かつてUSER'S SIDEやフェイスPC館が入店していた末広ビルの1階に、新ブランドのPCパーツショップ「PC DIY SHOP FreeT」がプレオープンをはたした。スタート時点の従業員数は13人。2010年11月末までT・ZONE.PC DIY SHOPで働いていたスタッフたちだ。
同店の森田氏によると、新店舗に向けて具体的に動き出したのは4月11日のこと。その後18日に運営会社を設立し、わずか10日の準備期間でプレオープンにこぎ着けたという。「T・ZONEが閉じた時点でそういう気持ちがありましたが、大震災もあって本当にどうなるか分かりませんでした。どうにか動き出せたのは、関係者みなさまのご尽力があってこそ。本当にありがたいです」と目を輝かせていた。
店内にはCPUからマザーボード、冷却アイテム、ネットワーク関連グッズにいたるまで、さまざまなコンセプトにあわせた自作マシンを一式組めるパーツがそろう。同店スタッフは「T・ZONE.PC DIY SHOPを濃縮した感じの品ぞろえになっています。これからもっと濃くしていきたいですね」と語った。
冷却アイテム担当の宇治氏も「自分の担当分でいえば、完成度はまだ7割です。これから最新の冷却パーツを組み込んだデモ機を置くなどして、どんどん濃い空間にしていきますよ」と意気込む。
店舗の方針も「より安く」ではなく「より濃く」とのこと。ボード類を担当する猪狩氏は「T・ZONEが持っていたいいエキス――新しいものを分かりやすく提示して、お客さんによさが伝わるように工夫していこうと考えています」と、接客のコンセプトを説明する。同氏はT・ZONEが廃業したあとも、自腹でPCパーツを購入するなどして、独自に最新パーツのベンチマークを行ってきた。そのテスト結果を載せた解説POPが店内のそこかしこに張られている。
また、扱う商品の独自性も推し進めていくという。森田氏は「スタート時点でMini-ITXマザーに注力しています。もしかしたら“痛キーボード”を販売するかもしれません」と語り、T・ZONE時代に話題を呼んだ同氏作の小型改造PCも、連休明けに展示する計画があることを明かした。そのほかにも、すでに新ブランド「Blue-Bus」の国内生産メモリの取り扱いを進めたり、メモリ購入時にメモリチェッカーで検査するサービスを計画したりと、独自色を高めている。
視点をアキバ電気街に移してみると、意欲的な新ショップの誕生を歓迎する声が多い。某ショップは「前にPCパーツを扱う新たなブランドの店舗が誕生したのが何年前か分からなくくらいでしたからね。正直、大震災があって街全体のダメージも小さくないので、活性化してもらえるなら大歓迎ですよ」と話していた。
行列の先頭でFreeTのプレオープンを待っていた男性も「やっぱりT・ZONEがなくなって寂しかったです。こうやって復活……というか新たに動き出してくれるのはうれしい」と喜んでいた。そして、ドスパラ パーツ館で働く元T・ZONEのスタッフも「特色のあるショップが増えるのは純粋にうれしいです。やっぱりアキバ全体でもPCパーツの存在感を示したいですからね。彼らなら個性的な店舗にしてくれると思います」とエールを送っていた。
そうした期待に応えるべく、13人のFreeTスタッフは、28日の営業後も、翌29日のグランドオープンや大型連休に向けて、着々と準備を進めているはずだ。
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