IDC Japanの調査によれば、2010年の国内PC出荷台数は約1578万台と過去最高を記録した(IDC Japan、2011年2月)。このうち特に好調だったのは法人PCで、世界的な景気後退から需要が停滞した2009年から一転して企業の買い替えが進み、結果、前年比24.9%増の840万台と市場全体の半分以上を占める高い成長率を見せている。
そんな中、マウスコンピューターは2011年2月に、法人向けPCブランドとして新たに「MousePro」を立ち上げている。同社はすでに文教や特定業務向けのPCで法人ビジネスを展開してきたが、今回のMouseProはこれまでとどう違うのか。マウスコンピューター代表取締役社長の小松永門氏に新ブランドの狙いを聞いた。
―― 2月に新ブランドの「MousePro」(マウスプロ)を発表されましたが、今このタイミングで大々的に法人ブランドを立ち上げた理由を教えてください
小松 これまでにも法人分野では、CADや3DCG製作の現場、特定業務向けにビジネスを展開してきました。NVIDIAのQuadroを搭載したPCを低価格で提供するなど、マウスコンピューターの特徴を生かせる部分で法人需要があったからです。
また、ご存じの通り、国内PC市場の半数を超えるのが法人です。コンシューマーでは液晶一体型PCやノートPCが主流ですが、例えばオフィスの一般事務で使うPCは、まだまだデスクトップの需要が大きい。弊社は特にデスクトップPCで豊富なBTOオプションをそろえ、さらに開発から製造までを国内で一貫して行っている点に強みがあるため、特に法人は今後伸ばしていくべき分野だと考えていました。
―― 「MousePro」の立ち上げはどのくらい前から企画していたのでしょうか
本格的に準備を始めたのは2010年です。これまでもこの市場を見据えて、法人ビジネスに対するマウスコンピューターなりのあり方について取り組みを強化してきたのですが、ようやく開発からサポートまでを含む全体として、多くの法人需要を満たせるサービスを提供できるようになってきたため、改めて法人ブランドのMouseProを立ち上げています。
―― MouseProの具体的なターゲット層は?
小松 中心となるのはやはりSOHOです。エンタープライズ向けでは、オンサイト保守であるとか、サービスマンが常駐する、あるいは、ワールドワイドで展開する企業はスケールメリットを生かして1台のコストを徹底的に下げるといったことがあるかと思います。それに対してマウスの強みは、何と言っても国内に拠点を持つ点や、豊富なBTOによってきめ細かくお客様のニーズに応えられることです。SOHOやSMBなどの比較的小規模な企業をターゲットにすることで、例えるなら町のテーラー(仕立てや屋)として、お客様ひとりひとりに寄り添ったビジネスを展開できると考えています。
―― 御社はすでに「LUV MACHINES」や「LuvBook」、高性能な「MDV ADVANCE」、そしてゲーマー向けの「G-Tune」と多くのラインアップをそろえていますが、これに対してMouseProはどういった違いがありますか?
小松 コンシューマー向け製品は、用途にあわせてブランドを細分化しているのに対して、MouseProでは1つのシリーズである程度幅広くカバーしていこうと思っています。例えば、ATXサイズのモデルはオフィスでは大きすぎるので、ミニタワーモデル(MousePro-i)を使うにしても、MicroATXでどこまで性能を実現できるのか、あるいはスリムタイプ(MousePro-iS)でどこまで性能を実現できるのかといったようにです。
構造計算などの用途で法人PCを探しているお客さまの中には、強力なGPUパワーが必須でフルサイズのグラフィックスカードが挿さるものを求める方もいますが、MousePro-iならサイズの奥行きも電源回りも応えられます。「小さい筐体で可能な限りハイエンドがいい」といったニーズに最適だと思います。この辺りは特にマウスコンピューターが強い分野です。
また、法人PCということで、ボディデザインもオフィスにおいて違和感のないもの、シンプルなものを意識して、オリジナルのデザインにしています。コンシューマー向けでは光学ドライブや前面のインタフェース回りにカバーをつけたモデルがありますが、法人では逆に耐久性の部分などを考えて、あえて省いてあります。
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