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10万円級サーバで何ができる?──ThinkServer TS200vを手軽に使う(1/3 ページ)

» 2010年10月28日 16時00分 公開
[元麻布春男,ITmedia]

レノボが育てたThinkServer

最小構成で6万円台とバリュークラスのデスクトップPC相当の価格で購入できるThinkServer TS200v

 ThinkServerは、レノボが販売するサーバ製品のブランドだ。2005年にPC事業をIBMがレノボへ売却したときに、IBMはサーバ製品については自社で継続する道を選んでおり、ThinkServerとワークステーション製品であるThinkStationはレノボ時代になって加わった新しい製品ラインアップでもある。

 ただし、サーバといっても、シングルソケットのタワー型からメインフレームまで、フルに展開するIBMとは異なり、ThinkServerはSOHO/SMBにフォーカスしている。販売方法も、SIやソリューション構築まで含めた営業力を持つIBMに対し、ThinkServerはWebサイトにおける直販以外は、代理店による間接販売が主力という違いがある。

 ここで紹介する「ThinkServer TS200v」も、シングルソケットのタワー型サーバで、比較的小規模な事業所を対象とした製品だ。IBMにもシングルソケットのタワー型サーバ製品(System X3200 M3)が存在するが、両者に類似性はなく、完全に別の製品となっている。

 ThinkServer TS200vの特徴は、サーバ管理に業界で初めてIntel Active Management Technology(Intel AMT)を利用する点にある。もともと、Intel AMTは、インテルがIntel vPro Technology(vPro)の中核技術として開発した、高い管理性を備えたクライアントPC向けの技術だ(それゆえ、サーバ向けの技術ではない)。

 マシンルームやデータセンターに設置されるサーバと異なり、クライアントPCには1台ごとに専任の管理者がいるわけではない。しかし、台数的にサーバよりはるかに多いクライアントPCは、企業のIT管理者にとって頭痛のタネだった。このクライアントPCの管理を容易にし、それまでソフトウェアだけで行われてきたクライアントPCの遠隔管理を、ハードウェアを組み合わせることで、より堅牢で安全に実行することがvProの目的だ。

 一方、サーバの管理についても、インテルが中心となって定めた管理ハードウェアの標準として、IPMI(Intelligent Platform Management Interface)が存在する。本来であれば、サーバの管理にはvProのIntel AMTではなく、IPMIとそれに対応した管理ツールを用いるべきだが、必ずしも、すべての事業者がそのシナリオに適しているとは限らない。

 サーバ向けの管理ツールとして開発されたIPMIベースのハードウェアと管理ソフトウェアは強力だが、それだけ価格も高くなりがちだ。また、デザインハウスや設計事務所によって、業務の軸足がサーバ側ではなく、クライアントPCやワークステーションにある(クライアントPCで重たいアプリケーションを利用する)場合では、管理の中心はクライアントPCであり、ファイル共有などに用いるサーバも、その延長線上で管理できると負担が少ないという事情もある。

 Intel AMTによるサーバ管理は、本格的なIPMIベースより簡素化されるものの、比較的安価でクライアントPCと同じツールでサーバの管理が可能なことなどから、小規模の事業所でも導入しやすい。そして、Intel AMTでも、管理機能を支援する専用のハードウェアがあると管理性が向上する。

BTOで選べるCPUは最高でCore i5-650とバリュークラスのデスクトップPC相当だが、メモリはECCをサポートするUnbuffered DDR3が用意される

 現在、日本市場向けのThinkServer TS200vには、CPUのBTOとして「Celeron G1101」(2.26GHz)、Pentium G6950(2.8GHz)、Core i5-650(3.2GHz、Turbo Boost Technology有効時で最大3.46GHz)の3種類が用意されている。選択するCPUによって、利用できるIntel AMTのバージョンが異なるので注意したい。Intel AMT 6.0相当の管理機能をすべて利用できるのはCore i5-650のみで、Celeron G1101とPentium G6950ではIntel AMT 3.0相当となる。ただ、Intel AMT 3.0相当の標準管理機能でも、リモートからの電源管理やソフトウェア・アップデートの実行、サーバのネットワーク切断や復旧作業などが可能だ。

 Intel AMT 6.0では、Intel AMT 3.0の全機能に加えてリモートKVM(キーボード/ビデオ/マウス)機能がサポートされ、遠隔地からインターネット経由でブルースクリーン対応やBIOS SETUPも含めた、すべてのコンソール作業が可能となる。現場にシステム管理者がいない事業所、あるいは、スタートアップして初めてサーバを導入しようという事業所に適した管理機能を備えたサーバといえる。

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