CPUにはグラフィックス機能を統合したCore i5-460M(2.53GHz)を採用している。アイドル時や低負荷時に動作クロックを下げて消費電力を節約するEIST(Enhanced Intel Speedstep Technology)と、CPUの状態を監視しつつ高負荷時には安全な範囲で動作クロックを引き上げるIntel Turbo Boost Technologyに対応しており、低負荷時には最小1.2GHz、高負荷時には最大2.8GHzで動作する。
U33Jcは、このCore i5-460Mを独自にオーバークロックすることでパフォーマンスの向上を図りつつ、省電力状態にもワンタッチで切り替えることができるようになっている。ASUSではこれを「Super Hybrid Engine(SHE)」と呼んでおり、デスクトップ上にCPUの状態を切り替えるためのガジェットが用意されている。
デフォルトではSHEがオフになっており、常にオーバークロック状態となっている。このときのCPUクロックをCPU情報表示ツールのCPU-Zでモニタしてみると、ベースクロックが本来の133MHzから142MHzに引き上げられており、負荷時は最大3GHz弱までクロックが上昇していることが確認できた。
一方、SHEをオンにすると省電力状態となる。同じくこのときのCPUクロックをCPU-Zで見てみると、今度は逆にベースクロックが121MHz前後に下がっており、CPUの動作クロックは1.1GHz弱、負荷をかけても1.2GHzより上がることはなかった。
ちなみに、オーバークロックの設定はBIOSセットアップで切り替えられるようになっており、通常の状態にすることも可能だった。BIOSセットアップにはシステムの起動直後にF2キーを押せば入ることができる。
このSHEは動作クロックを明らかに下げてしまうため、当然ながらパフォーマンスは下がってしまうが、バッテリー駆動時間を延ばしたい場合にガジェットからワンタッチで切り替えられるのは便利だ。ただ、できればオーバークロックをしない通常の状態にも設定できたほうがよいようにも感じる。
また、ASUSが提供するU33Jcの製品情報には「オーバークロック状態と省電力状態を切り替えられる」と書いてあるだけで、詳細な情報がほとんどない。ちょっとした付加機能ならまだしも、標準状態でオーバークロック状態になっているのであれば、それを明記すべきだろうし、省電力状態に切り替えることでパフォーマンスが下がるのであれば、そのことについても注釈などで記述すべきではないだろうか。せっかく独自の機能を搭載しているのに、この説明不足は少し残念だ。
グラフィックス機能はCore i5-540Mが統合しているIntel HD Grapchicsと、外部GPUのNVIDIA GeForce 310M(グラフィックスメモリ1Gバイト)の2種類を搭載。NVIDIAのOptimusテクノロジーにより、2つのグラフィックス機能は自動的に切り替えて利用される。GPUの切り替えはアプリケーションごとに自動的に行われ、切り替えの際に画面がブラックアウトしたり、タイムラグが発生することなく、シームレスに切り替えられるのがNVIDIA Optimusの特徴だ。
GeForce 310Mは、NVIDIAの外部GPUとしてはエントリークラスに位置するため、本格的な3Dゲームのプレイは無理だが、Intel HD Graphicsと比べれば3D描画性能はかなりよい。3D描画負荷の軽いオンラインゲームなどをプレイすることが多いユーザーにとっては魅力だろう。
どちらのグラフィックス機能を利用するかはNVIDIAのドライバで指定されている。通常は消費電力の低いIntel HD Graphicsを使って消費電力を抑え、3D描画処理を多用するゲームなど、NVIDIAのGPUを利用したほうが高速に処理できる場合のみ、GeForce 310Mが使われるように設定されている。
この設定はNVIDIAコントロールパネルでカスタマイズも可能で、アプリケーションごとにどちらの利用するか指定できる。国産のあまりメジャーでないアプリケーションの場合はNVIDIAのドライバに情報がないことがあるので、そういったアプリケーションでGeForce 310Mを利用したい場合には指定しておくとよいだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.