iPadやiPhoneを持っているMacユーザーなら、積極的にペーパーレス化を進めている人も多いだろうが、まだまだ紙で存在する情報は膨大だ。今後も紙で提供される情報はなくならないと思われるが、それなら何をすればもっと情報を効率よく扱えるのか。その答えの1つとしてITジャーナリストの林信行氏が提案するのが、小型軽量の個人用ドキュメントスキャナだ。
2010年にiPadの登場で実感したのが、これまでオフィス機器の営業の世界でバズワード的に使われていた「ペーパーレス化」が、一気に「日常」へやって来たことだ。
例えば、人気のフレンチレストラン「ラトリエ ドゥ ジョエル・ロブション」の香港店では最近、125ページで2キロもあった分厚いワインリストをiPadに収めて客に見せるサービスを採用し、話題になった。
日本でも、住宅販売や訪問販売の営業の方々が、何種類、何十枚に渡っていたカタログをスキャンして、iPadで顧客に見せているといった話しもよく聞く。
そのiPadの3G版を国内販売しているソフトバンクでも完全なペーパーレス化を実施中だ。iPadのおかげで、会議前のコピー機の行列も、会議室で「今、話しているところ」の資料を探す手間も減り、1人当たりで月間1万円の経費削減につながった、なんていう話も耳にする。
もちろん、最初からすべての書類をPDF形式などのデータで用意できれば、それが理想的だが、我々はまだまだ紙で書類を受け取ることも多ければ、過去からの紙資料の蓄積も膨大にある。それに展示会などのイベントで「製品の資料はホームページでPDF形式で配っているので、ぜひダウンロードしてください」なんて言われても、おそらく大半の人はダウンロードしないだろう。
やはり、現代社会で相手に存在感を知らしめるには、後から無駄になるとしても、一度、紙の資料にして、それを手渡しすることに大きな意義がある。たとえ、その資料の運命が帰宅後、カバンの中からゴミ箱までの直線距離で尽きるとしても、受け取った人は移動開始前に一度は何の資料か確認をするだろうし、移動の間も手でその重みを感じているはずだからだ。
そうして存在感を知り、獲得した紙の資料のうち、後からもう一度、見たいものをどうしたらいいか。そこで登場するのが、ここ数年間で注目度も市場規模も高まってきた低価格帯のドキュメントスキャナだ。
バラした1枚紙をさっと差し込めば、その数秒後にはコンピュータの画面上にスキャンデータとして読み込まれ、紙のほうは安心して処分できる。そして整理整頓が進んで、効率アップにもつながる、という代物だ。
ドキュメントスキャナは既に競争が激しい分野となっているが、残念ながら日本ではiPadやiPhoneと相性がいいMac OS環境でキチンと使える製品が少ない。そんな中、2009年秋に発売されてWindows向け周辺機器として人気を博していたキヤノンの「imageFORMULA DR-150」が2010年になってMacに対応してきた。DR-150がMacユーザーにどんなインパクトを与えるのか、実際に試してみるとしよう。
個人用のドキュメントスキャナは小型軽量のものが理想だ。というのも、ペーパーレス化を徹底したければ、自宅やオフィスだけでなく、外出先でもそれが求められてくる。その点、小型軽量のドキュメントスキャナを出張時に持っていけば、ペーパーレス化が進むのに加えて、帰りの荷物を整理できて手軽に空港や駅へ行けるようにもなる。
旅行中でも、おもしろそうなイベントや案内のチラシを見つけたら、それをカフェやホテルでスキャンし、Evernoteなどに登録しておけば、観光中もいつでもiPhoneやiPadで参照できる。ちょっと前では、およそ考えつかなかった使い方だが、海外でのパケット定額制サービスが始まった今では、新たな常識となりつつある。
それでは小ささと軽さだけを追求すればいいのか。外出時にしかスキャンをしないという人であれば、そうかもしれないが、大抵の人は購入したスキャナを自宅でも使うはず。そうなってくると、(Macユーザーなら特にだが)製品の外観、そして中身にもしっかりこだわりたい。
さてDR-150だが、使用していない状態では280(幅)×95(奥行き)×40(高さ)ミリの直方体で、重さは約1キロしかない。小学生が使うような黒い学校用の筆箱をちょっと長くしたようなサイズだが、コンパクトさを感じさせつつも、しっかりとした存在感を放つ、かなり印象に残る仕上がりだ。
直方体なので、引き出しや旅行カバンへの収まりもいい。詳しくは後述するが、USBバスパワーで駆動する省エネ設計なので、武骨なACアダプタをデスクの下にころがしたり、持ち歩いたりする必要もない。
ボディの天面は光沢のあるピアノブラック、側面はドット状に凹みのついたマット調のブラックが使われており、控えめで上品な外装も独特の存在感を加味している(ちなみに製品は2009年度のグッドデザイン賞を受賞している)。
この美しい外装なら、異常なまでにこだわり抜いた工業デザインで知られるMacのそばに置いても、世界観を損ねて興ざめすることはないだろう。iMacの画面の下に置けば、画面周囲の黒フレームとの調和が楽しめるし、白いMacBookの横に並べれば、ピアノの鍵盤のような白黒の光沢のコントラストを楽しむことができる。もちろん、シルバーのMacBook Proと組み合わせても絵になる。
例えば、美しい机と滑らかな紙、そして持ち心地のよいペンが、雑然とした机とザラザラ紙に使い捨てのペンでモノを書く時とは、違った創造性を開花させてくれる、と信じているような人なら、これはこだわるべきポイントだとわたしは思う。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2010年12月29日