インテル、アーキテクチャを一新した“Sandy Bridge”世代のCore iシリーズようやく正式発表なのだ(1/4 ページ)

» 2011年01月06日 11時00分 公開
[ITmedia]

デスクトップPC向けにはSugar Bay、ノートPC向けにはHuron River

 「第2世代Core プロセッサー・ファミリー」(以下、第2世代Core iシリーズ)は、開発コード名“Sandy Bridge”と呼ばれてきた、新しいアーキテクチャを導入する32ナノメートルプロセスルールのCPUだ。また、新世代CPUを採用するデスクトップPC向けのプラットフォーム(開発コード名は“Sugar Bay”)とノートPC向けのプラットフォーム(開発コード名は“Huron River”)がそれぞれチップセットとともに用意される。ノートPC向けのプラットフォームでは、無線接続モジュールとして無線LANとモバイルWiMAX、またはBluetoothに対応するモデルが加わった。

Sandy Bridge世代でもCore i7、Core i5、Core i3でラインアップをそろえていく。なお、正式名称は第2世代Core プロセッサー・ファミリーとなり、新しいロゴが採用される(写真=左)。Sandy Bridge世代ではデスクトップPC向けのプラットフォーム「Sugar Bay」とノートPC向けのプラットフォーム「Huron River」(ともに開発コード名)を用意する。また、無線接続モジュールのCentrinoシリーズでも新モデルが追加された(写真=右)

Turbo Boost TechnologyもIntel HD Graphicsも第2世代に

 今回、CPUとして登場するのは、ノートPC向けがCore i7シリーズで12モデル、Core i5シリーズで5モデル、Core i3シリーズで1モデル。デスクトップPC向けがCore i7シリーズで3モデル、Core i5シリーズで8モデル、Core i3シリーズで3モデルだ。

 第2世代Core iシリーズでは、CPUに統合されたグラフィックスコアやTurbo Boost Technology、そして、新しい命令セット「Intel AVX」など、32ナノメートルプロセスルールを採用した従来の“Westmere”世代から構成を一新し、機能を増やして性能を向上させている。

 統合するグラフィックスコアは従来のIntel HD Graphicsから、「Intel HD Graphics 3000」「Intel HD Graphics 2000」に変更する。Intel HD Graphics 3000は、ノートPC向けとデスクトップPC向けのオーバークロック設定が可能な“K”モデルに採用され、Intel HD Graphics 2000はそれ以外のデスクトップPC向けモデルで採用する。DirectX 10.1とシェーダモデル4.1に対応して、HDMI 1.4a(ステレオ立体視表示に対応)をサポート。内蔵するExecution UnitがIntel HD Graphics 3000では12基、Intel HD Graphics 2000では6基になる。

 グラフィックスとビデオ関連の機能では、「インテル クイック・シンク・ビデオ」と「Intel InTru 3D」に対応するほか、新しい命令セットとして「Intel AVX」が導入された。インテル クイック・シンク・ビデオでは、従来のデコード処理だけでなく、エンコードとトランスコード処理でもグラフィックスコアによるハードウェア支援が得られることで高速化が実現するという。また、Intel InTru 3Dでは、ステレオ立体視対応のPCゲームや1080pのステレオ立体視コンテンツが利用可能になる。

グラフィックスコアはCPUコアと同じダイに統合され、新世代のIntel HD Graphics 3000(ノートPCと一部デスクトップPC向けモデル)とIntel HD Graphics 2000(デスクトップPC向けモデル)になった(写真=左)。従来CPUでソフトウェア的に処理していたビデオプロセッシングとエンコーディングがハードウェアで実行できるようになった(写真=中央)。Sandy Bridge世代では、新しい命令セット「Intel AVX」が導入される。浮動小数点演算を利用するベクトル処理で性能向上が期待されるが、実際に利用できるのはWindows 7のService Pack 1以降となる予定だ(写真=右)

リングバスで接続されたLLCとグラフィックスコア

 第2世代Core iシリーズで導入された新しいアーキテクチャは、IDF 2010などの技術イベントですでに明らかにされているように、1つのダイにCPUコア、グラフィックスコアのほか、メモリコントローラとPCI Expressを統合する。CPUコアとラスト・レベル・キャッシュメモリ(LLC。従来の3次キャッシュメモリに相当するもの。1次キャッシュメモリと2次キャッシュメモリはCPUコアに組み込まれる)は“直列”に配置され、LLCはシステムエージェントとグラフィックスコアにリングバスで接続する。この構造によって、CPUに搭載するCPUコアの数の変更が容易にできるとインテルは説明する。

 システムの負荷にあわせて動作させるCPUコアの数を自動で変更するとともに、事前に設定されているTDPとシステム内部の負荷と温度にあわせて動作クロックを動的に変更するTurbo Boost Technologyも“第2世代”となった。必要に応じて電力効率を向上させたのが特徴で、処理終了まで時間がかかるI/O命令では、データが相手から戻ってくるまで消費電力を削減するようになるなど、より細かい制御をするようになった。

 また、グラフィックスコアでは、動的にパフォーマンスを変更する「ダイナミック・フリークエンシー」と「パワー・シェアリング」に対応する。ダイナミック・フリークエンシーでは、グラフィックス処理を多用するアプリケーションが有効になると動作クロックを自動で上げる機能で、パワー・シェアリングでは、第2世代のTurbo Boost Technologyと連動し、システム内温度に対してTDPの余裕があるときにグラフィックスコアの動作クロックを引き上げる。

Sandy Bridge世代のCore iシリーズでは、CPUコアが直線状に並び、32ナノメートルプロセスルールを採用した新世代のグラフィックスコアとラスト・レベル・キャッシュ(LLC)、システムエージェントをリングバスで接続する(写真=左)。Turbo Boost Technologyも第2世代に進化して、電力効率を向上させている(写真=中央)。グラフィックスコアの動作クロックをシステムの負荷(特にグラフィックス処理)にあわせて動的に変更する「ダイナミック・フリークレンシー」はSandy Bridge世代ではデスクトップPC向けモデルでも導入される。また、Turbo Boost Technologyと連動する「パワー・シェアリング」によって必要に応じて設定を調整する(写真=右)

無線接続モジュールでは3×3とBluetoorh対応も

 デスクトップPC向けの第2世代Core iシリーズのうち、型番末尾に“K”があるモデル(Core i7-2600KとCore i5-2500K)では、従来のCore i7-980X Extreme Editionや、Core i7-875K、Core i5-655Kと同様に、CPU動作クロックの倍率変更ロックが解除された状態で出荷される。

 Sandy Bridge世代のCPUに対応するチップセットもノートPC向けとデスクトップPC向けにそれぞれ登場する。どちらもSerial ATA 6Gbpsに対応するほか、デスクトップPC向けのIntel P67 Express以外では、映像出力インタフェースをサポートしてCPUに統合されたグラフィックスコアが利用できる。また、映像出力インタフェースではHDMI 1.4aをサポートすることで、接続したディスプレイが対応していればステレオ立体視コンテンツが表示可能だ。

 無線接続モジュールのCentrinoシリーズでは、無線LANとBluetoorhが利用できる「Centrino Advanced-N 6230」(パフォーマンス向け)と「Centrino Advanced-N 1030」(メインストリーム向け)が登場するほか、無線LANとモバイルWiMAX対応モデルでも3×3に対応した「Centrino Advanced-N WiMAX 6150」、無線LAN対応の「Centrino Advanced-N 6205」を追加した。

Intel Wireless Displayにも対応し、IEEE 802.11nを利用して接続したディスプレイで1080pの動画とステレオ音声を再生できる(写真=左)。無線接続モジュールのCentrinoシリーズでは、IEEE 802.11b/g/nとBluetoothが利用できるモデルや3×3のマルチストリームに対応するモデルが追加された(写真=右)

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