(IEEE802.16m)の世界初動態デモとともに、WiMAX内蔵自動販売機、WiMAX内蔵写真シール機、WiMAX内蔵PC、WiMAX Speed Wi-Fi(WiMAX内蔵のポータブル無線LANルータ)などの展示を行う。

 新世代のWiMAX2は、固定光ファイバー回線に匹敵する下り最大330Mbpsの高速な通信速度、伝送遅延のさらなる短縮、高速移動(時速350キロ)にも対応、サービス当初からエリア広域性を確保する点、周波数効率をさらに拡大する取り組みなどを特徴とし、2010年末にIEEE/WiMAX Forumでの規格標準化を完了、2011年末にWiMAX2機器認証プログラムの開始、そして2012年以降にWiMAX2関連製品リリースとサービスインを予定する。

 今回の動態デモは、2.6GHz帯/帯域幅40MHzで重量約20.4キロ(BS RRH)+重量20キロ(BS DU)のRRH/DU分離タイプの基地局に、同じく2.6GHz帯/帯域幅40MHzで、約52キロの端末(MS)を用い、フルHDの映像を16個、フルHDの3D映像を1個(およびスループットモニター用)を同時にダウンロード(ストリーミング再生)する環境を構築。現状の一般家庭では使い切れないほどのリッチな通信状況でも途切れることなくスムーズに再生できることをアピールする。UQコミュニケーションズは、WiMAX2技術の早期確立と実用化に向け、実証実験を逐次推進していく考えとしている。

photophotophoto WiMAX2の特徴とロードマップ、仕様。「実速度比では、LTEより約2年ほど先を行っている」(説明員)
photo WiMAX内蔵PC・ルータ機器が今後主流になっていくという

 モバイルWiMAXにおいては今後、PCはもちろん、携帯ゲーム機やスマートフォンなど無線LAN搭載の小型デバイスでも高速なWiMAX網を共有できる“WiMAX Speed Wi-Fi”(WiMAXルータ)およびWiMAX内蔵PCの普及が見込まれる。2010年9月現在、WiMAX内蔵PC/WiMAXルータともに10〜15%ほどのシェアで残りはUSB接続型の端末が占める状況だが、2011年3月にはそれが20〜30%ほどまで伸び(WiMAX内蔵PCとWiMAXルータで約50%)、今後、これらが主流になると予測されている。

 WiMAXルータは未発表製品として、アルチザネットワークス「AZ01MR」、NECアクセステクニカ「AtermWM」シリーズの新モデル、アイ・オー・データ機器製の新モデルが参考展示されていた。

photophotophoto WiMAXルータの発売予定モデル。左からアルチザネットワークス「AZ01MR」、NECアクセステクニカ「AtermWM」シリーズの新モデル、アイ・オー・データ機器の新モデル。AtermWMの新モデルは105(幅)×70(奥行き)×15(高さ)ミリ、重量は約120グラム、バッテリー動作時間は5時間以上だという

 中でも注目はアルチザネットワークスのAZ01MRだ。同社は法人向け通信・計測機器を扱う国内の企業で、コンシューマー向け製品の投入は初。プロ用通信機器の開発ノウハウをコンシューマー向け製品に惜しみなく盛りこんだという。WiMAXチップセットにBeceem Communications 「BCSM352」を採用し、低ノイズ・高効率を追求した回路設計を施した。無線LAN部はIEEE802.11b/gで、セキュリティはWEP、WPA-PSK、WPA2-PSK、WPSなど。マルチSSIDをサポートし、Micro USB端子経由でUSB充電(充電中の使用)に対応。簡易ネットワークストレージ代わりになるmicroSDスロットや有機ELの情報表示ディスプレイを備える。

 バッテリーは3.7ボルト/1700mAhで、気になる動作時間は4時間以上(予定)とのこと。本体サイズは99.5(幅)×59(奥行き)×13.9(高さ)ミリ、重量は約105グラム。Artiza Dezignと呼ぶコンシューマー向けブランドを立ち上げ、機能性とデザイン性を兼ねたオプションのオリジナル革ケースとともに、2010年12月下旬の発売(同社直販サイト「Artiza Design」で12月15日より限定販売)を予定する。


photophotophotophoto WiMAX通信モジュールを内蔵した活用例もいろいろ。JR品川駅に設置するWiMAX内蔵自販機は、中央上部のカメラで人物を識別・判別しつつ「その人向けのお勧め」を示してくれる。識別情報のやりとりに高速なWiMAX網を用いているという。同じく、WiMAX搭載の写真シールを作成するベンダー機(いわゆるプリクラ機のようなもの)などもある。また、WiMAXモジュールを内蔵するタブレット(詳細は不明)も展示されていた

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