大物のニューフェイスが多かった11月のアキバ5分で分かった気になる、11月のアキバ事情(2/2 ページ)

» 2010年12月03日 11時00分 公開
[古田雄介,ITmedia]
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コンテンツ入りHDDやBDXL対応のBDドライブなど、ドライブ類の進化系がお目見え

バッファロー「HD-PCT500U2/HPX6」と「HD-LB1.0TU2/HPX6」

 3TバイトHDD以外にも、11月はドライブ類の新製品に目玉が多かった。変り種として注目されたのは、後半に登場したバッファローの2つの外付けHDDだ。1Tバイトの据え置きモデル「HD-PCT500U2/HPX6」と500Gバイトのポータブルタイプ「HD-LB1.0TU2/HPX6」で、価格はともに1万3000円弱。

 2モデルとも、50Gバイトの容量を使って『ハリー・ホッター』シリーズ6作のSD映像を収納しており、PCでライセンス認証を済ますと視聴できるようになる。TSUKUMO eX.は「動画コンテンツ入りのHDDというのは将来性を感じますね。私としてはガンダム全シリーズを収録したモデルが出たらうれしいです。権利関係がクリアできたら、絶対ヒットすると思うんですよ」と商品自体とその戦略に期待を寄せていた。

 これと同じタイミングで、バッファローからは3〜4層メディアに対応する次世代Blu-ray Disc規格「BDXL」に対応したドライブも登場している。その1週間後には、パイオニアからもBDXL対応の「BDR-206MBK」が3万円以下の価格でデビューし、話題を呼んだ。BDXL対応レコーダーはシャープやパナソニックから夏以降にリリースされているが、PC向けの単体ドライブではこれらが初めてだ。なお、BDXLメディアは3層式の1回書き込みメディアがすでに5000円弱で出回っている。容量は100Gバイトだ。フェイス秋葉原本店は「1クール分のドラマを無圧縮で1枚にまとめられるので、欲しい人には待望のドライブといえるでしょう。ただ、大容量HDDの低価格化が著しいので、一般受けはまだ先かなと思います」と話していた。

 SSDはPCI Express接続の高速モデルが注目を集めた。月半ばからドスパラ秋葉原本店で受注を受け付けているのは、PhotoFastのPCI Express x8型SSD「GM-PowerDrive-LSI PCIe SSD」。転送速度はリード最大1400Mバイト/秒、ライト最大1500Mバイト/秒で、ラインアップは14万8000円の240Gバイトモデルと、22万6000円の480Gバイトモデル、37万5000円の960Gバイトモデルの3種類となる。

 さらに月後半には、OCZのPCI Express x4接続SSDの新シリーズ「RevoDrive X2」も登場した。100Gバイトと160Gバイト、240Gバイトの3種類が出回っており、240Gバイトモデルはリード最大740Mバイト/秒、ライト最大720Mバイト/秒を実現している。価格は順に5万5000円弱、6万5000円弱、8万円弱だ。

 ドスパラ秋葉原本店は「昨年PCI Express接続のSSDが登場したときは、完成度の低さもあってキワモノ的な位置づけで見られていましたが、1年かけてノウハウが磨かれて、現行モデルは実用的な選択肢として人気を得ていますね。とくにOCZのモデルは比較的購入しやすい価格帯なので、一般的な浸透度も高いと思います。PhotoFastはハイエンドを目指す人向けですね」と語る。

パイオニア「BDR-206MBK」(写真=左)。PhotoFast「GM-PowerDrive-LSI PCIe SSD」(写真=中央)。OCZ「RevoDrive X2」シリーズ(写真=右)

11周年を迎えたT-ZONE.PC DIY SHOPに突然の幕……

電気街口の駅前広場からアトレ秋葉原1を撮影

 11月は電気街全体に大きな変化もあった。街の顔ともいえるJR秋葉原駅電気街口の駅ビルは、2006年末にアキハバラデパートが閉店してから工事が続いていたが、11月19日、新たな駅ビル内施設「アトレ秋葉原1」がオープンした。アキハバラデパートのような「いかにもアキバ」といった風合いでなく、男女ともに楽しめるような店舗が多く入っており、秋葉原駅昭和通り口のようなクセのないカラーで街を彩っている。

 そんなはなやかな駅前の変化とは対照的に、PCパーツショップ密集エリアでは、11周年を迎えたばかりの老舗ショップ「T-ZONE.PC DIY SHOP」が月末に突然閉店するという出来事があった。同店を運営する企業はT-ZONEストラテジィだが、その親会社のMAGねっとホールディングスが11月29日に同社の事業をすべて廃止すると発表。その翌日の30日以降、店舗のシャッターは降りたままで、同系列のオンラインショップもトップページに閉店の案内が掲げられている。

 MAGねっとホールディングスによると、現在の自作PC市場の状況で一店舗経営するのが困難になったというのが撤退の理由だ。自作PCパーツのブームが落ちつき、ライバル店との過当競争が頻発する状況になると、大量入荷によるスケールメリットが得られにくい小規模経営の店舗に不利な状況になる。差別化のために他店にない品物を扱うにも、売り場のスペースに余裕がない。そうした厳しさと展望のなさが要因というわけだ。

 実際、10月以降は「資本が足りなくなって仕入れができなくなっていると小耳に挟みました」(あるPCパーツショップ)と、苦しい台所事情に関するウワザが街に流れていたという。その一方で、「親会社に税務調査が入って6億円近い追徴税金が発生したんですよ。それで企業の体力が失われて、煽りを食ったともいえますよね」(別のショップ)との声も聞かれ、ライバル店のスタッフからはT-ZONEを同情するコメントが多く寄せられていた。

 T-ZONE.PC DIY SHOPの資産は、ドスパラを運営するサードウェーブに譲渡される。その条件が確定するのは12月以内の予定で、年明けからは新たなPCパーツショップとして生まれ変わる計画が進められるという。仮称は「ドスパラ PCパーツ館」だ。

30日昼、T-ZONE.PC DIY SHOP前に横付けされたトラック(写真=左)。店舗の2つの入り口には、廃業のお知らせと商品引取りの案内が張られていた(写真=中央)。30日早朝まではT-ZONE online Shopが通常通り表示されていた。しかし、バナーにある11月30日の棚卸しが行われることはなかった(写真=右)

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