本機はいわゆる据え置き型の機器だ。ただし、本体サイズは極めてコンパクトだ。
AtermWM3300Rのボディがベースとなっているので、幅や高さは変わらず、1.5倍ほど厚い程度となる。本体サイズは、67(幅)×94(高さ)×35(厚さ)ミリで、重量も140グラム。縦置き/壁掛け対応のスタンドも付属し、机置き、壁掛け、窓際など、設置する場所で困ることも少ないだろう。
本機は屋内利用を想定することもあり、無線LANルータとしての機能はかなり充実している。前述のとおり、最大300Mbpsの無線LAN通信速度と100Mbpsの有線LAN接続に対応し、最大32台の無線/有線LAN端末を接続可能だ。
無線LANのセキュリティはWPA/WPA2、WEP 64/128ビットに対応し、2つの無線LANセキュリティを使い分けられるマルチSSIDもサポートする。最近は、ポータブルゲーム機においてもWPA対応が進みつつあるが、一部のゲームソフトがWEPでしか動作しないといった課題などもあるようで、家庭ではWEPも使わざる得ない側面もある。セキュリティ設定別に2つのSSIDを使い分けられることは、屋内利用向けの本機では特に重要な機能と言える。
もちろん、マルチSSIDは無効にしたり、2つのSSIDをいずれもWPA/WPA2で利用することも可能であり、ネットワーク分離機能により相互接続できない別々のLAN環境も構築できる。例えば、家族でインターネット接続は共有しつつ自分の趣味用PCと家族のPCを分離したり、イベント会場などで業務用とゲスト向けの独立したLAN環境を1台で仕立てるシーンなどが考えられるだろう。
無線LANの簡単設定機能は「らくらく無線スタート」と「WPS」の2つをサポートする。らくらく無線スタートは国内メーカー製のポータブルゲーム機などで広く利用されているもの。WPSはWi-Fi Allianceが策定した簡単設定機能で、Windows 7では標準サポートされており、無線LAN接続対応のプリンタや複合機などでも広く採用されている。
本機は購入状態でランダムな2つのSSIDと暗号キー(WPA-AES、WEPで個別に13文字)が設定済みとなっている。これに加えて、2つの簡単設定機能を利用することで、多くの無線LAN機器において簡単かつ高いセキュリティで設定できる。
ルータ機能も一般的な無線LANルータと同様の機能が備わっている。DHCPサーバ機能には、MACアドレスを登録することで特定の機器へIPアドレスを指定(固定)して配布したり、MACアドレスによるフィルタリング(接続履歴から指定可能)が行える。
このほか、本格サーバや一部ネットワーク機器、ネットワークアプリケーションの運用時に必要なポートマッピングや特定条件下のパケットを透過/廃棄するパケットフィルタリング(インターネット側からの代表的な不正パケットを廃棄する機能も標準で備える)、そしてAtermWM3300Rでは搭載されなかったDMZホストや静的ルーティングも追加され、より柔軟なネットワーク構成に対応することが可能になっている。
このように、据え置き機器として、単純に無線LAN機能の強化やACアダプタ接続での運用を可能にしただけでなく、屋内で固定利用するためのルーター機能をしっかりと充実させているのは好印象だ。
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