前回紹介したとおり、NMP-1000Pは内蔵ストレージのファイルだけでなく、ネットワーク上の共有ファイルも再生可能なメディアプレーヤーだ。その場合、NMP-1000Pはクライアントという位置づけになる。つまり、NMP-1000Pでのネットワーク再生では、サーバとなる機器が動作していなくてはならない。
ネットワーク経由でファイル再生を行う場合、最も簡単なのはWindowsマシンを用意してそこに共有フォルダを設定する方法だ。しかし、運用の仕方によっては「リビングで動画を見るたびにいちいちPCを立ち上げなければならないのは面倒だ」と考える人がいるかもしれない。かといって、消費電力の大きなPCを24時間起動しておくことに抵抗を感じる人もいるだろう。1日の視聴時間が限られている場合にはなおさらだ。
その都度電源を入れる手間を省きたい、あるいは複数のPCから利用するファイルサーバもほしい、といった向きには、同社の「TurboNAS」シリーズを組み合わせるのが理想的なソリューションだ。モデルによって差はあるものの、PCと比較して省電力な点、電源のオン/オフがスケジューリングできる点など、手間とランニングコストの削減に役立つうえに、NMP-1000PとTurboNASシリーズとの連携機能もある。ただ、両方導入するのはコストの面から難しい人もいるだろう。
そこで今回は、NMP-1000PをNASとして利用することを考えてみる。NMP-1000PはHDDを内蔵しない場合は10ワット、内蔵時でも17ワットと省電力であり、24時間稼働させても一般的なデスクトップPCよりは抵抗を感じにくい。もう1つのメリットとして、NMP-1000Pを常時起動しておけば、ファイル再生が可能になるまでの時間を(当然ながら)大幅に短縮できるという点も挙げられる。NMP-1000Pを通常起動すると70秒ほどかかるのに対して、NASモードならわずかに3秒と、ちょっとした時間に動画を視聴したいときに便利だ。
なお、NMP-1000Pには“NASモード”が搭載されているが、メディアプレーヤーモードとの違いは画面が非表示になっているだけで実行プロセスや消費電力に違いは見られなかった。メディアプレーヤーモードではPOWERボタンと正面下部が青く発光し、NASモードではPOWERボタンのみが赤く発光するなど、各モードによって外観上の違いはあるものの、正面下部の青色LEDは設定でオフにすることもできる。NASモードを使用するか、それとも単につけっぱなしにしておくかは好みで選択すればいい。HDDのアクセスが一定時間なかった際にHDDをスタンバイモードに切り替え、さらに省電力化することもできる。
NMP-1000Pの(通常の)設定画面は、本体のボタンやリモコンからアクセスするが、NAS機能に関しては、PCなどのWebブラウザからアクセスする仕組みだ。また、NASキットであるTurboNASシリーズは、最新ファームウェア(バージョン3以降)でUIが一新されたが、NMP-1000Pはそれ以前のシンプルUIが採用されている。
NMP-1000PのNAS機能は、NAS専用機であるTurboNASと比較すると、機能が限定されたサブセットとなっている。加えて、ユーザーが自由に設定できるWebサーバ機能を搭載したTurboNASシリーズは、管理画面がデフォルトで8080ポートに設定されているのに対し、Webサーバ機能を持たないNMP-1000Pの管理画面はポート80で動作している。
NMP-1000Pでは、初期導入時にシステムのデフォルト共有フォルダとして「Download」「Music」「Photo」「Video」の4つを作成する。各フォルダの初期設定は、管理者がフルアクセス、一般ユーザーは読み込みのみ、ゲストはアクセス拒否となっているので、必要に応じて修正しよう。
気をつけてほしいのがNMP-1000Pを複数のユーザーで利用する場合だ。ネットワーク共有で各ユーザーごとの専用フォルダ、すなわち当該ユーザーのみがアクセスできる共有フォルダを作成することは可能だが、NMP-1000Pのメディアプレーヤー機能からはローカルアクセスになるために、権限を無視してすべてのフォルダにアクセスできてしまう。一応、NMP-1000Pの再生対象となるメディアファイルでなければ実質的に問題ないとはいえ、あまり気持ちのいい話ではないだろう。NMP-1000Pに保存するファイルは、ネットワーク環境内で共有・公開するファイルに限ったほうがよさそうだ。
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