ビジネスインクジェットにモノクロ専用機を投入――エプソン発表会

» 2011年02月04日 03時14分 公開
[ITmedia]
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 エプソンは2月3日、写真愛好家向けA3ノビ対応プリンタ「PX-5V」をはじめ、ビジネス向けインクジェット複合機「PX-673F」「PX-603F」および、モノクロ専用機「PX-K100」の3機種と、コンシューマー向けのカラリオ「PX-403A」を発表した。価格はいずれもオープンで、実売想定価格はPX-5Vが8万円台後半、PX-673F、PX-603F、PX-K100が順に3万円台後半、2万円台後半、1万円台半ば、PX-403Aが1万円前後になる見込み。2月9日より順次発売される予定だ(PX-5Vは2月24日、PX-K100は4月発売予定)。

エプソン販売取締役 販売推進本部長の中野修義氏

 同日都内で行われた記者発表会では、エプソン販売取締役 販売推進本部長の中野修義氏が登壇し、1年で最もプリンタが販売される年末商戦期の状況を振り返った。同社によれば、プリンタの販売台数は年末商戦で188万台、通年で505万台と、いずれも前年比で104%の伸張がみられた。中野氏はこの結果を、複合機の買い替えが堅調に推移したことに加えて、キーボード付きコンパクトプリンタの市場拡大がけん引したと説明する。

 一方、2010年秋冬モデルの発表時に「目標シェア51%以上」としていたキヤノンとのシェア争いについては、年末商戦時には販売台数、金額ベースの両方でシェアトップを確保したものの、通期でみると台数シェア46%と、キヤノンに次ぐ2位に甘んじている。これは4〜6月期の競合他社による低価格攻勢に押された結果という。ただし、6色インクの画質のよさで高く評価された「EP-803A」が好調だったこともあり、金額ベースではシェア48%とトップを堅守した。実際、10〜12月はEP-803A単体のシェアが20%と、5台に1台の割合で販売された計算になる。このほか、キーボード付きのコンパクトプリンタ「E-810」についても触れ、当初、比較的年配のユーザー層を想定していたが、20〜30代の若い女性からも支持され、新しいカテゴリとして確立しつつあるとアピールした。

プリンターの市場規模。最も多くのプリンタが販売される年末商戦期も含めて、対前年比を上回った(写真=左)。インクジェットプリンタのシェア。秋冬モデル投入時の51%は達成できなかったものの、年末商戦は台数、金額ともにトップシェアを獲得した(写真=中央)。特に数多く販売されたのが「EP-803A」だ。またキーボード付きのコンパクトプリンタも好調という(写真=右)

 続いて中野氏は、今回3機種が投入されたビジネスプリンタ市場についても説明した。現在ビジネスプリンタ市場(2009年時)は、236万台の市場規模のうち、レーザープリンタとインクジェットプリンタが2分する状況にある(レーザー55%、インクジェット45%)。同社が行った調査によると、インクジェットはコストが安く省スペースな点が、レーザーは印刷速度の速さがそれぞれ購入要因となっており、例えば机の脇などに置いた環境で利用するなら前者、大量の文書を印刷する環境では後者が選ばれているという。そこで同社は、ビジネスインクジェットプリンタで印刷速度と耐久性向上に取り組み、新たに3機種を加えて、ラインアップを拡充していく。

ビジネスプリンタの市場構成(写真=左)。インクジェットは導入コストが安く、省スペースな点、レーザーは印刷速度が速く、大量印刷に適している点が支持されている(写真=中央)。エプソンは、導入コストの安価なインクジェットで、高速かつ耐久度の高い製品をめざす(写真=右)


PX-K100

 既報の通り、今回の目玉製品は、プロセクションシリーズ最高画質をうたう「PX-5V」だが、ビジネスインクジェットでもユニークな製品が登場した。それがモノクロ専用機の「PX-K100」だ。

 ビジネスプリンタ市場の構成比を見ると、モノクロ専用機は75万台と、ビジネスレーザープリンタのうちの60%ほどを、インクジェットプリンタを含めた全体でも30%を占める。その一方で、ビジネスインクジェットプリンタは完全にカラー化されており、モノクロ専用機は1台もない。今回投入されるA4モノクロ専用機の「PX-K100」は、オフィスへの設置で重要視される導入コストを抑えた。また、A4紙1枚あたりの印刷コストが約2.85円と、低ランニングコストを実現したほか、インクジェットならではの低消費電力設計もポイントの1つとなっている。

大容量の顔料系インクを2本搭載する

 さらに印刷速度も16ipmと速く、大容量の顔料系ブラックインクを2本同時に搭載することで大量のモノクロ印刷にも対応した(同社によればA4文書2000枚分)。ちなみに、インクは2本同時に消費していくが、片方だけがなくなっても「インク1本だけモード」により印刷を続行できる。フロントから給紙する用紙カセットは最大250枚まで給紙可能、両面印刷にも対応するほか、有線LANポートも標準装備し、ネットワーク環境で利用できる。本体サイズは445(幅)×558(奥行き)×154(高さ)ミリ、重量は約4.6キロ。

 一方、ビジネスインクジェット複合機としては、2段の用紙カセットにより最大500枚の大容量給紙を実現した「PX-673F」と、1段の「PX-603F」を投入する。いずれもプリント/コピー/スキャン/カラーファックス機能を搭載するほか、有線/無線のネットワーク機能を備え、自動両面印刷をサポート。さらに最大30枚の原稿を連続で読み込めるADFも両面スキャン/両面コピーに対応した。印刷速度はPX-673Fがカラー9.5ipm/モノクロ15ipm、PX-603Fがカラー7.2ipm(モノクロ非公開)。このほか、PX-673Fはタッチパネル式の操作ボタンを前面に用意し、各操作で使用可能なボタンだけが光る「カンタンLEDナビ」機能によって、直感的かつ分かりやすい操作性を実現している。

2段の用紙カセットで最大500枚の給紙に対応した「PX-673F」。前面に搭載された操作パネルはタッチ入力に対応する。各操作で使用するボタンだけが光るユニークな機能も搭載している(写真=左/中央)。ビジネスインクジェット複合機としてもう1つ投入されるのが「PX-603F」だ(写真=右)

 なお、プロ/ハイアマチュア写真家向けに投入される「PX-5V」については、発表会の模様ニュース記事を参照してほしい。

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