ラオスの首都、ビエンチャンでは、インターネットカフェが中心から郊外まで点在している。どこも雑多な雰囲気の中で10代の若者がオンラインゲームを楽しんでいた。利用料金は1分50kip(日本円で約0.5円)だ。プリンタを備えて文書の出力サービスも行っているが、ゲーム目的以外で利用するユーザーはほとんどいない。
ラオスのインターネット回線速度は意外にも、中国よりさほど遅くない(体感速度であるが。もちろん日本と比べたら明らかに遅い)。
若者がオンラインゲームに興じる雑多な空間という、アジアの新興国でよく見るインターネットカフェの風景だが、隣国中国でPC普及に貢献したという「QQ」が、どのインターネットカフェでもインストールされている(QQは、2000年代前半に登場した中国やその周辺諸国で最も利用されているチャット用アプリケーションで、アカウント総数は10億超といわれている。QQの利用者はメールの利用者よりも多く、ほとんどのビジネスマンは名刺にQQのアカウントとアイコンを印刷しているほどだ)。
店内のレイアウトも中央アジアの同業者より中国に近い。店内には低い仕切りで利用者のスペースが区切られ、それぞれのタワー型PCにはキーボードとマウス以外に、ヘッドフォンとWEBカメラが接続されている。机には、3000Kip(約30円)のコーヒーや6000Kip(約60円)目玉焼き&ソーセージセットなどの欧米風ファストフードならぶメニューが置いてある。
ビエンチャンにあるPCショップは、インターネットカフェに比べれば圧倒的に少ないが、そういう、主にショップブランドPCを扱うショップの店頭にも「QQ」のマスコットキャラクターがドデカッと貼られている。ラオスでPCを組むなり購入なりすると必ずQQがインストールしてもらえる。といっても、ラオス人がQQを使っているわけではない。ラオスに住む多くの中国人が主に利用しているという。
ちなみに、ラオス人と中国人の“住みわけ”はこれまで訪ねた中国近隣諸国の中で特に徹底していた。特に法律ですみ分けしているわけでなく、完全に“感情”に基づく自然発生的なものというが、繁華街で行っていた中国人の祭りに、地元ラオス人は一切参加していなかったり、ラオス人経営のショッピングセンターが身動きが取れないほどに混雑している一方で、中華系のショッピングセンターには客がほとんどいなかったりする。
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