「Wi-Fi WALKER DATA05」は、auから初めて発売された3Gデータ通信機能内蔵のポータブルルータだ。auでは端末供給で実績のある韓Pantech製。バッテリーで動作するポケットサイズの小型ボディ、下り最大3.1Mbpsで通信できる3Gデータ通信環境を最大5台の無線LAN機器を接続できる。NTTドコモやイー・モバイルの製品とは通信方式が異なるので、それに応じた最大通信速度の相違はあるが、2011年3月現在におけるモバイルデータ通信ユーザーのニーズに準じる標準的な機能を備えた3Gポータブルルータといえる。
外観はUSBスティックタイプに近い棒状のスタイルで、よくある3G対応のUSBモデムをひと回り大きくした感じ、あるいはコンパクトなストレート型音声端末といった印象を受ける。3Gポータブルルータの代表格となるPocket WiFiなどとサイズ感を比較すると、ボディは細めだが、その分少し厚め。重量は約115グラムだ。片手にすっぽり収まるので、普段持ち歩くにもそれほど困らない。バッテリー動作時間は、無線LAN機器1台接続時の連続通信で約270分(約4時間30分)となる。
3Gの通信方式は、国内ではauのみが採用するCDMA2000(CDMA 1X EV-DO Rev.A)で、新旧800MHz帯と2GHz帯に対応する。このため、auのサービスエリアで利用できない場所はなく、現時点はもちろん2012年の800MHz帯再編後もエリアの制限なく利用できることになる。EV-DO Rev.Aに対応し、下り最大3.1Mbps/上り最大1.8Mbpsで通信が可能だ。残念ながら、最大3チャンネルを束ねることで下り最大9.2Mbpsを実現する「WIN HIGH SPEED」(EV-DO Rev.A MC)には対応しない。また、SIMカードスロットを備えないので、国内他社のSIMカードはもちろん、au ICカードを差し替えて使い回す利用シーンにも対応しない。
無線LANは最大54Mbpsの2.4GHz帯/IEEE802.11g/bに対応する。WPSもサポートし、対応端末とは暗号キーの入力なしに暗号化接続が可能。国内での利用においては、WPS以外に携帯ゲーム機などでも使える“AOSS”や“らくらく無線スタート”もサポートしてほしいところだが、携帯ゲーム機やスマートフォンでもWPSへの対応は進みつつあり、Windows XP(SP2)以降のPCであればWPSは標準で利用できる。
定額制のデータ通信プランを用意する国内の主要モバイルデータ通信サービスは、「月額料金はISP料金込みか、別か」に分かれる違いがある。イー・モバイルとWiMAX(UQ WiMAX、およびMVNO)はISPサービスも兼ねているので、別途ISPとの契約や追加料金は不要。対してNTTドコモは別途ISPサービスの契約を必要とし、同社の有料ISPであるmopera Uか別途プロバイダとも契約して利用する。(一部、タイプミスによる誤表記がありましたので上記の通り修正いたしました)
auは、NTTドコモと同じスタイルだ。自社のISPサービス「au.NET」(525円/月)以外に、au one netモバイル専用コース、@nifty、BIGLOBE、So-netといった国内主要プロバイダがISPサービスを用意しており、ユーザーはこれらのいずれかを選択して利用する。すでに自宅でこれらプロバイダを利用するユーザーなら、一部でモバイル分も追加料金不要あるいは割安で利用できる──といった場合があるものの、とりあえずデータ定額プランの金額に加えて、プラス525円/月ほどのモバイル通信用のISP料金が加わるのが基本と考えていいだろう。
ちなみにau.NETはau携帯電話料金と一緒の請求となり、まったく利用のなかった月はこの利用料が発生しない。これは、出張や旅行時など一時的な利用が中心で、まったく利用しない月がある使い方の人にうれしい。また、本機には3G接続の標準設定としてau.NETがプリセットされている。ISPサービスとしてau.NETを利用するなら初期設定はほぼ必要ない。主な初期設定は無線LANがIEEE802.11b/g、WPA2-PSKで暗号化、無線LANチャンネル選択自動、3G自動接続となっており、初期設定のSSIDや暗号キーは同梱するシールに記載されている。
無線LAN設定については初期設定がWPA2-PSKであるため、IEEE802.11b/WEPしか使えない無線LAN機器(ニンテンドーDSなど)からは(初期設定では)無線LANに接続できない点は念のため注意してほしい(もちろん、暗号化設定を変更すればWPA2-PSK非対応のIEEE802.11b対応無線LAN機器でも利用できるようになる)。
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