動く「Northern Islands」と「Llano」と「Zacate」で自慢するAMD TFE 2010(2/2 ページ)

» 2010年10月20日 15時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]
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Core i5-520の「3倍で半分」というZacate

 AMD上級副社長 兼 Client Division General Managerのクリス・コラン氏は、開発が進むAPU“Fusion”のラインアップにおけるアップデートを示した。Fusionは1つのダイに、CPUの機能とGPUの機能を“融合”させたのが特徴で、CPUとGPU間におけるボトルネックの減少や、電力管理機能の強化、そして、外付けGPUに相当するグラフィックス性能を“統合型グラフィックスコア”で実現することが期待されている。

 AMDでは、ソフトウェアベンダーへの技術サポートも進めており、AMD Fusion Developer Summitの開催も予定している。

CPUとGPUが出会うまでのストーリー

 Fusionのラインアップとしては、現在、ワークステーションやサーバといったハイパフォーマンスシステム向けの“Bulldozer”と、コンシューマー向けPCなどでの採用を想定する“Zambezi”“Llano”“Bobcat”の存在が明らかになっているが、コラン氏は、Bobcatのラインアップに“Brazos”という省電力タイプのシリーズを用意することを明らかにした。Brazosはデュアルコアモデルで、DirectX 11対応のGPUを同じダイに実装し、HDコンテンツの利用や終日の運用を可能にするバッテリー駆動時間を実現するという。

 Brazosシリーズは、さらに「Zacate」と「Ontario」といった2つのラインに分かれる。Zacateは、TDP18ワットのモデルで、メインストリームノートPC(ディスプレイサイズが14型以上のA4サイズ)や液晶一体型PC、そして、メインストリームデスクトップPCへの採用を想定する。OntarioはTDP9ワットのモデルで、Netbook相当の軽量小型ノートPへの搭載を考えているという。

Fusionのコンシューマーモデルでメインストリーム向けとなる「Brazos」(写真=左)。Brazosはさらに「Zacate」と「Ontario」のシリーズに分かれる(写真=中央)。スカイナー氏は、小さなZacateチップを右手に持って来場者に示した(写真=右)

 コラン氏は、壇上からZacateのチップを紹介するとともに、ZacateとCore i5-520を比較するライブデモを行い、同じ演算処理を行った状態で、ZacateのFLOPSがCore i5-520の3倍弱であるのに、消費電力は半分にとどまり、かつ、Core i5-520では100%のCPU負荷率が、ZacateではGPUを使った演算を行うことで2〜6%にすぎないことが訴求された。

Core i5-520MとZacateの性能比較。ZacateのFLPOSは3倍近い差があるのに消費電力は半分に収まり、CPU負荷率はほとんどかからない

 コラン氏は、コンシューマー向けのFusionでクアッドコアモデルとなる「Llano」についても「Sabine/Lynx」プラットフォームの構成を示した上で、Llanoのウェハとライブデモを紹介。ライブデモでは、OSにWindows 7を導入したシステムで、円周率3200万ケタ演算とBlu-ray HDコンテンツの再生を同時に行いながら、MicrosoftのDirectCompute対応演算アプリケーション「n-Body」で約30GFLOPSを示すことを紹介した。

Llanoのウェハを掲げるコラン氏(写真=左)。Llanoを採用する「Sabine/Lynx」プラットフォーム(写真=中央)。AMD TFE 2010では、Llanoのライブデモも行われた。円周率3200万ケタ演算とBlu-ray Discに収録されるHDコンテンツのデコードを行いながら、DirectCompute対応演算で30GFLOPSの速度を発揮している(写真=右)

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