次にIntel Z68 Express搭載マザーボードで導入された“Virtu”を試していこう。Virtuを利用するには、BIOSの「iGPU Multi-Monitor」をEnableにする。その上で“d-Mode”の場合には「Initial Graphic Adaptor」を「PCIE/PCI」に、“i-Mode”の場合には「iGPU」に設定する。マルチモニタ機能を有効にした上で、GPUを認識する順位をd-Modeなら外付けGPU優先、i-Modeなら統合されたグラフィックスコア優先にするということだ。なお、BIOSで設定する項目の名称は各ベンダーの製品で異なると思われるので、それぞれマニュアルを参照していただきたい。
さらに、統合されたグラフィックスコアと外付けGPU双方のドライバを適用した状態で、Virtuのユーティリティを導入する。タスクトレイからVirtuのユーティリティを起動すれば、Virtuのオン/オフが実行できるほか、現在のモードも確認できる。
評価で利用したVirtuユーティリティの画面はシンプルで、従来のLucidチップ用ユーティリティと似ている。MainタブではVirtuの設定と確認、GamesタブではVirtuがGPUを切り替えるアプリケーションを指定する。Virtuを適用するのかしないのかを指定できるタブで、ユーザーはリストにないアプリケーションを追加できる。なお、インストール段階ですでに対応アプリケーションが登録されていた。
VirtuでIntel Z68 Express搭載マザーボードはどのような挙動と性能を示すだろうか。ベンチマークテストで確認してみよう。システム構成では、統合されたグラフィックスコアのほかに、GeForce GTX 470とRadeon HD 6970を用い、それぞれGPU単体構成とd-Mode、i-Mode構成でベンチマークテストを実行した。
LOST PLANET 2のDirectX 11版では、d-Modeがほぼ外付けGPUと同じスコアで、i-Modeはそれより数FPS低いが、それでも外付けGPUを使っていることが確認できる値だ。一方で、DirectX 9版では、d-Modeは外付けGPU相当のスコアだが、i-Modeは統合されたグラフィックスコアそのもののスコアとなっている。実際、DirectX 9版では、ベンチマークテスト中に表示されるGPU名が「Intel HD…」となっていた。
LOST PLANET 2はVirtuの対応アプリケーションリストに載っているが、DirectX 11版でDirectX 9版はリストにない。ただ、ベンチマークテストの結果を見る限り、d-Modeで外付けGPUが利用されているようだ。i-Modeで外付けGPUを利用するには、Lucidの対応が必要ということになる。なお、同じく対応リストに載っていないThe Last Remnantもi-Modeの挙動はLOST PLANET 2のDirectX 9と同様で、対応リストに掲載されているH.A.W.X.や3DMark Vantageは、i-ModeでもFPSがわずかに低下するものの外付けGPUが利用されていた。
なお、今回試した限りでは、i-Modeでもd-ModeでもQuick Sync Videoが利用できた。また、消費電力は、ピーク時とアイドル時を計測したが、i-Modeで低消費電力になる結果は得られなかった。外付けGPUを搭載するため、統合されたグラフィックスコアだけの構成と比べると消費電力はアイドル時もピーク時も増える傾向にある。
i-Modeの挙動と合わせ、有効になるグラフィックスコアの状況や、消費電力の傾向を考えると、Lucidのドライバが進化するまではd-Modeだけの利用でもユーザーとしては構わないということになるだろう。
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