3万円でいつもの映像が3Dに――偏光方式の3Dに対応した23型フルHD液晶「D2342P-PN」2D/3D変換ソフト付き

» 2011年04月20日 21時41分 公開
[ITmedia]
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偏光方式の3D立体視に対応した23型ワイド液晶ディスプレイ「D2342P-PN」

 LGエレクトロニクス・ジャパンは4月20日、3D立体視表示に対応した液晶ディスプレイ「D2342P-PN」を発表、4月下旬より発売する。価格はオープンで、実売価格は2万9800円前後になる見込みだ。

 D2342P-PNは、1920×1080ドット表示に対応する23型ワイド液晶ディスプレイ(LEDバックライト搭載)で、ディスプレイ側のフィルムにより右目用と左目用の映像を表示し、ユーザーが装着する偏光グラスで左右の目に分離する(脳内で立体に合成される)FPR方式(Flim Patterned Retarder:偏光方式)の3D立体視技術を採用しているのが特徴だ。視野角は上下160度/左右170度(3D時上下80度/左右12度)、コントラスト比は500万:1(ダイナミックコントラストオフ時1000:1)で、輝度は250カンデラ/平方メートル。ビデオ入力としてアナログRGB/DVI-D(HDCP対応)/HDMI(1.4a)を備える。

 同社はすでにアクティブシャッター方式の「W2363D-PF」も投入しているが、NVIDIAの3D Visionは、倍速駆動のディスプレイや対応グラフィックスカードも必要になることから、3D表示環境をそろえる際にトータルコストが高くなりがちだった。一方、偏光方式を採用したD2342P-PNでは、より安価に導入できるのがメリットだ。例えば、NVIDIA 3D Visionのシャッターグラスは、同期をとるエミッターとのセットで2万円前後だが、偏光グラスは1000円程度で購入できる。また、シャッターグラスはバッテリーを内蔵するため重量も重いが、これに対して偏光グラスは非常に軽いといった違いもある。

LG Electronics Monitor Marketing Team長のMichael Jung氏

 発表会の冒頭に登壇した韓国LG ElectronicsのMichael Jung氏は、「3D市場はテレビなどをはじめとして2010年から本格的に販売が始まったが、(3Dソリューションが)高価なことや、3Dコンテンツ不足が要因となって、いまだに基軸に載っていない状況だ」と振り返ったうえで、「今回投入する製品は、価格帯や周辺機器との互換性、対応コンテンツなどに考慮して開発した。激化する競争の中で、LGのFPRが3D市場の標準となるようにまい進していく」とあいさつした。

 続いて登壇したMoonhyun Nam氏は、アクティブシャッター方式に対する偏光方式の技術的優位性について解説した。エミッターの信号でシャッターグラスの左右を開閉し、立体視映像を作り出すアクティブシャッター方式は、その原理上120Hz以上で駆動する液晶ディスプレイが必要になり、クロストーク(映像の同期のずれてぼやけて見える)を防ぐために黒挿入すると170Hz程度のスペックが必要になるという。また、画面の輝度が極端に落ちてしまうという問題もある。

 一方、偏光方式では「安価なパネルを利用できるほか、画面の輝度もそれほど落ちず、クロストークや画面のちらつきもないため、ユーザーに負担を与えにくい」と説明。第三者試験認証機関のテュフ・ラインランドからフリッカーフリーの3Dモニターとして認証を受けていることを紹介した。「そして何より価格が魅力。今までのSG(シャッターグラス)とは違い、裸眼技術が(PC用ディスプレイで)出てくるまではFPRが最高の技術だと思う」と語った。

SG(シャッターグラス方式)とFPR(偏光方式)の違いを説明するMoonhyun Nam氏。FPRは画面が明るく、クロストークやフリッカーも少ないため、目に与える負担が少ないという

LGエレクトロニクス・ジャパンの道山涼司氏。ソフトウェアや3Dメガネを付属するパッケージで、すぐに3Dを楽しめるとアピール

 D2342P-PNの概要説明は、LGエレクトロニクス・ジャパンの道山涼司氏が担当した。D2342P-PNの特徴は大きく分けて3つ。1つはアクティブシャッター方式に比べて輝度が高く、3D映像を最適化するカラーエフェクト機能によって明るい画面を実現している点だ。また、ラインバイラインやトップ&ボトム、サイドバイサイドなど、さまざまな伝送方式に対応(HDMI入力時)しており、幅広い3Dコンテンツを楽しめる。

 2つめは偏光グラスで、軽量かつ電池交換が不要なため、手軽に利用できること。D2342P-PNのパッケージには標準の偏光グラス(16グラム)のほか、メガネに装着できるクリップオンタイプの3Dグラス(8グラム)も付属する。

 3つめが2D映像を3Dに変換するソフトウェア「TriDef」を付属する点だ。これによりDVDやDirectXベースのPCゲーム、HDMI(1.4a)で入力した家庭用ゲーム機の映像を3Dで楽しめるようになる(ただし、Blu-ray Discの3D変換には非対応)。また、3Dの深度調整にも対応し、視聴映像にあわせて自分好みの奥行き感に調整できる。なお、2Dから3Dに変換するTriDefの要求スペックは、CPUがCore 2 DuoまたはAthlon 64 X2以上、GPUがGeForce 8600 GT/ATI X1650 XT、メモリ1Gバイトと、比較的低い。

 道山氏は「2年くらい前のPCであれば動くし、(NVIDIAの3D Visionではないため)AMDのグラフィックスカードでも動く。3DグラスやGPUを追加する必要もない。今持っているPCでそのまま使えます。これまで10万円以上出さないと買えなかったような環境が、値ごろ感のある商品で簡単に楽しめるようになる。3点セットのついたD2342P-PNを買うだけでいつもの映像が3Dになる」とアピールした。

いつものゲームが手軽に3Dで楽しめるようになる(写真=左)。「Optimus Pad」の内蔵カメラで撮影した3D写真をHDMI経由でD2342P-PNに出力するデモも行われた(写真=中央)。通常タイプとクリップオンタイプの偏光グラスが付属する。メガネを着用している人でも違和感なく利用できる(写真=右)

 D2342P-PNの本体サイズは、546.4(幅)×407.3(高さ)×179.3(奥行き)ミリ、重量は3.5キロ。チルト角度は上15度/下5度でスイベルや昇降機構はない。このほか、75ミリのVESAマウントに対応する。

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