GeForce GTX 550 Tiは、“GTX”とあるようにハイエンド製品の位置づけだが、仕様で見ればGeForce GTS 450を強化したモデルというのが正しいだろう。搭載するGraphics Processing Clusters(GPC)とStreaming Multiprocessors(SM)の数はGeForce GTS 450と同じでそれぞれ1基と4基となる。CUDAコアも192基、テクスチャユニットも32基とこれも変わらない。CPUコア部分で異なるのは動作クロックだけということになる。GeForce GTS 450が783MHzだったのに対し、GeForce GTX 550 Tiは900MHzと大きく引き上げられているのが特徴だ。
型番 | GeForce GTX 560 Ti | GeForce GTX 460(1GB) | GeForce GTX 460(768MB) | GeForce GTX 550 Ti | GeForce GTS 450 |
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開発コード名 | GF114 | GF104 | GF104 | GF116 | GF106 |
GPC | 2 | 2 | 2 | 1 | 1 |
SM | 8 | 7 | 7 | 4 | 4 |
CUDA Core | 384 | 336 | 336 | 192 | 192 |
テクスチャユニット | 64 | 56 | 56 | 32 | 32 |
ROPユニット | 32 | 32 | 32 | 24 | 16 |
コアクロック(MHz) | 823 | 675 | 675 | 900 | 783 |
CUDAクロック(MHz) | 1646 | 1350 | 1350 | 1800 | 1566 |
メモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 |
メモリ接続バス幅(ビット) | 256 | 256 | 192 | 192 | 128 |
メモリクロック(MHz) | 1000 | 900 | 900 | 1026 | 902 |
メモリ容量(MB) | 1024 | 1024 | 768 | 1024 | 1024 |
最大消費電力(ワット) | 170 | 160 | 150 | 116 | 106 |
補助電源レイアウト(ピン) | 6+6 | 6+6 | 6+6 | 6 | 6 |
一方、グラフィックスメモリ周りでは、ROPユニットがGeForce GTS 450の16基から24基へと増加した。さらに、これと合わせてメモリバス幅が128ビットから192ビットへとこちらも強化されている。というよりも、NVIDIAが公開した仕様では、構成トランジスタ数がGeForce GTS 450とGeForce GTX 550 Tiは同じとされていることから、GeForce GTS 450で無効化されていたユニットが有効になったと推測できなくもない。
グラフィックスメモリクロックも902MHzから1026MHz(DDR転送レートで4104MHz相当)へと引き上げられている。GPUのコア部分は動作クロックの向上、グラフィックスメモリ周りでは、帯域、および、ROPユニットの強化という形で性能向上を図っている。NVIDIAが示しているGeForce GTS 450からの性能向上率は28%とされており、その主なユーザー層としてはGeForce 8600 GTユーザーを提案している。
グラフィックスメモリで興味深い特徴がある。それはグラフィックスメモリの各チャネルに容量の異なるチップを接続できる点だ。GeForce GTS 450は8チップで1Gバイトの容量を実現しているが、評価で用いたULTIMETE GTX550 Ti DirectCUは6チップで1Gバイトの容量を実現している。この数字に違和感を覚えたユーザーは鋭い。1024は6は割り切れる数字でないからだ。ULTIMETE GTX550 Ti DirectCUでは、6チップのうち4チップが128Mバイト、残り2チップが256Mバイトという組み合わせで1024Mバイトになっている。全部128Mバイトで768Mバイト、全部256Mバイトなら1.5Gバイトとなるが、少ないメモリチップで価格と容量のバランスを調整できるメリットがあると思われる。
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