STYLISTIC Q550シリーズは、AndroidとARMを採用するスレート型タブレットデバイスが相次いで登場する最近では珍しく、32ビット版のWindows 7 Professional(または、32ビット版のWindows 7 Home Premium)と、インテルの“Oak Trail”世代Atomを採用するスレート型“PC”だ。企業導入を想定した「STYLISTIC Q550」シリーズのスペックと出荷予定、価格は、「富士通、Windows & AtomのスレートPCを企業向けに投入」で紹介しているが、発表当日に行われた説明会では、この時期にWindows 7を導入するスレート型PCを投入する意義について紹介した。
富士通執行役員副社長の佐相秀幸氏は、2010年度のPC市場の動向について触れ、Windows XP導入PCからの買い替え需要などで、増収増益を実現する見込みであると語った。さらに、富士通におけるPC事業の位置付けについても、「実体がない」という意見もあった同社のスローガン「ヒューマンセントリックなインテリジェント・ソサエティ」が、富士通自身の製品でスマートホンなどのユビキタスプロダクトから、サーバなどのシステムプラットフォームなどをカバーすることで、「それなりの答えを出せるレベルに達している」としている。
同社執行役員常務の大谷信雄氏は、富士通のようにユビキタスプロダクトの携帯電話から、サーバによるシステムプラットフォームまで一社ですべてを支えられるメーカーはなく、さらに、全世界で均一のサポートとサービスを提供できるのも富士通の価値だとアピール、生産体制でも、ユーザーの要望に応じたカスタマイズや先進技術の導入などに短期間で対応できる国内の開発生産と、低価格の要求に応えるODM生産を組み合わせた「ベスト・フィット」コンセプトを取り入れるなど、ユーザーに最も合った環境を提供し、グローバル展開と状況の変化に対応する施策を取り入れてきたと説明した。
大谷氏は、スマートフォンやタブレットデバイスの登場で聞かれるようになった「PC不要論」についても「まったく違う」と反論する。「PCはクリエイティブな利用にも使えるが、タブレットデバイスはビューアでインターネットをベースとした端末。だからPCとは違う。PCはこれから重要度が増してくる。タブレットデバイスは、プレゼンテーションやフィールドワーク、キーボードがいらない画面タッチによるサービスの提供など、新しい利用方法の市場を拡大する」(大谷氏)
また、富士通が1991年から企業向けタブレットPCを手がけていて、米国のタブレットPCシェアで第2位という実績もアピールしつつ、企業での導入を意識してWindowsを導入するなど、PCという軸足を保ちながら富士通のタブレットPCをこれからも考えていくとした。
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