マルチデバイス時代の“管理しない管理術”――新・富豪的ストレージ活用法QNAPでもっと便利に(1/3 ページ)

» 2011年07月12日 11時30分 公開
[瓜生聖,ITmedia]

あふれるデバイスと、散在するデジタルコンテンツ

QNAPの4ベイモデル「TurboNAS TS-412」

 現在のネットワークストレージを取り巻く環境は、ものすごい勢いで変化しつつある。3Gに代表される携帯電話回線網の高速化、Wi-Fi/WiMaxなどデータ通信の多様化、カバーエリアの拡大、モバイルルータのような新デバイスの登場と、ありとあらゆる場面で安価に高速通信ができるインフラが整いつつある。また、安価なNetbookに始まったポータブルネットワークデバイスは、高解像度ディスプレイとタッチパネルインタフェースを持つスマートフォンや、メディアビューアとしても利用価値の高いタブレットによって市場が塗り替えられた。

 さらに自宅環境でもアナログ停波という大きな転換期を迎え、PCと直接接続ができるHDMI端子を備えた大画面液晶テレビの普及率も著しい。今や、あらゆるところで、さまざまなデジタルデバイスが利用されている状態だ。

 しかし、メディアの再生環境の多様化に引きずられ、データそのものが分散化し、管理しづらくなっているケースもまま見られる。スマートフォンにしかないデータ、PCにしかないデータは、せっかくのマルチデバイス時代の利点を生かし切れないだけでなく、データロストの危険性を高めることにもなりかねない。大切なデータの入ったHDDを胸ポケットに入れたまま、水を出しっぱなしの洗面台の前で身を乗り出すようなことを日常的に多くの人が行っている。

 今回はテラオーダーのマルチデバイス時代における、QNAPのTurboNASシリーズを使ったデータ管理術の一例を紹介しよう。

アナログデータからデジタルデータへ――紙情報のデジタル管理

 住宅事情を鑑みると、紙媒体で情報を蓄積することはコストが大きい。生活を続けていくとどんどん増えていくモノに対し、住空間の容積は引っ越しでもしない限りまったく変わらない。当然ながら破たんはまぬがれない。これに対して最近よく見かけるのが「捨てる技術」「断捨離」といった、モノを減らす取り組みだ。とはいえ、意識改革まで求めるのはハードルが高い、と感じる人もいるだろう。そこで有効なのが紙情報のデジタル化だ。

書籍を送ると裁断して送り返してくれる裁断サービスは1冊50円〜90円(送料別)。画面は初回のみ送料込みで20冊1500円のお試しパックがあるカットブックプロだ。スキャンまで行う業者もあるが、形態によっては法的な問題が残る。ドキュメントスキャナは枚数の少ない郵便物や書類にも有効なので購入するメリットは大きい

 デジタルデータは、物理的な情報密度が年々飛躍的に向上している。3.5インチHDDが主流となって20年ほどになるが、その容積は変わらぬまま、容量だけが1000〜2000倍になった。その半面、書籍や雑誌、その他の紙媒体に印刷された情報の密度は変わらない。単行本10冊の保管に必要な容積は確実に単行本1冊の10倍に匹敵する。しかし、デジタルデータであれば、例え不老不死の漫画家が奇妙な冒険の作品をPart100まで出しても同じ容積に収納することができるだろう。

 とはいえ、現在の電子書籍の状況では標準規格が定まったとは言い難く、ビューアやDRMの方式などマルチデバイスでのポータビリティ、使い勝手のよさ、今後のサポート状況などに不安が残る。また、すでに所有している紙媒体からの移行をサポートするようなサービス、例えば原本を所有していたら手数料程度で電子版を利用する権利が得られる、といったものが今すぐに整うとは思えない。現時点で将来を見据えつつ、着手できるデジタル移行としては自力でのデジタル化、いわゆる“自炊”ということになるだろう。

 実際、オートシートフィーダを搭載したドキュメントスキャナの人気はこの時流の裏付けでもある。以前はスキャナと言えばフラットベッドスキャナを指していたが、プリンタ・FAXと統合した複合機に取って替わられ、今は定番の「PFU ScanSnap S1500」、省スペース型のキヤノン「DR-C125」など、4万円前半でのドキュメントスキャナが一番の激戦区となった。

ScanSnap S1500はスーパーファインモードでも両面20枚/分で読み込める。手元にあるといろいろ捗る(写真=左)。裁断済書籍の買取りサービスもある。画面は裁断本.com。JPEGならQMobileを使ってスマートフォンからでも読むことができる。現時点ではQMobileはあくまで写真・音楽・動画用なので使い勝手は専用のコミックビューア等には劣る。今後に期待したい(画面=右)

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