ハイエンドモバイルの破壊と創造、そして――新型「VAIO Z」を徹底攻略する(後編)最先端“Z”を集中テスト(4/5 ページ)

» 2011年07月12日 17時30分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

Windows 7の高速起動も大きな魅力

Windows 7の再起動時間。PassMark Rebootorを10回実行した6〜10回の平均値

 新型VAIO Zは高速起動技術の「Quick Boot」に対応しているため、PassMark Rebootorを使ってWindows 7の再起動時間(終了→起動)も計測した。

 ドック接続時は少し時間がかかっているが、ドックなしでの再起動時間で24秒というのは非常に高速だ。「VAIOの設定」から高速起動の設定を有効にしても、標準仕様モデル(VPCZ219FJ/B)では0.5秒の高速化にとどまったが、VAIOオーナーメードモデル(VPCZ21AJ)では3秒ほど高速になった。

 参考までに計測した旧VAIO Z(Z1)では52秒だったことからも、明らかに高速化されていることが分かる。

 ちなみに、ソニーは電源ボタンを押してからWindows 7が立ち上がるまで、約13秒の高速起動を実現した(仕様によって起動時間は異なる)としているが、実際に第3世代デュアルSSD搭載のハイスペックなVAIOオーナーメードモデル(VPCZ21AJ)で試したところ、ほぼ13秒でWindows 7のようこそ画面が表示され、15秒程度でデスクトップ画面が表示された(以下の動画を参照)。電源オフの状態から、ここまで速く起動できるのはありがたい。

第3世代デュアルSSD搭載のハイスペックなVAIOオーナーメードモデル(VPCZ21AJ)でWindows 7を起動した様子。ほぼ13秒でWindows 7のようこそ画面が表示され、15秒程度でデスクトップ画面が表示された

3Dゲーム時の動作音はドック接続時のほうが低い

 バッテリー駆動時間のテストは、BBench 1.01(海人氏・作)で行った。BBenchの設定は「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」および「10秒間隔でのキーストローク」だ。無線LANでネットに常時接続し、WebブラウザはInternet Explorer 9(32ビット版)を指定した。電源プランはバランス(ディスプレイ輝度40%)でテストしている。

バッテリー駆動時間テスト(BBench 1.01)のスコア

 結果は、標準仕様モデル(VPCZ219FJ/B)で約5時間5分(残り5%で休止状態へ移行)、これに拡張バッテリーを装着した状態で9時間43分(残り10%)、ハイスペックなVAIOオーナーメードモデル(VPCZ21AJ)で4時間12分(残り5%)だった。

 JEITA測定法によるバッテリー駆動時間の公称値は、標準仕様モデル(VPCZ219FJ/B)が標準バッテリーで約9時間、拡張バッテリー装着時で約17.5時間、VAIOオーナーメードモデルが標準バッテリーで約8.5〜9時間、拡張バッテリー装着時で約16.5〜17.5時間とされているが、今回のテストはネットに常時接続し、輝度を上げた状態なので差が開いて当然だ。

 ちなみに以前、ほぼ同じ条件で計測したVAIO S(SA)のテスト結果を見ると、公称値のバッテリー駆動時間が長い新型VAIO Zのほうが、駆動時間が短くなっている。テスト環境などを完全にそろえて同時実行したテストではないので、単純に比較はできないが、標準バッテリーの容量はVAIO S(SA)の49ワットアワーに対し、VAIO Zが45ワットアワーとわずかに少なく、液晶の輝度が同じ40%設定でも明るさや消費電力が異なるため、JEITA規格によるバッテリー駆動時間の公称値と違う傾向が出ることはあり得ることだ。

 それでも標準仕様モデル(VPCZ219FJ/B)は、標準バッテリーのみで常時接続環境の実測値で5時間以上という好結果を残している。拡張バッテリーを装着すれば、ハードなモバイル環境にも十分耐えられるはずだ。本体の薄さと重さを考えれば、スタミナは相当なものだろう。

ドックの採用で静音性や放熱性はどう変わったか?

「VAIOの設定」では放熱制御を3段階に変更できる。テストは「バランス」で実行した

 静音性に関してはまずまずだ。アイドル時、低負荷時は静かだが、CPUやGPUに大きな負荷がかかると、かなり大きな音がする。高い音のノイズなので、人によっては気になるかもしれない。ドック接続時のテストについては、本体から約18センチほど後ろに設置してテストしたが、騒音計の数値には1デシベル影響があるかないかといったところ。これくらい離して使えば、体感的にもよほど静かな部屋でないと分からないだろう。

 興味深いのは、3DMark06実行時はドック接続時のほうが明らかに静かだったことだ。CPUとGPUに大きな負荷がかかる3Dゲームのような処理では、熱源が本体内の1カ所に集中してしまうCPU内蔵グラフィックスより、本体のCPUとドックのGPUが分かれていたほうが効率よく冷却できるということだろう。

 熱設計については、ファンのある右側面側の底面がかなり熱くなる。ボディが薄型なぶん、表面のキーボードにもそれなりに熱は伝わってくるが、手がより多く触れるパームレストにそれほど伝わってこない点は救いだ。この薄さを考えれば、放熱面でも健闘しているといえる。

左が騒音テストの結果、右が発熱テストの結果。発熱テストはPCMark05と3DMark06を連続実行し、終了した直後のボディ表面温度を放射温度計で計測した

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