2011年版セキュリティソフト徹底比較(第1回)最強はどれだッ!?(1/4 ページ)

» 2010年10月18日 16時22分 公開
[松岡宣,ITmedia]
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 2011年版セキュリティソフトの主な特徴は2010年版と同様の傾向になるが、具体的には、クラウドの活用、軽量化かつ高速な動作、複数台または複数年利用可能なパッケージの提供あたりが挙げられるだろう。特に2011年版ではクラウド技術を前面に押し出したものが多い。

 現在ではWebを取り巻くさまざまな脅威への対応がセキュリティソフトの重要な役割となっているが、ウイルス定義に加えて、Webサイトの危険情報やアプリケーションの安全性情報なども含め、すべての情報をローカルに保持するのはシステムリソースへの負担が大きくなってしまう。また、定期的なウイルス定義ファイルの更新だけでは、更新間隔を突いた脅威への対応が間に合わない可能性もある。そこで昨今のセキュリティ製品の多くは“クラウド”をうたうものが増えてきた。インターネット上のサーバ(クラウド)から必要な情報だけを直接取得することによって、突発的な脅威に迅速に対応しつつ、更新のダウンロードや適用といった処理の負荷を低減しているわけだ。さらに、全世界のユーザーから収集したプログラムやWebサイトの評価(レピュテーション)を利用して、脅威をランク分けすることにより、統計的にマルウェアの検知率を上げる、または誤検知率を下げることができる。

 軽量なセキュリティソフトは、Netbookのように比較的パフォーマンスの低いPCが広く使われるようになったことから需要が増えている。また、複数台のPCを所有する家庭も珍しくなくなった現在、複数台にインストール可能なパッケージが増えるのも自然な流れといえるだろう。

 この特集では、「2011年版セキュリティソフト徹底比較」と題して、主要セキュリティベンダー7社の最新セキュリティスイートを全3回にわたって多角的に比較していく。第1回では、各製品の概要とユーザーインタフェースを見ていこう。

複数台使用可能なセキュリティソフトと主な価格一覧(直販サイトでの販売価格または定価※10月18日現在)
製品名 メーカー 台数 使用期間 価格 備考
ノートン インターネットセキュリティ 2011 シマンテック 3 1年 6480円 パッケージ版/ダウンロード版
G Data インターネットセキュリティ 2011 G Data 3 1年 3480円 ダウンロード版
G Data 5 1年 7480円 パッケージ版
PC Tools Internet Security PC Tools 3 1年 4980円 ダウンロード版(2011年版)
PC Tools 2 1年+6か月ボーナス 3980円 パッケージ版(2010年版)
ウイルスバスター2011 クラウド トレンドマイクロ 3 1年 4980円 ダウンロード版
トレンドマイクロ 3 1年 5980円 パッケージ版
ESET Smart Security V4.2 キヤノンITソリューションズ 2 1年 7140円 パッケージ版
キヤノンITソリューションズ 3 1年 8820円 ダウンロード版
Kaspersky Internet Security 2011 カスペルスキー 3 1年 7140円 パッケージ版
カスペルスキー 3 1年 6279円 ダウンロード版
マカフィー インターネットセキュリティ2011 マカフィー 3 15か月 5198円 ダウンロード版

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シマンテック「ノートン インターネットセキュリティ 2011」

ノートン インターネットセキュリティ 2011

 「ノートン インターネットセキュリティ(以降、NIS)」は、セキュリティベンダー大手のシマンテックがラインアップする主力製品の1つだ。冒頭に挙げた“軽さ”を追求する機能としては、安全と評価された既知のプログラムをスキャン対象から外すことによりスキャン速度を向上させる「Nortonインサイト」機能を2009年版で導入した。また、2010年版ではNortonユーザーコミュニティに参加する全世界のユーザーから送信された評価情報をローカルファイルに適用できるようになった。そして最新のNIS 2011では、このクラウドベースの機能に「評価スキャン」が追加され、ローカルファイル全体の評価レベルを確認したり、コミュニティ全体の評価レベルとの比較が可能となっている。

 一方、ウイルス定義ファイルのアップデートは、1時間ごとに実行される定期的なアップデートに加え、数分おきに更新の有無をチェックして最新のウイルス定義をダウンロードする「パルスアップデート」が利用できる。パルスアップデートでダウンロードされるウイルス定義ファイルはサイズが小さいため、パフォーマンスへの影響を最低限に抑えつつ、最新の脅威からの保護が可能だ。

 Web閲覧中の脅威に対しては、フィッシング対策やスパム対策、悪質なWebサイトへのアクセスを遮断する機能に加え、Webサービスへのログオン情報やクレジットカードデータなどを安全に保存して自動入力する機能が用意されている。また、ペアレンタルコントロール(保護者機能)は、子供の使用するPCに別途「ノートンオンラインファミリー」をインストールすることで、NIS 2011からの監視が可能となる。

NIS 2011のメイン画面。現在の保護状況のほか、画面下には全世界で発生している脅威が地図上に表示される(画面=左)。設定画面は項目を羅列しているだけなので、目的の項目を見つけるのが少し面倒。独自の用語が多用されるため、設定内容が分かりにくいのも難点だ(画面=右)

  • 設定はやや複雑でPC初心者にはやや難しい印象

 NIS 2011は、機能が豊富で細かい設定が可能になっているが、その半面、設定項目が多すぎて分かりにくいともいえる。設定画面はカテゴリ別にグループ化されてはいるものの、基本設定と高度な設定といった区分はなく、単に設定項目が並んでいるだけだ。また、独自の名前が付けられているものが多く、全体的に難解だ。これでは初心者は初期設定のまま使用するしかないだろう。NIS 2011の高度な機能を初心者でも利用できるように、プリセットが用意されることが望まれる。

  • 製品CDからブートしてウイルス除去が可能

 製品CDはWindows PEベースのLive CDになっており、ウイルス感染によりNIS 2011がインストールできない場合や、Windowsが起動できなくなった状態でも製品CDからブートしてウイルス除去を実行できる。Windows PEベースなので、Windows Vista/7を実行しているPCであれば、問題なく起動できるだろう。Windows XPマシンでもほぼ問題ないが、搭載物理メモリが256Mバイト以下の場合は起動できない可能性もあるので注意が必要だ。また、Windows 7で標準サポートされないネットワークアダプタを使用する場合は、ウイルス定義ファイルの更新が実行できないこともあるので、あらかじめ確認しておくといい。なお、別途「Norton Bootable Recovery Tool」をダウンロードすれば、ブート可能なUSBメモリを作成することも可能だ。


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