“5830”の再来?――Barts世代のバリューGPU「Radeon HD 6790」を走らせるイマドキのイタモノ(1/2 ページ)

» 2011年04月05日 13時01分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

“Barts”コアからSPを削減した派生モデル

 Radeon HD 6790が採用するGPUは、開発コード名で“Barts”と呼ばれる世代で、正確には“Barts LE”とされている。Radeon HD 6800シリーズと同じ世代のGPUとなるが、SIMDエンジンの数は10基、ストリームプロセッサの数は800基、テクスチャユニットが40基と、それぞれRadeon HD 6850より少ない。

 また、ROPsは16基、Z-Stencilは64基と、こちらはRadeon HD 6800シリーズに対して半減している。ただし、AMDの資料で構成トランジスタ数はRadeon HD 6800シリーズと同じ17億個となっているので、Bartsをベースにして、一部の回路をDisableにしているのではないかと推測される。

型番 Radeon HD 6870 Radeon HD 6850 Radeon HD 6790 Radeon HD 5770
開発コード名 Barts Barts Barts Juniper
SIMD 14 12 10 10
ストリームプロセッサ数 1120 960 800 800
テクスチャユニット 56 48 40 40
ROPユニット 32 32 16 16
Z-Stencil 128 128 64 64
コアクロック(MHz) 900 775 840 850
メモリ転送レート(Gbps) 4.2 4 4.2 4.8
メモリクロック(MHz) 1050 1000 1050 1200
メモリタイプ GDDR5 GDDR5 GDDR5 GDDR5
メモリ接続バス幅(ビット) 256 256 256 128
メモリ容量(MB) 1024 1024 1024 1024
Typical Gaming Power(ワット) 151 127 150 108
Typical Idle Power(ワット) 19 19 19 18
補助電源レイアウト(ピン) 6+6 6 6+6 6
トランジスタ数(億) 17 17 17 10.4
プロセス(ナノメートル) 40 40 40 40

 なお、コアの仕様から導かれる理論上の性能は、Radeon HD 5770にやや劣る。しかしRadeon HD 6790はRadeon HD 5770より上のセグメントに位置する。これは、グラフィックスメモリのバスが256ビット接続で、これがRadeon HD 6800シリーズと共通であるからだ。グラフィックスメモリクロックは1050MHzで、これは1200MHzだったRadeon HD 5770より低いが、256ビット接続であるため、帯域幅はRadeon HD 5770の76.8Gバイト/秒に対して134.4Gバイト/秒と大幅に向上した。GPUコアの仕様がRadeon HD 5770に近く、グラフィックスメモリの仕様はRadeon HD 6800シリーズに近いというのが、Radeon HD 6790の位置づけをよく示している。

 消費電力は150ワットと比較的大きい。ただし、この値はLoad Board Powerであり、最近のRadeon HDシリーズで用いているTypical Board Powerとは異なる。Radeon HD 6870が151ワット、Radeon HD 6850が127ワットとされていることから、有効トランジスタ数の少ないRadeon HD 6790がそれ以上ということはないが、仮に、“それ以上”であれば、Radeon HD 6790は、Radeon HD 5850に対するRadeon HD 5830のようなポジションになる。Radeon HD 6790の補助電源コネクタは6ピン2基で、Radeon HD 6850の6ピン1基より多い。

Radeon HD 6790を搭載したリファレンスデザインのグラフィックスカード

 今回の評価作業では、リファレンスデザインに準拠したグラフィックスカードを使用した。カードはRadeon HD 6850より長く、Radeon HD 6870と同じだ。補助電源コネクタの向きなど、外観はRadeon HD 6870とほぼ共通といえる。CrossFireX用のコネクタは1基で、これはRadeon HD 6800シリーズと同様だ。

カードの長さを比較する。左からRadeon HD 6870、Radeon HD 6790、Radeon HD 6850。Radeon HD 6790のサイズはRadeon HD 6870と同等だ(写真=左)。補助電源コネクタは6ピン×2基という点もRadeon HD 6850というより、Radeon HD 6870に近い(写真=右)

CrossFireX用端子は1基でRadeon HD 6800シリーズと同様(写真=左)。映像出力インタフェースのレイアウトもRadeon HD 6800シリーズと共通で、Mini DisplayPortが2基、HDMI、DVIが2基(1基のみデュアルリンク)となる

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