インテルは、2010年の同社業績を総括する記者会見を行った。インテル代表取締役社長の吉田和正氏は、「投資意欲に経済情勢が追いついていけない厳しい状況だった2009年をうけて、2010年はどういうことになるか不安だったが、インテルは自身のためだけでなく、新しいサービスを広げていくために「これ以上できないぐらい」のアクションを起こして取り組んだという。
吉田氏は、インテルが2010年に注力した1つのキーワードとして「コンピュートコンティアム」という言葉を挙げて、すべてのデジタル機器がインターネットに接続するだけでなく、デバイス同士もつながっていくことで、より高いユーザーユーザビリティを実現するためにインテルアーキテクチャを採用したハードウェアを提供していきたいと述べた。
1年を振り返るインテルの記者会見で恒例となっている、その年の「インテル10大ニュース」では、32ナノメートルプロセスルールを導入したWestmere世代のCore iシリーズ登場のほか、医療関連事業、教育関連事業における取り組みや、モバイルWiMAX採用ノートPCが大幅に増加したこと、そして、22ナノメートルプロセスルールの生産ラインをはじめとする製造関連に60〜80億ドル規模の投資を行ったことなど、CPU以外の話題が数多く取り上げられている。
Westmere世代のCore iシリーズでは、3月の6コアモデル「Core i7-980X Extreme」の登場に加えて、5月の時点で出荷されるPCの77%に新世代のCore iシリーズが搭載され、9月の時点でノートPCにCore i5を搭載したモデルが48%と最も多くなるなど、インテルの予想を越える早さで移行が進んでいることが紹介された。また、「個人的には忘れられない活動である」と吉田氏が述べるモバイルWiMAXについても、2010年11月にモバイルWiMAX対応ノートPCが10メーカーから46モデルが投入され、UQ WiMAXの契約件数も2010年11月に6万1900件という高い伸びであったことが示された。
吉田氏は、Atomで注力している組み込み機器向けの市場についても言及した。市場が成長しているこのカテゴリーでは、コンセプトレベルも含めた多くの機器にAtomが導入されつつあるという。吉田氏は、これから登場する自動販売機やデジタルサイネージにとどまらず、白物家電でも、ネットワークにアクセスできるなどのインテリジェンスな進化が加速的に進むという。こういう流れにおいて、高機能な家電を得意とする日本のメーカーが本格的に取り組めば、ユニークな製品が登場するのではないかと、吉田氏は期待する。
組み込み市場における取り組みの実例としては、IT技術を活用したヘルスケアの推進と教育分野におけるICT普及活動が取り上げられている。ヘルスケアの推進では、コンティニュア・ヘルス・アライアンスの活動について触れ、シンポジウムに300人のメンバーが参加したほか、CEATEC Japan 2010のコンティニュア・ヘルス・アライアンス特設会場に50企業がブースを設置し、20以上の新規サービスが紹介された実績を紹介。教育分野におけるICT普及では、和歌山県教育委員会と放送大学との協力による1人1台PC環境の提供実施や、東芝との協力によるクラスメイトPCの製品化が取り上げられた。
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