これは液晶ディスプレイ選び全般にいえることだが、スタンドの調整機構は意外と重要だ。机上に置いた液晶ディスプレイの画面を見やすい位置と角度にきちんと固定できないと、視認性が低下するだけでなく、長時間の利用では目や肩に負担がかかりやすくなる。そのため、高級機ほどスタンド調整にはこだわって作っていることが多い。
4機種の中で調整範囲が広いのは、FX2431TVとT2351W-Lだ。FX2431TVは画面の高さとチルト角度が円弧を描くようにスムーズに移動するユニークな構造(ArcSwing 2)により、画面を自然に見下ろす楽な姿勢で利用できる。また、左右のスイベル調整も行えるので使い勝手がよい。
T2351W-Lはディスプレイ部が接地するフォトスタンドのような独特のフォルムと、画面をFX2431TV以上に寝かせられる独自の機構(LaidBack Stand)が特徴だ。画面のチルト角度は上15度〜65度の範囲内で10度ずつ、6段階に細かく調整できる。画面を最大限に寝かせた状態にすれば、あたかも机上で新聞を広げているような感覚で画面を見られるのがよい。また、机上にヒジをついたまま、楽な姿勢でタッチ操作ができるなど、電子書籍やタッチパネルに最適化された専用スタンドとなっており、実際に使ってみると、その快適さに感心させられる。
FX2301TVとFS2331が採用するのはシンプルなチルトスタンドだが、スピーカー周囲のデザインが凝っている点と、専用のカラーパーツによってボディカラーの一部をカスタマイズできる点に注目したい。FX2301TVはスピーカーのカバーにもなっているサウンドジャケットをオプションとして合計5色用意。サウンドジャケットの上には、カラーモードに合わせて5色に変化するイルミネーションバーも設けられている(任意の色に設定することも可能)。FS2331はサウンドジャケットほど派手ではないが、標準で3色のカラーシートが付属しており、画面下に走る横のラインを好みの色に変えられるのが面白い。
スタンド機構の比較 | |||||
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製品名 | FORIS FX2431TV | FORIS FX2301TV | FORIS FS2331 | FlexScan T2351W-L | |
チルト | 上35度、下5度 | 上20度、下5度 | 上20度、下5度 | 15度〜65度(10度刻みで6段階) | |
スイベル | 左右とも172度 | − | − | − | |
昇降 | 24ミリ | − | − | − | |
本体サイズ(幅×奥行き×高さ) | 566×230×444〜480ミリ | 547×275×445ミリ | 549×212×403ミリ | 557×194〜367×204.5〜375.5ミリ | |
重量 | 約11.1キロ | 約9.1キロ | 約6.9キロ | 約7.6キロ | |
カラーパーツによるカスタマイズ | − | サウンドジャケット(5色) | カラーシート(3色) | − | |
ボディカラー | ブラック、シルバー | フィーバーレッド、ワンダーブラック | ブラック | ブラック、グレイブラック | |
これら4機種は豊富な機能を持ち、状況に応じてさまざまな設定を使い分けられるが、設定変更の操作が簡単に行えなくてはストレスとなってしまう。逆に、手軽にサクサクと目的の設定を選んだり、画質の調整ができれば、それだけ製品を使い込んでみる気になるだろうし、それは製品の魅力を最大限に引き出すことにもなる。
こうした設定の手軽さについては、FX2431TV、FX2301TV、FS2331の3機種にリモコンが付属しているのがありがたい。映像入力やカラーモードの切り替え、音量の調整、OSDメニューの設定といった操作が、本体から少し離れた場所で手軽に行えるのだ。
特にFX2431TVとFX2301TVはテレビ機能も備えているため、少し離れた場所でチャンネル切り替えなども即座に行える必要があり、多数のボタンを配置したフルリモコンが付属している。FX2301TVのリモコンにはリラックスモードやスルーモード、ゲーム用の画面サイズを切り替えるためのボタンもあり、ゲーム用途でも満足度が高い。FS2331付属のリモコンは小型のカードリモコンになるが、利用頻度の高い機能がまとまっており、本体の操作ボタンをいじるよりは段違いに使いやすい。使っていないときは、本体スタンドの台座にちょこんと置いておけるため、邪魔にならない利点もある。
一方、T2351W-Lはリモコンが付属しないが、基本的にユーザーが本体のすぐ近くでタッチパネルに触れて操作するモデルなので、離れた場所から設定が行えることの重要性は低く、特に不便は感じない。設定用のボタンもほかの3機種より大きく押しやすいうえ、映像入力やカラーモード、省電力設定の切り替え、輝度や音量の調整がすばやく行えるショートカットボタンも設けられており、操作性はよく練られている印象だ。
OSDメニューの構成も使い勝手を左右するポイントだが、リモコンが付属するFX2431TV、FX2301TV、FS2331はサイズが大きく、フォントの視認性も高い高解像度のメニューを用意しており、使っていて気持ちがいい。T2351W-Lは従来型のアイコンが並んだシンプルなOSDメニューを備えている。以前からEIZOディスプレイを使ってきたユーザーにとっては、こちらのほうがなじみやすいかもしれない。
さらに、画質のカスタマイズがしっかり行えるのもEIZOディスプレイの強みとして挙げられる。4機種とも輝度やコントラストはもちろん、色温度やガンマを数値で段階的に指定できるのがありがたい(低価格の液晶ディスプレイでは色温度やガンマの数値設定がないものが多い)。このため、液晶ディスプレイの画質を目的に応じて追い込みたいこだわり派にも使いやすいだろう。
リモコン/ボタン/メニュー構成の比較 | |||||
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製品名 | FORIS FX2431TV | FORIS FX2301TV | FORIS FS2331 | FlexScan T2351W-L | |
リモコン | フルリモコン | フルリモコン | カードリモコン | − | |
操作ボタン | 前面プッシュ式 | 前面プッシュ式 | 前面プッシュ式 | 前面プッシュ式(大きめ) | |
OSDメニュー | 高解像度の詳細メニュー | 高解像度の詳細メニュー | 高解像度の詳細メニュー | シンプルなメニュー | |
エンターテインメント向け液晶ディスプレイの本分ではないが、購入してから長期間使うとなると、省エネについても気になるところ。この点も少し触れておきたい。
これら4機種はEIZO独自の省電力機能として、「Auto EcoView」に対応している。照度センサーを内蔵しており、周囲の明るさに合わせて画面輝度を自動で最適化してくれるため、節電効果が高く、しかも目にかかる負担を減らせるというメリットも大きい。普段はAuto EcoViewをオンにして省エネで運用し、色再現性が求められる作業などでは無効にしたり、輝度を手動調整したりと、利用シーンに応じて使い分ければいいだろう。
消費電力はFX2431TVが最も高く、次にFX2301TV、そしてFS2331とT2351W-Lがほぼ横並びだ。最大消費電力で比べた場合、FX2431TVはT2351W-Lの3倍以上にもなる。FX2431TVは大画面でバックライト輝度が最も高く、入力系統も多いため、消費電力で最も不利になるのは仕方がない。FX2301TVも入力系統が多い高機能なモデルなので、通常の液晶ディスプレイより消費電力は高めだ。
一方、FS2331とT2351W-Lは利用時の標準消費電力が24〜26ワットと低く、標準的な液晶ディスプレイと同レベルに収まっており、エンターテインメント性と省エネのバランスがうまく取れているといえる。ちなみに、節電時や待機時の消費電力は4機種とも低く、未使用時の無駄は心配しなくていいだろう。
省電力関連の比較 | |||||
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製品名 | FORIS FX2431TV | FORIS FX2301TV | FORIS FS2331 | FlexScan T2351W-L | |
最大消費電力 | 130ワット | 80ワット | 45ワット | 42ワット | |
標準消費電力 | 非公開 | 75ワット | 24ワット | 26ワット | |
節電時消費電力 | 0.7ワット以下 | 非公開 | 1.0ワット以下 | 1.3ワット以下 | |
待機時消費電力 | 0.6ワット以下 | 0.8ワット以下 | 0.17ワット以下 | 0.1ワット以下 | |
Auto EcoView | ○ | ○ | ○ | ○ | |
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提供:株式会社ナナオ
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2011年3月31日