1.15キロ/16.65ミリ厚の本体+ドック構成で復活した最上位モバイルノート――「VAIO Z」2011年PC夏モデル(1/3 ページ)

» 2011年07月05日 10時00分 公開
[ITmedia]

薄型軽量のモバイルノートと多機能なドックの2ピース構成を採用

 ソニーは7月5日、ハイエンドモバイルノートPC「VAIO Z」の2011年夏モデルを発表した。7月30日に発売する予定だ。従来同様、店頭販売向けの標準仕様モデルと、購入時に仕様をカスタマイズできるソニーストア直販のVAIOオーナーメードモデルを用意する。

「VAIO Z」2011年夏モデル

 VAIO Zは13.1型ワイド液晶ディスプレイを搭載した高級志向のモバイルノートPC。従来機種は2011年春モデルのマイナーチェンジが最後のリリースとなり、同年4月には販売が終了したが、2011年夏モデルでは完全な新設計のモバイルノートPCとして復活した。

 ちなみに2011年4月26日に行われたAndroidタブレット「Sony Tablet」の発表会にて、年内投入の予定と予告された「Ultimate Mobile PC」が、この新型VAIO Zとなる。

 新型VAIO Z最大の特徴は、従来機種で本体に内蔵していた外部GPUと光学ドライブを外付けの専用ドッキングステーション「Power Media Dock」として分離したこと。これにより、PC本体の薄型化と軽量化を進め、厚さ16.65ミリ、最軽量の構成で重量約1.15キロのフルフラットボディを実現した。また、バッテリー駆動時間も延ばしている。

 各種インタフェースはPC本体とPower Media Dockの両方に装備しており、机上で3Dグラフィックスのパフォーマンスや光学ドライブが必要な作業を行う場合はPower Media Dockを接続して使い、モバイル環境では薄型軽量の本体だけを使うなど、状況に応じて柔軟な運用が行えるセパレート構成のシステムになっている。

外部GPUと光学ドライブ、各種インタフェースを搭載した専用ドッキングステーション「Power Media Dock」を用意(写真=左)。VAIO Zの利用イメージ(写真=右)

薄型、軽量、高性能、高耐久、スタミナを追求した新設計のPC本体

 PC本体のサイズは330(幅)×210(奥行き)×16.65(高さ)ミリ、重量は約1.165キロ(VAIOオーナーメードモデルは約1.15キロ〜約1.69キロ)だ。従来機種の標準仕様モデルは本体サイズが314(幅)×210(奥行き)×23.8〜32.7(高さ)ミリ、重量が約1.37キロだったが、外部GPUや光学ドライブを内蔵しないことで、大幅に薄型化と軽量化を果たした。

 ボディは天面と底面にカーボン素材、パームレスト部にアルミニウム素材を採用。液晶ディスプレイ部の背面にSONYロゴが刻まれたアルミニウムのバーを装着しつつ、パームレスト直下に内蔵したリチウムポリマーバッテリーのカバーを底面から8カ所ネジで固定するなどして、軽さと頑丈さの両立を図っている。

 ボディは「VAIO S」と同様の意匠も見られ、側面を六角形の構造にして堅牢性を高める「ヘキサシェル」デザイン、アルミニウムの1枚板から成形したパームレスト/キーボード一体化ベゼル、使用中に正面から液晶ディスプレイのヒンジが見えない「コンシールドヒンジ」といったデザインを採用する。また、VAIO Sと同じように底面に装着し、フルフラットなシルエットを崩さずに使えるシート型拡張バッテリーのオプションも用意する。

厚さ16.65ミリのフルフラットボディを採用。液晶ディスプレイ部の背面に装着したアルミニウムのバーが堅牢性を高めるとともに、デザインのアクセントになっている(写真=左)。天面と底面にカーボン素材、パームレスト/キーボード一体化ベゼルと液晶ディスプレイ部背面のパーツにアルミニウム素材を用いた(写真=中央)。パームレスト直下に内蔵したリチウムポリマーバッテリーのカバーを底面から8カ所ネジで固定し、堅牢性を強化している(写真=右)

従来機のVAIO Z(右)と並べた様子。光学ドライブや外部GPUをドック側に出したことで、全体が大幅に薄くなっているのが分かる

 フルフラットな薄型ボディを実現するため、片面実装の8層マザーボードをはじめ、メモリ、SSD、冷却ファンユニットも専用の薄型設計とし、各種コネクタも汎用品と違う実装面積の小さいものとした。

 この薄型ボディにTDP(熱設計電力)が35ワットになる第2世代の通常電圧版Core iシリーズを搭載するため、新開発のデュアルファンユニットを内蔵し、底面の吸気口に加えて、キーボード両脇のエアインテークやキートップ下に設けられた穴やすき間から吸気するなど、放熱設計も改善している。

 さらに外付けのPower Media Dockに外部GPUを移動したことで、グラフィックスパフォーマンスを高めつつ、放熱性や静音性の向上にも配慮した。従来機種と比較した場合、3Dゲーム実行時のシステムに高い負荷がかかる状態において、騒音レベルが7デシベル(A)低減されたという。

本体を薄く仕上げるため、高さを抑えた8層基板による片面実装マザーボードを採用。メモリモジュールは両面実装だが、薄さを追求するため、専用モジュールとした

左が新型VAIO Zのデュアルファン、中央が2010年に発売されたVAIO Z(Z1)のファン、右が2009年に発売されたVAIO Zのファン(写真=左)。世代を重ねる度に、ファンが薄型化しているのが分かる。旧VAIO Zと比較して、ファンの厚みは4.5%、ヒートシンクの厚みは6%薄型化し、ファンを含む放熱部の占有体積を27%減らした(写真=中央)。ヒートパイプの厚さを2.5ミリから1.5ミリに薄く仕上げ、セットの厚さに合わせてブレードの形状を最適化、さらに2つのファンの羽根を枚数が違う素数(37枚と41枚)で構成し、各ファンを独立して制御することで、厚さを抑えつつ、デュアルファンの回転数や羽根枚数に起因する、うなるような騒音を静音化した。また、システム全体のエアフローを改善し、風量は25%向上させた(改善ありなしで比較)。底面にはデュアルファンの吸気口が設けられているが、ボディの形状(ヘキサシェル)に合わせて、六角形にデザインされている(写真=右)

 性能面では、VAIO Zシリーズとして初めてSandy Bridgeこと第2世代のCore i5/i7を採用。PCプラットフォームをCalpellaからHuron Riverへ世代交代した。PC本体のみでは、CPU内蔵グラフィックスコアのIntel HD Graphics 3000を用いる。DDR3メモリも1066MHzから1333MHzに高速化した。

 SSDは従来機種の最大クアッドSSD RAID 0構成から、全モデルでデュアルSSD RAID 0構成に統一。ただし、VAIOオーナーメードモデルでは、SSDとホスト間をつなぐSerial ATAインタフェースを従来機種の3Gbpsから6Gbps変更することで、第1世代VAIO ZのデュアルSSDに比べて約3倍スピードアップしたという(標準仕様モデルのSSDは3Gbps)。また、VAIO Sと同様、電源ボタンを押してからWindowsが立ち上がるまでの時間を短縮する「Quick Boot」にも対応し、約13秒(仕様によって変動)の速さで起動する。

 バッテリー駆動時間については、標準仕様モデルが標準バッテリー(6セル)で約9時間、別売のシート型拡張バッテリー(6セル)装着時で約17.5時間、VAIOオーナーメードモデルが標準バッテリーで約8.5〜9時間、拡張バッテリー装着時で約16.5〜17.5時間(仕様によって変動)をうたう。従来機種に比べて、標準で約1.5時間、最大では約6.5時間バッテリー駆動時間が延びている(従来は交換式の大容量バッテリーだったため、最大でも公称11時間)。

SSDモジュールは、基板の表と裏にシングルSSDを実装し、1枚でRAID 0構成のデュアルSSDとなっている(写真=左)。サイズは従来機種のデュアルSSDと同じだが、VAIOオーナーメードモデルではSATA 6Gbpsに対応した。装着時もフルフラットな形状が保てるシート型の拡張バッテリーをオプションで用意(写真=右)。拡張バッテリーにはエアフローを確保するための溝が掘られている

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