もはや“3万9900円のノートPC”でもここまで使える時代――「HP Pavilion g6-1100AU」に驚く“Sabine”のコストパフォーマンスは?(1/3 ページ)

» 2011年08月02日 11時15分 公開
[鈴木雅暢(撮影:矢野渉),ITmedia]

新プラットフォーム採用の低価格ノートPCを試す

「HP Pavilion g6-1100 Notebook PC」の直販限定AMDエントリーモデル(g6-1100AU)

 日本ヒューレット・パッカードの「HP Pavilion g6-1100 Notebook PC」は、15.6型ワイド液晶ディスプレイを搭載したバリューノートPCだ。

 インテルモデルに続いて登場したAMDモデルでは、開発コード名「Llano」の名で呼ばれたGPU統合型CPU(Fusion APU)を搭載しており、実用十分なエンターテインメント性能を備えながらも驚くほどの低価格を実現している。このAMDモデルは、同社直販の「HP Directplus」のみで展開されるモデルだ。

 今回はその中でも3万9900円からという安さで購入できるエントリーモデル「HP Pavilion g6-1100AU」を入手したので、気になる新プロセッサの性能やバッテリー駆動時間などをしっかり検証していこう。

シンプルで品よくまとまったデザインのボディ

ゆるやかに傾斜のついたフラットに近いフォルム。つるんとしたシルバーの天面に「HP」のロゴがあしらわれている

 ボディは直線的な傾斜がついたフラットに近いフォルムで、天面は濃いめのシルバー、パームレストは天面と同じカラーとメタリックグレー(ほぼブラックに近い)のツートーンカラーを採用している。

 天面とパームレスト/キーボードベゼルの表面には美しい光沢があり、キズに強いフィルム転写技術の「HP Imprint」を導入する一方、液晶ディスプレイのフレームと底面から側面下部にかけては樹脂製のマットな質感であっさりとまとめている。天面の左下にシンプルに配置した「HP」のワンポイントロゴが効果的で、シンプルながら、上品な仕上がりだ。

 マット調の部分はもちろん、光沢の部分も指紋などは比較的つきにくく、ベトベトすることはないが、まったく付着しないわけではない。立体的な凹凸をつけた処理に比べると、ベタッという密着感を多少感じる。この辺りは好みが分かれるところだろう。とはいえ、全体的な見た目は4万円を切るような低価格ノートPCとは思えない質感がある。

 ボディのサイズは378(幅)×246(奥行き)×30.5〜38(高さ)ミリ、重量は約2.36キロだ。実測でも2372グラムと、ほぼ公称値通りの重量だった。15.6型ワイド液晶ディスプレイ搭載ノートPCとしてはかなりコンパクトで軽い部類に入る。HPでは隣の部屋などに気軽に移動して使う「ホームモバイル」という使い方も想定しているようだ。

 底面の奥に配置しているリチウムイオンバッテリーの容量は47ワットアワー、公称のバッテリー駆動時間は約6時間をうたう。ホームモバイル用途にはもちろん、万一の停電の際などにも心強い。

 付属のACアダプタは、実測でのサイズが45(幅)×109(奥行き)×30(高さ)ミリと比較的コンパクトなほうだが、電源ケーブルが3ピンでかさばるタイプで、電源ケーブル込みの重量は約361グラム(電源ケーブルなしで約250グラム)と少し重かった。電源ケーブルの代わりに、コンセントに直接差して使えるウォールマウントプラグ(重量約41グラム)も付属しているので、状況に応じて使い分けるとよいだろう。

底面の奥に公称6時間駆動のリチウムイオンバッテリーを装着(写真=左)。付属のACアダプタは大きくないが、電源ケーブルが太くてかさばる(写真=右)

Llanoを核とするSabineプラットフォームを採用

 基本システムには、AMDの「Sabine」(開発コード名)プラットフォームを新たに採用している。Sabineは、Llanoの名で呼ばれたAMD Aシリーズのプロセッサ(Fusion APU)を中心とするノートPC向けのプラットフォームだ。Fusion APUの第1弾として投入されたAMD Eシリーズを中心とする「Brazos」(開発コード名)プラットフォームよりも格上のミドルレンジクラスを担う。Sabineプラットフォーム採用のノートPCは、国内販売されるメーカー製PCとして初めてだ。

 そのFusion APUにはAMD A4-3300M(1.9GHz)を搭載。ノートPC向けのAMD Aシリーズとしては最廉価のモデルで、Athlon IIベースのデュアルコアCPUと、DirectX 11対応のGPUコアであるRadeon HD 6480Gを1つの半導体チップに集積したものだ。

 CPUの動作クロックは1.9GHzだが、高負荷時にはTurbo CORE技術により、最大2.5GHzで動作する。2次キャッシュ容量は2Mバイトを備える。GPUコアのRadeon HD 6480GはRadeonコア(シェーダプロセッサ)240基を内蔵しており、HD動画の再生支援機能としてUVD3にも対応している。TDP(熱設計電力)は35ワットとされており、デュアルコアの第2世代Core iシリーズと同様だ。チップセットはAMD A60M FCHを用いる。

 新しいPCプラットフォームだけに、性能などピンと来ない部分があるだろうが、その辺りは後ほどベンチマークテストで確認していきたい。

CPU-Zの情報表示画面。CPUには、AMDのFusion APU「A4-3300M」を採用している。CPUコアの動作クロックは1.9GHz、高負荷時にはTurbo COREにより、安全な範囲内で1コアのみ最大2.5GHzで動作する。Super PI/mod1.5 XS実行中に幾度か2.5GHz超で動作している場面を確認できた

GPU-Zの情報表示画面(画像=左)。AMDのA4-3300Mは、Athlon IIベースのCPUコア(デュアル)とともに、GPUコアとしてDirectX 11対応の「Radeon HD 6480G」を統合している。シェーダプロセッサであるRadeonコアは240基とそれほど高性能というわけではないが、オンライン系のゲームやカジュアルゲームを快適に楽しめるだけの性能はある。パームレストにはAMDのデュアルコアCPUとRadeonを搭載することを示すシールが張られていた(写真=右)

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