HPが日本で販売する家庭向けインクジェットプリンタの2010年秋冬モデルにおいて、とりわけユニークな機種といえば先に紹介したHP ENVY100だが、最も多機能なプレミアム複合機である「HP Photosmart Premium C310c」も併せてチェックしたい注目の1台だ。
国内のインクジェット複合機では最大級となる4.3型のタッチスクリーン液晶モニタをはじめ、写真用紙へのカラー印刷が映える染料ブラックと普通紙へのモノクロ印刷に強い顔料ブラックを両方含む5色独立インクシステム、最高解像度9600×2400dpi/最小インク滴1.3ピコリットルの高精度プリントエンジン、階調48ビット/光学解像度1200×2400dpiのCISスキャナ、2段給紙トレイなど、全体的にHP ENVY100を上回るハイスペックが身上だ。もちろん、HP ENVY100と同様、自動両面印刷ユニットやIEEE802.11b/g/nの無線LAN機能(WPS対応)も備えている。
そのぶん、ボディサイズは455(幅)×473(奥行き)×199(高さ)ミリ、重量は約7.7キロとHP ENVY100より大きく、前面に給排紙機構が張り出したフォルムとなるが、搭載する機能や性能を考慮すれば、なかなかコンパクトに収まっているといえるだろう。全体をブラックでまとめ上げたボディは、天面や液晶モニタ回りに光沢を持たせつつ、下部はマット調の仕上げとすることで、単調にならないよう工夫されているのが好印象だ。HP ENVY100ほどではないが、こちらも確かなこだわりが感じられるデザインとなっている。
このようにハイスペックが目立つHP Photosmart Premium C310cだが、最大の特徴は何といっても、HPが強力にプッシュしている新機能の「ネットプリント」に対応したうえ、4.3型と大画面のタッチスクリーン液晶モニタによって、直感的かつ快適な操作が行えることにある。
ネットプリント機能とは簡単にいうと、PCに接続することなく、プリンタ本体だけでインターネットに接続してダイレクトプリントができてしまう、というもの。家庭向けインクジェット複合機は年々多機能化が進んでいるが、ついに単体でさまざまなインターネットコンテンツをプリントできるまでに進化したのは感慨深い。PC周辺機器の枠を超えたプリンタ、それがネットプリント対応のHP最新モデルなのだ。
ネットプリント機能には、「メールdeプリント(ePrint)」と「アプリdeプリント(Print Apps)」の2つの機能が用意されている。それぞれを詳しく見ていこう。
メールdeプリント(ePrint)とは、プリンタ1台ごとに割り当てられた固有のメールアドレスにメールを送信するだけで、メールの本文や添付ファイルをPCなしで印刷できる機能だ。PCやNetbook、ケータイ、スマートフォン、PDA、タブレット端末など、インターネット電子メールに対応したデバイスであれば、基本的に何であってもこの機能を利用できる。
メールを送信すると、いったんHPのプリントサーバに転送され、メールの添付ファイルをレンダリングしてから、対応プリンタに送信、印刷を行う仕組みだ。プリンタドライバや特別なアプリをデバイス側に組み込む必要がなく、手持ちのさまざまなデバイスから簡単に利用できるのがありがたい。
この機能では、メール本文としてテキスト、HTML、リッチテキストの各形式、添付ファイルとしてTXT、PDF(フォント埋め込み、画像)、Microsoft Word/Excel/PowerPoint、JPEG、BMP、GIF、PNGの各形式のファイルを印刷できる。つまり、標準的な文書や画像のファイルであれば、たいていは印刷可能というわけだ。
1通のメールに添付できるファイル数は10個まで、添付ファイルを含めたメールサイズは合計5Mバイトまでという制限はあるが、よほど大量のデータを印刷するのでなければ問題ないだろう。印刷したい画像など多い場合は、メールを何通かに分ければ事足りる。
メールdeプリント(ePrint)の活用の幅は広い。例えば、旅行先からケータイで撮った写真を自宅の家族に送ったり、帰宅中にスマートフォンへ届いた細かな資料が添付されたメールをそのままプリンタに送って帰宅後すぐにA4サイズの大きな紙でじっくり確認したり、といったことが可能だ。また、PCやケータイの操作が苦手な遠方の両親や祖父母に、子どもの写真データを送るようなシーンでも有用だろう。このプリンタを買ってもらうかプレゼントすれば、後はメールをプリンタに送るだけで自動印刷してくれるので、まさに手間いらずだ。
アプリdeプリント(Print Apps)とは、さまざまなプリンタ専用アプリから対応Webサイトにアクセスし、必要な情報をPCなしで印刷できる機能だ。プリンタのタッチスクリーン液晶モニタに触れるだけで簡単に操作が行える。
現状で利用できるアプリは、けい線やチェックリスト、五線紙、迷路などが用意された「クイックフォーム」をはじめ、パズルゲームの「数独」、キャラクターの塗り絵が出力できる「Disney」、キャラクターの塗り絵やペーパークラフトなどが楽しめる「DreamWorks」などを、基本となる「ライトアプリ」として用意している。
また、日本のユーザー用に開発された「プレミアアプリ」として、グルメ店舗情報が得られる「ぐるなび」、料理のレシピが探せる「ぐるなび レシピ」、テンプレートから年賀状を作成できる「筆まめ Online」、詳細な気象情報を確認できる「ウェザーニュース」の各アプリも利用できる。
例えば、子ども用にディズニーやDreamWorksのキャラクターが描かれた塗り絵をプリントしたり、ちょっとした空き時間に数独やペーパークラフトを楽しんだり、年賀状の文面を差出人入りで大量印刷したり、忘年会で予約した飲食店の地図をクーポンとともに印刷したり、といった活用がプリンタだけで行える。今後は旅行関連情報を集めた「じゃらん」などのプレミアアプリが追加される予定で、より利便性がアップすることも期待できそうだ。
さらに、2010年11月にアップルが配布を開始したiOS 4.2を組み込んだiPhone® 4/3GS、iPad®、iPod touch®(第3世代以降)から直接印刷できる機能「AirPrint ™」をサポートしているのもうれしい。これらのデバイスでは自動的にローカルネットワーク上の対応プリンタを検索して印刷まで行える。
AirPrint ™はiOS 4.2標準の機能なので、印刷専用のアプリやデバイスドライバなどの導入は不要だ。現状でAirPrint ™に対応しているプリンタは、HP製のメールdeプリント(ePrint)対応モデル(HP Photosmart Premium C310c、HP Photosmart Plus B210a、HP Photosmart Wireless B110a、HP ENVY100)しかなく、競合機種に対するアドバンテージとなっている。
また、HPの写真共有サイト「Snapfish」にアクセスできる機能を備えていることも付け加えておきたい。メモリカードに保存された写真データをプリンタ本体のみでSnapfishへアップロードしたり、オンラインアルバムの写真を印刷したりできる。
このようにHP Photosmart Premium C310cは、給排紙機構からプリントエンジン、液晶モニタに至るまで、プリンタの基本となるスペックが充実しているうえ、他社が未開拓な独自機能としてネットプリント機能まで盛り込んでいるのが魅力だ。このネットプリント機能を採用したからこそ、iOS 4.2のAirPrint ™機能もいち早くサポートできており、iPhone® 4やiPad®を活用しているユーザーにとっては、さらに価値を持つ製品に違いない。
これまでは、せっかく高性能なプリンタを買っても、本格的に使うのは年賀状シーズンくらいで、普段はちょっとした写真やWebページの印刷しか行っていないというユーザーが少なくなかっただろうが、HPの新モデルであれば、こうした独自機能によってプリンタの利用機会が増えることは想像に難くない。今後はアプリの増加によって、さらなる利便性の向上が期待できる点も見逃せないポイントだ。
なお、ここで取り上げたネットプリント、AirPrint ™、Snapfishの各機能は、先に紹介したHP ENVY100でもしっかりサポートしている。特に、性能よりも洗練されたプロダクトデザインにこだわってAirPrint ™対応プリンタを選びたいと考えているなら、HP Photosmart Premium C310cよりHP ENVY100が有力候補になるだろう。
パフォーマンスでHP Photosmart Premium C310cを選ぶか、それともデザインでHP ENVY100を選ぶか、この選択はなかなか悩ましいが、いずれにしても今シーズンに家庭向けのプリンタを購入する予定なら、“ネットにつながる”という新しいプリンタの活用法を切り開いたHPの最新モデルを必ずチェックしておきたい。
※iPad、iPhone、iPod touchは米国および他国のApple Inc.の登録商標です。AirPrint、AirPrintロゴはApple Inc.の商標です。
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提供:日本ヒューレット・パッカード
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2011年1月31日