岩手と宮城、福島の3県を除き、7月24日に地上アナログ放送が終了した。その直前に各所で従来のアナログテレビから地デジ対応テレビへの買い換え需要が高まったが、その波はアキバのPCパーツショップにも及んだようだ。
ツートップ秋葉原本店は「6月後半ごろから地デジチューナーカードやユニットを求める人が増えてきたと思います。それがラストの1週間で急激に上昇した感じですね。正直、ここまでの動きがあるとは思いませんでした」と振り返る。
半数を超えるショップでそうした特需が起きているとのことで、チューナー関連の在庫は街全体で薄くなっていた。それでも完全に在庫ゼロといったショップはなく、テレビに接続するタイプのチューナーユニットよりは入手しやすいのが現状だ。
TSUKUMO eX.は「ここ最近、PC用ではなく、『アナログテレビに付けられるチューナーないですか?』と聞かれることがすごく多いですね。残念ながらPCパーツショップなので、USB接続のユニットか内蔵用のカード型しか扱っていないんですけど、どうもチューナーを求めて初めて来店される方が多いみたいです」と話していた。
こうした話は、幅広い客層が往来する中央通り沿いのショップだけでなく、PCパーツショップ密集エリアでも聞かれた。そして、わずかながらも、そこから新規の自作PCユーザーが生まれる動きもあるという。
クレバリー1号店は「テレビ用チューナーを探している人は本当に多いです。お客さんの層も本当に老若男女問わずといった感じ。やっぱりウチには置いていないんですけど、いろいろと説明したら、『ならPC用のユニットを買う』とおっしゃる方もいらっしゃいました。これをきっかけに自作PCに興味を持ってくれたらうれしいですね」と期待を込める。
また、一般層に比べて目立った動きではないものの、従来からの自作PC層の地デジチューナー特需も起きている。某ショップは「少し前……7月中旬までは、あえてアナログ放送が見られるカードを探す人がちらほらいました。たぶん、放送のラストを見たいということでしょう。でも、本流はやっぱり地デジチューナーです。PT2みたいにマニアックなタイプを求める層ではなく、もっと普通にAVを楽しみたいという層の方の人気が伸びていると感じますね。量販店で地デジテレビやチューナーが品薄になっているので、テレビの代わりにPCを使うという人も少なくないと思いますよ」と解説してくれた。
そうした需要を受け、2基のデジタル3波チューナーを搭載したアイ・オー・データ機器の「GV-MVP/XS2W」といったハイエンドクラスのモデルが各ショップで人気を集めている。TSUKUMO eX.は「せっかくPCを地デジ化するなら、より機能性の高いものが欲しいと考える人が多いみたいです。ハイエンドといっても2万円弱ですから、グラフィックスカードやCPUに比べたら手を出しやすいというのもあるかもしれません」と話していた。ちなみに、最も安価な部類の地デジチューナーカードは4000円前後で出回っている。
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