デルのXPSブランドは、2006年の登場当初は高性能でデザインを重視したハイエンドPCのラインアップという位置付けだった。デスクトップでは前傾姿勢のユニークなPCケースを採用した「XPS 600」「XPS 700」シリーズなどのゲーミングPCや、20型ワイドという大型液晶ディスプレイやポップアップ式トレイの光学ドライブという斬新なデザインが話題になったノートPC「XPS M2010」が登場して、日本のユーザーに「それまでとは違う、おしゃれなデル」を強烈にアピールした。
その後、ゲーミングPCのラインアップは買収した「Alienware」に移行し、XPSはデザイン重視にシフトしていくとともに、コストパフォーマンスを訴求する「Studio XPS」と個性的なデザインに特化した「Adamo XPS」に分かれ、「XPS」単体ブランドとしては「活動休止」という状況にあった(Studio XPSとAdamo XPSも新製品が投入されなくなって久しい)。
そのデルは、2010年10月26日にノートPCブランドの位置付けを大幅に見直し、これまでStudioブランドがカバーしてきたミドルレンジクラスからデザイン重視のAdamo、Adamo XPSまでという、広範囲なポジションに向けたノートPCのブランドとしてXPSを復活させ、その第1弾として「XPS 17」「XPS 15」「XPS 14」を発表した。
XPS 17、XPS 15、XPS 14は、それぞれ搭載する液晶ディスプレイのサイズと解像度が異なり、それにともなってボディサイズと重さも違っているが、シルバーとブラックで構成したカラーリングや四隅を丸くしたラインなど、ボディのデザインは共通する。今回は、その中で最も小型の液晶ディスプレイを搭載する「XPS 14」を評価する。最も小型とはいえ、その画面サイズは14型ワイドで解像度は1366×768ドット。ボディサイズも352.8(幅)×247.4(奥行き)×31.4〜35.4(厚さ)ミリ、重さが6セルバッテリー搭載時で約2.43キロと、モバイル利用が標準となるモデルではない。
キーボードは、最近のデザインを重視するノートPCで多いアイソレーションではなく、従来のタイプを採用する。主要なキーのピッチは実測で約19ミリだが、キートップに段差を設けることで実質的なキーピッチをより広く確保する工夫がされている(キートップで計った間隔は実測で約4ミリ)。ファンクションキーには無線LANのオン/オフ、ミュートと音量調整、液晶輝度の調整といった機能が割り当ててある。初期状態ではファンクションキーがFnキーとのコンビネーションで有効になるように設定されている。
キーボードの上には、電源ボタンとステータス表示イルミネーション、そして、Windows モビリティーセンター、Instant Launch Managerで割り当てた機能、サウンド設定ダイアログのそれぞれを起動する専用ボタンを配置する。専用ボタンはイルミネーションと組み合わせたタッチセンサー式で、光るアイコンに触れると起動する仕掛けになっている。そのせいか、無線LANのオン/オフを切り替えようとして、その左脇で(その状態に関係なく)常時点灯している無線LANのアイコンに触れて「あれ?」となることがしばしばあった。ただ、慣れればそういう間違いも減るだろう。
XPS 14では、音響メーカーのJBLがサウンド設計を監修したスピーカーシステム(3ワット+3ワット)と、サウンド補正用技術「Waves MaxxAudio」を導入するなど、サウンド再生環境も重視している。サウンド関連の設定は「Dell Audio by Realtek」で行うが、メインタブのプリセットでは、音楽再生、ムービー/ゲーム、ボイス(ビデオ会議など)のそれぞれに向いたサウンド設定を選べるほか、詳細タブでは、音楽のジャンルごとにイコライザー設定やマルチスピーカー環境の設定などが用意されている。
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