BCNは、4月7日に東日本大震災がPCとデジタル家電の販売実績に与える影響ついて説明会を行った。なお、考察に使われたデータは、全国大手家電販売店の23社2336店舗のPOSデータだが、3月11日から3月13日までのデータが一部欠落(営業できなかった55店舗)しており、その部分は推計で補完している。そのため、BCNでは、今後正式なデータが収集できた時点で、数値が変更になる可能性があるとしている。
同社アナリストの道越一郎氏は、東日本大震災によるPCとデジタル家電の3月期販売に対する影響について概要を説明した。
それによると、岩手、宮城、福島では、売り上げが7割減少したが、日本全国では1.2%の減少にとどまったという。北海道と東北、関東では震災の影響がみられるものの、ほかの地域では限定的で、3月21日の週における集計では売り上げが回復し始め、3月末のエコポイント終了に伴なう駆け込み需要も当初の期待には及ばなかったものの、需要回復のきっかけになったという評価を示した。
被災地とそのほかの地域とで2011年3月の販売台数と売り上げ金額を比較すると、被災地は2010年3月実績から3分の1に減らしている。BCNは震災がなかった場合の売上実績を100とした相対値を試算しているが、被災地は販売台数で約70%、売り上げ金額で約75%損失したが、全国規模ではそれぞれ1.3%の減少と、震災の影響は軽微と評価している。
地域別で週ごとにまとめた販売台数実績は、北海道と東北エリア、関東エリア、そしてネット販売の集計で3月7日の週と3月14日の週で大きく減らしているが、そのほかでは影響は少なく3月14日から回復している。売り上げ金額でも同じ傾向だが、回復の速度は遅い。
なお、ネット販売における「みずほ銀行の大規模システム障害」の影響について道越氏は、ネット販売決済におけるみずほ銀行利用者の割合など、正確なデータは入手していないとしながらも、その影響はわずかであるはずと述べている。
PCの販売実績では、北海道と東北、関東で3月7日の週と3月14日の週で販売台数を前年同時期から大きく減らしているが、北海道と東北以外ではネット販売も含めた日本全域で3月末に向けて販売台数を伸ばし、関東では前年同時期の実績を上回るまでに回復している。道越氏は、CPUの世代交代による買い替え需要や、企業導入が多い地域での販売回復が影響していると説明する。
なお、デスクトップPCとノートPC、そしてスレート(タブレット)デバイス別の販売台数構成比で、スレートデバイスが2011年2月の4.0%から3月に2.0%と減らしているが、これは、iPad2の出荷延期の影響とBCNではみている。また、デスクトップPCのメーカー別国内シェアで、富士通が2011年3月に急成長しているが、この理由は、Intel 6シリーズチップセットの問題に対応したモデルの投入が早期に実現できたためとBCNアナリストの森英二氏は述べている。
UPSの販売台数では、前年同月の6倍に達したほか、情報入手手段としてワンセグ関連製品(ワンセグ液晶テレビ、ワンセグチューナー)も販売台数を伸ばすなど、震災による“プラスの影響”があった一方で、ユーザーが「無停電電源」という言葉に期待する内容と実際のUPS性能に差があることが影響して、3月21日の週以降は販売台数が減少している(それでも、ワンセグテレビ以外は前年度同時期より多い)。
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