さて、バッテリーを外した後は、底面に見えているネジをすべて外す。また、底面の右上と左上に小さなカバーがあり、その下にネジが1本ずつ隠されているので、その2本も外しておく。これらのネジを外すと、ボトムカバーを丸ごと分離できる。
ボトムカバーを外すと、内部パーツのレイアウトが一望できる。見るからにスペースの余裕がまったくない、パーツがみっちりと敷き詰められた内部構造だ。薄型化を図るため、極薄モバイルノートPC「VAIO X」と同様、通常とは逆方向の底面側からキーボード面に向かって各パーツを実装した構造になっている。
基板を裏側から見ているので少々分かりにくいが、中央に片面実装のマザーボード、その左下にデュアルSSDモジュール、その上にドック接続インタフェースのコントローラを実装した基板、そして左端にフルサイズのMini PCI Expressカードスロット(ワイヤレスWAN用)と各種インタフェースの基板を配置。マザーボードの右上にはハーフサイズのMini PCI Expressカードスロット(無線LAN/WiMAX用)、右端にはデュアルファン構成のヒートシンクが並ぶ。
このパーツレイアウトについては、「今回は汎用のPCパーツがほとんどなく、独自開発のものが多いため、最初はとにかく皆で手探りで調整していった」と只野氏は語る。今回は17ミリ以下という薄さのターゲットが重要だったため、マザーボードは片面実装とし、メモリモジュールも独自の薄型タイプを用いており、各パーツを縦に重ねず、横に並べるように配置することで、薄型化を追求していった。
結果として薄さは16.65ミリにおさまり、フットプリントは第2世代VAIO Zと比較した場合、奥行きが同じ210ミリ、横幅が16ミリ長い340ミリとなった。横幅が少し広がった理由について井口氏は「従来と同じ主要キーで約19ミリのキーピッチがあるキーボードユニットを搭載すると、ほぼ横幅が決まる。今回は薄さ重視でキーボードユニットの下に各種コネクタを重ねて実装できなかったため、左右にずらして配置したところ、この横幅がギリギリ最小というサイズだった。とはいえ、各コネクタも汎用品とは違う実装面積の小さいものを採用し、小型化を追求している」と説明する。
次はネジで固定されたSSDモジュールを取り外す。新型VAIO ZではストレージがすべてデュアルSSD(RAID 0対応)に統一された。標準仕様モデルの容量は128Gバイト(64Gバイト×2)、VAIOオーナーメードモデルで選択できる容量は512Gバイト(256Gバイト×2)、256Gバイト(128Gバイト×2)、128Gバイト(64Gバイト×2)だ。従来機種が採用していたクアッドSSDモジュールや2.5インチHDDは、本体の薄型化に伴い実装するスペースが確保できなくなったため、今回は省かれている。
デュアルSSDは第2世代VAIO ZやVAIO Sと同じサイズの独自形状モジュールだ。基板の両面にフラッシュメモリとコントローラをそれぞれ実装し、1枚の基板の裏表でRAID 0構成のデュアルSSDを実現する。
さらに、VAIOオーナーメードモデルでは、SSDの接続インタフェースが従来の3Gbpsから6Gbpsに高速化しているのが見逃せない(標準仕様モデルのSSDはVAIO Sと同様、3Gbpsで接続)。VAIOオーナーメードモデルのデュアルSSDは、各コントローラがそれぞれ1基(計2基)の6Gbps対応Serial ATAポートを使う仕組みだ(チップセットのIntel HM67 Expressは、2基の6Gbps対応Serial ATAポートをサポートしている)。端子は従来と同じ独自形状となる。
新型のデュアルSSDについて、金森氏は「実装面積の関係でクアッド構成は選べなくなったが、従来比で2倍の転送速度に対応したため、ホストとSSD間のコマンド発行時間が短縮され、実データの転送時間も速くなった。よって、大容量のシーケンシャルアクセスも小容量のランダムアクセスも速度が高速化している。Way数が容量によって異なり、実は容量が増えると動作速度が少しずつ速くなるのもポイント」と、その優位性を述べた。
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