「タダの液晶ディスプレイには興味ありません。この中に、ゲームや映画、テレビ、電子書籍に強い液晶ディスプレイがあれば、私のところに来なさい。以上」――とはいうものの、何をどう選べばいいのか? ここでは国内ディスプレイメーカーの雄、ナナオ(EIZOブランド)のエンターテインメント向け液晶ディスプレイ4機種をじっくり見比べて、用途別に最適なモデルを選び出そう。
ゲームや動画、写真、電子書籍と、さまざまなデジタルコンテンツの魅力を余すことなく味わいたいなら、“コンテンツの顔”となるディスプレイ選びにはとことんこだわりたい。プロフェッショナルユースでも愛好家が多いEIZOのワイド液晶ディスプレイならば、こうしたエンターテインメント用途に最適なラインアップがそろっている。
とはいえ、実際に用途に合った1台を購入しようと思っても、カタログやWebページとにらめっこしながら、自分にとってベストな製品を絞り込んでいくのは骨が折れる作業だ。特にEIZOのモデルはどれも高機能で特徴が多いので、製品選びは非常に悩ましい。そこで今回は、EIZOが放つ最新の“エンタメ”液晶ディスプレイ4機種に的を絞り、購入時にチェックしておきたいポイントを横並びで比較し、どの機種がどのようなユーザーにおすすめなのかを明らかにしていきたい。
ピックアップした4機種は、EIZOのエンターテインメントブランド「FORIS」(フォリス)から、24.1型WUXGAモデル「FORIS FX2431TV」、23型フルHDモデル「FORIS FX2301TV」と「FORIS FS2331」の3台、そして汎用ディスプレイブランド「FlexScan」の中でもユニークなマルチタッチ対応の23型フルHDモデル「FlexScan T2351W-L」だ。もう、見た目からして普通の液晶ディスプレイとは違っているのが分かるだろう。
それでは、4機種を比較していくが、その内容は下の囲みにまとめた。チェックポイントは多岐に渡るので、気になる項目からチェックしたり、いきなり最後の「まとめ」を読んでしまっても構わない。
※上の各項目をクリックすると、該当する記事のパートに移動
PCに限らず、ゲーム機やAV機器などのさまざまな機器をディスプレイにつないで使いたいならば、まずはどのような映像入力端子を搭載しているのか確認しよう。接続したい機器があっても、ディスプレイ側に対応する端子がなければ話にならないからだ。下の写真と表に4機種の映像入力端子の仕様をまとめた。表中で太字の項目は、特に注目してほしい部分だ。
4機種を見比べると、いずれも基本となるDVI-D(デジタル接続)とD-Sub(アナログ接続)の2系統のPC入力に加えて、デジタル映像と音声を同時に伝送できるHDMI入力を装備しているのが目を引く。HDMIには、プレイステーション 3やXbox 360といったHD対応ゲーム機、Blu-ray Discレコーダー、HDビデオカメラ、デジタルカメラなど、最近主流のハイビジョン機器を接続することが可能だ。また、最近はHDMI出力ポートを備えたノートPCも増えているが、これらのHDMI端子にはPCを接続することもできる。
ここで最も重要なのはHDMIの数だ。FX2431TV、FX2301TV、FS2331の3機種はHDMIを2基搭載しているのが頼もしい。つまり、上記のハイビジョン機器を2台同時にHDMIでつないでおけるのだ。実際、最近はHDMIで接続する機器が急激に増えているので、特に映像コンテンツを楽しむ用途では1基だけだと物足りなく感じることもあるだろう。
さらに、FX2431TVとFX2301TVはアナログ入力として、SD映像用のS-Videoやコンポジットビデオ、HD映像にも対応したコンポーネントビデオ入力もしくはD5入力を備えているのは見逃せない。中でもD5入力を2系統持つFX2301TVは、PC以外のハイビジョン機器を4台も同時に接続できるのが魅力だ。一昔前のAV機器はD端子(あるいはコンポーネントビデオ端子)での接続が最も高画質になるものが多い点も覚えておきたい。
実際の利用シーンを例に挙げると、FX2301TVであれば、HDMIにプレイステーション 3とXbox 360、D5にWiiとプレイステーション 2、DVI-DにデスクトップPC、D-SubにノートPCを接続するなど、主要なゲーム機とPCを1台に同時に、しかも最も高画質が期待できる端子で接続できてしまう。入力端子が少ないディスプレイでは、ケーブルのつなぎ替えが面倒で利用頻度が減ったり、入力切り替え器を増設するのに余計なコストがかかってしまうが、FX2431TVやFX2301TVならばスマートに多彩な機器を同時接続でき、つないだ機器が多いほどディスプレイの利用シーンが増えて、満足度も高まるだろう。
映像入力に関しては、テレビチューナーの有無も押さえておきたい。FX2431TVは地上・BS・110度CSデジタル放送、FX2301TVは地上デジタル放送に対応しており、パーソナルユースの液晶テレビとしても活躍してくれる。2011年7月のアナログ停波を控え、リビングのテレビは買い替えたという人は多いだろうが、自室や寝室などのパーソナルスペースに置いてあるテレビは古いブラウン管という話もよく聞く。FX2431TVやFX2301TVならば、テレビの置き換えとしても有力候補になるというわけだ。
映像入力/テレビ機能の比較 | |||||
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製品名 | FORIS FX2431TV | FORIS FX2301TV | FORIS FS2331 | FlexScan T2351W-L | |
HDMI入力 | 2(PC/AV共用) | 2(PC/AV共用) | 2(PC/AV共用) | 1(PC/AV共用) | |
コンポーネントビデオ入力 | 1(AV) | − | − | − | |
D5入力 | − | 1(AV) | − | − | |
D5/コンポジットビデオ共用入力 | − | 1(AV、D5優先) | − | − | |
S-Video/コンポジットビデオ共用入力 | 1(AV、S-Video優先) | − | − | − | |
DVI-D | 1(PC) | 1(PC) | 1(PC) | 1(PC) | |
D-Sub | 1(PC) | 1(PC) | 1(PC) | 1(PC) | |
地上デジタル入力 | ○ | ○ | − | − | |
BS・110度CSデジタル入力 | ○ | − | − | − | |
映像の次は音声を見ていく。4機種の音声入出力で見どころは、何といってもFX2301TVのみが搭載する「ヘッドフォン向けのバーチャル5.1chサラウンド」技術だ。これは、手持ちのステレオヘッドフォンをFX2301TVにつなぐだけで、臨場感たっぷりの“バーチャル5.1chサラウンド”でゲームや映画を味わえるというもの。つまり、部屋の中に5.1chスピーカーを設置した環境に近い感覚で、マルチチャンネル音声を普段使いのステレオヘッドフォンから手軽に体感できる、という画期的な機能なのだ。
具体的には、映画やゲームのコンテンツに幅広く採用されている5.1chドルビーデジタルと、ドルビープロロジックIIに対応しており、入力信号によらず、音声を5.1chに拡張できる。これにバーチャル処理を加えることで、ヘッドフォン出力による仮想的な5.1chサラウンド環境で映像コンテンツを楽しめるという仕組みだ。実際の使用感やよりディープな内部構造については、以下の記事を参照してほしい。
入出力端子の数も押さえておこう。FX2431TVとFX2301TVは2台のPC(DVI-D接続とD-Sub接続)の音声を入力できるため、映像を別のPCに切り替えたら音声が出なくなる、といった面倒がない。細かいところでは、FX2431TVはHDMI入力で音声信号をHDMI以外から入力する場合に使用する端子まで持っている。
また、FX2431TVとFX2301TVは入力した音声を別のオーディオ機器につなげる出力端子も備えており、例えばHDMIで映像と同時に入力された音声を手持ちのオーディオシステムなどにつないで、より高音質で鳴らす、といった一歩進んだ使い方もできる。
この2台はステレオスピーカーも専用設計で、音量や音質にこだわっているため、汎用の液晶ディスプレイよりハイクオリティで迫力あるサウンドが楽しめるはずだ。一方、FS2331とT2351W-Lのスピーカーは液晶ディスプレイとして標準的な仕様だが、音にこだわるならば別途スピーカーをつなげばいいので、映像入力端子の有無より優先度は低くてよいだろう(追加のコストはかかるが)。
音声入力/出力の比較 | |||||
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製品名 | FORIS FX2431TV | FORIS FX2301TV | FORIS FS2331 | FlexScan T2351W-L | |
ステレオミニ入力 | 3(AV×1、PC×2) | 2(PC) | 1(PC) | 1(PC) | |
HDMI入力 | 2(映像入力共用) | 2(映像入力共用) | 2(映像入力共用) | 1(映像入力共用) | |
RCAステレオ入力 | 2(AV) | 2(AV) | − | − | |
ステレオミニ出力 | 2(ライン×1、ヘッドフォン×1) | 2(ライン×1、ヘッドフォン×1) | 1(ヘッドフォン) | 1(ヘッドフォン) | |
スピーカー | 2W+2W(ステレオ) | 2W+2W(ステレオ) | 500mW+500mW(ステレオ) | 350mW(モノラル) | |
ヘッドフォン向けバーチャル5.1chサラウンド | − | ○ | − | − | |
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提供:株式会社ナナオ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2011年3月31日