2011年版セキュリティソフト徹底比較(第1回)最強はどれだッ!?(3/4 ページ)

» 2010年10月18日 16時22分 公開
[松岡宣,ITmedia]
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キヤノンITソリューションズ「ESET Smart Security V4.2」

ESET Smart Security V4.2

 キヤノンITソリューションズの「ESET Smart Security V4.2(以降、ESET)」は、未知ウイルス検出性能の高さに定評がある「ESET NOD32アンチウイルス」ベースの総合セキュリティソフトだ。NOD32はAV-Comparativesが2004年から年2回発表している未知ウイルスの検出テスト(Retrospective/Proactive Test)において、すべて最高ランクのAdvanced+を取得している。既知ウイルスの検出性能も良好で、直近のテストでは4回連続してAdvanced+を獲得した。

 今回取り上げたセキュリティソフトの中では、ESETの機能が最もシンプルで、ウイルス/スパイウェア対策以外の機能は、ファイアウォールと迷惑メール対策のみとなっている。Webアクセス保護や電子メールのスキャン機能では、多くのセキュリティソフトがいったんダウンロードされたファイルをスキャンするのに対し、ESETは通信内容を監視してウイルスや危険なスクリプトなどを検出する。キャッシュフォルダなどに格納することなく脅威を検出できるので、より安全性が高い。独自のルート証明書をインストールすることで、暗号化された通信を監視することも可能だ。なお、ESETもインストール時にWindows Defenderを無効化しないので、パフォーマンスへの影響が気になる場合は無効化しておくといいだろう。

  • 設定画面を3段階に切り替えられる分かりやすいUI

 ESETの設定は、メイン画面の「設定」から変更できるが、デフォルトではウイルス/スパイウェア対策機能およびファイアウォール機能の有効/無効を切り替えるオプションのみが表示される。個別の機能を設定するには、詳細モードに切り替えればいい。さらに詳細設定のツリーを表示させることで、すべてのオプションを変更可能となる。設定方法が3段階になっているため、細かい設定に対応しているにもかかわらず、初心者にも分かりやすいのがポイントといえる。

標準状態の設定画面。必要最低限の項目だけが表示されている(画面=左)。詳細モードに切り替えたところ。設定可能な項目が追加される(画面=中央)。「詳細設定のツリー全体を表示する」をクリックすると、すべての設定を変更可能な画面が表示される(画面=右)

  • レスキューメディアの作成機能を搭載

 ESETにはレスキュー用として、Windows PEベースのLive CD/USBメモリを作成する機能が用意されている。あらかじめWindows AIK(Windows自動インストールキット)をインストールしておく必要があるが、特別な知識は必要ない。対象デバイスを選択するだけで簡単に作成できるので、何かのときのために1つ作成しておくといい。なお、USBメモリに書き込む場合は既存のデータがすべて消去されるので注意しよう。

  • ユーザー登録手順が面倒

 ESETでウイルス定義ファイルをダウンロードするにはユーザー登録が必要となるが、登録手順が煩雑な点が非常に気になった。具体的には2度Webサイトにアクセスしてユーザー情報を入力し、2度電子メールを受信する。2通目の電子メールに記載されたユーザー名とパスワードをESETに入力することで、初めてウイルス定義ファイルがダウンロードできるようになる。ほかのセキュリティソフトと比較してかなりの手間が必要になるうえ、登録完了まで完全な保護が行われない。また、ユーザー登録時に電話番号や住所も入力する必要があるため、プライバシーが気になるユーザーもいるだろう。ほとんどのユーザーはウイルス定義のダウンロード以上のサポートが必要になることもないと思われるので、こういった点は簡略化してほしいところだ。


トレンドマイクロ「ウイルスバスター2011 クラウド」

ウイルスバスター2011 クラウド

 トレンドマイクロの「ウイルスバスター2011 クラウド(以降、ウイルスバスター2011)」では、ウイルス定義情報のおよそ80%をクラウド上に置くことで大幅な軽量化を実現している。ローカルに置くウイルス定義ファイルの更新は自動で実行されるようになっており、ユーザーが更新スケジュールを設定したり、自動更新を無効化したりといった設定は存在しない。ただし、通知領域のアイコンをクリックして「アップデート開始」を選択するか、メイン画面でヘルプボタンをクリックして「バージョン情報」を選択することで、手動更新は実行可能だ。ちなみに、メイン画面にはウイルス定義の最終更新日時が表示されないが、バージョン情報の画面で確認できる。

 ウイルスバスター2011の特徴は、地域限定で発生する脅威への対応が強い点だ。日本では「リージョナルトレンドラボ」が東京に設置されており、日本限定で発生している独特の脅威に素早くきめ細かい対応が可能となっている。なお、トライアル版として使用する場合は不要だが、正規ユーザーとして使用するにはユーザー登録が必要となる。

ウイルスバスター 2011 クラウドのメイン画面と設定画面。両方ともシンプルで、操作に迷うことはないだろう

  • 操作も設定もシンプルで分かりやすい

 メイン画面はシンプルで、必要最低限の情報だけが表示される。メイン画面のサイズも今回比較するセキュリティソフトの中では最小だ。設定画面もシンプルで、設定項目は少ない。あまり特殊な用語は使われていないので、通常のパソコン用語を知っていれば特に迷うことなく設定できるだろう。ウイルス/スパイウェア対策およびWeb脅威対策以外の機能としては、「有害サイト規制」や「個人情報の保護」「リモートファイルロック」などの機能が用意されている。これらの機能は設定画面からではなく、「ツール」ボタンをクリックすると表示されるツール一覧から設定する。なお、従来搭載されていたファイアウォール機能は削除されており、Windowsファイアウォールの機能を強化する「ファイアーウォールチューナー」機能が新たに追加された。

  • スタンドアロンで使用することの多いPCには不向き?

 上述した通り、ウイルスバスター2011ではウイルス定義情報の大半がクラウド上に置かれている。このため、インターネットに接続していない状態(オフライン)では保護能力の低下が心配になるが、実際にはローカルのウイルス定義情報だけで多くのウイルスを検出できる。ただ、サポートページを見ると、USBメモリなどを使用する場合は先にインターネットに接続することが“推奨”されているので、やはりインターネットへの接続手段がまったくない状況で使用することの多いPCには不向きといえるかもしれない。


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