“Core i7+256Gバイト”の11インチMacBook Airは買いなのかAirレビュー追補編(1/3 ページ)

» 2011年08月03日 14時00分 公開

安さも魅力だが、ハイスペックな構成も見逃せない新型Air

見た目はそのままに(バックライトキーボードは付いているが)、中身を最新アーキテクチャに刷新した新世代の11インチMacBook Air

 OS X Lionの発売とともにモデルチェンジした新型「MacBook Air」が人気だ。Sandy Bridgeの開発コード名で知られる第2世代Core iシリーズをはじめ、Thunderboltやバックライトキーボード、最大256Gバイトのフラッシュストレージを採用するなど、極薄アルミユニボディの外観はそのままに飛躍的な進化を遂げた。

 それでいて、11インチモデルは8万4800円、13インチモデルは11万800円から購入できるという、非常に高いコストパフォーマンスを実現しているのだから、世間の高評価にもうなずける。

 PC USERでは2回に渡り、11インチモデル下位機(MC968J/A)と13インチモデル下位機(MC965J/A)のレビュー記事を掲載したが、今回は1.8GHz Core i7と256Gバイトフラッシュストレージを搭載したハイエンド構成の11インチモデルを入手したので、気になるパフォーマンスやバッテリー駆動時間を比べていこう。


まずはOS X Lion環境で小手調べ

 今回入手した11インチモデルは、1.8GHz Core i7、4Gバイトメモリ、256Gバイトフラッシュストレージといったスペックだ(Apple Storeでの価格は14万2800円)。2011年8月3日時点で選択できる最高のスペックとなっている。

 テスト結果を比較した製品は前回のレビューと同様、新型MacBook Airが11インチモデルの下位機(MC968J/A)と13インチモデルの下位機(MC965J/A)、旧MacBook Airが仕様の異なる2機の11インチモデルだ(1.4GHz Core 2 Duo搭載の「MC506J/A」と、CTOで1.6GHz Core 2 Duo、4Gバイトメモリを選択したハイスペック構成)。

テスト結果を比較したモデル
製品名 新型11インチ(CTO) 新型11インチ(MC968J/A) 新型13インチ(MC965J/A) 旧型11インチ(CTO) 旧型11インチ(MC506J/A)
CPU 1.8GHz Core i7 1.6GHz Core i5 1.7GHz Core i5 1.6GHz Core 2 Duo 1.4GHz Core 2 Duo
CPUコア数 2コア 2コア 2コア 2コア 2コア
CPUキャッシュ 4MB 3次キャッシュ 3MB 3次キャッシュ 3MB 3次キャッシュ 3MB 2次キャッシュ 3MB 2次キャッシュ
CPU TDP 17W(GPU含む) 17W(GPU含む) 17W(GPU含む) 10W 10W
メモリ 4GB(1333MHz DDR3) 2GB(1333MHz DDR3) 4GB(1333MHz DDR3) 4GB(1066MHz DDR3) 2GB(1066MHz DDR3)
グラフィックス Intel HD Graphics 3000 Intel HD Graphics 3000 Intel HD Graphics 3000 GeForce 320M GeForce 320M
フラッシュストレージ 256GB 64GB 128GB 128GB 64GB
液晶ディスプレイ 11.6型ワイド 11.6型ワイド 13.3型ワイド 11.6型ワイド 11.6型ワイド
解像度 1366×768 1366×768 1440×900 1366×768 1366×768
発売時の価格 14万2800円 8万4800円 11万800円 12万8645円 10万8800円

※記事初出時、表の一部に誤りがありました。おわびして訂正いたします(2011年8月20日14時/PC USER編集部)

 まずはOS X Lion環境での簡単なテストから。CINEBENCH R10とCINEBENCH R11.5によるレンダリング、およびiTunesによるエンコード時間を測定した。

 CINEBENCH R10のMultiple CPUスコアは7709だ。いずれもデュアルコアCPUなので、動作クロックとキャッシュ容量の差がそのままスコアに反映されている。新型11インチ下位機のMC968J/Aが6500、新型13インチのMC965J/Aが7494なので、前者より1.2倍弱の性能向上が見られたが、後者とはほとんど差がないという結果になった。もちろん、旧型11インチモデルと比べた場合は、約2.26〜2.6倍という大きな性能向上が確認できる。OpenGLのスコアもほぼ同じ傾向だが、新型11インチ下位機のMC968J/Aとの差は約1.5倍と広がった。CINEBENCH R11.5のスコアもCPUの差が順当に出ている。

 iTunesによるエンコードの実測値は、Apple Losslessファイル(再生時間10分)をAACに変換する時間を計測したもの。変換時間は11.1秒で、新型11/13インチ下位機に比べて、CPUスペック通りの高速化が見られた。旧型11インチモデルより約1/3もの時間短縮が図れるため、作業効率を大きく向上できるだろう。

CINEBENCH R10のテスト結果(グラフ=左)、CINEBENCH R11.5のテスト結果(グラフ=中央)、iTunesによるエンコード時間(グラフ=右)

64ビット版Windows 7をインストール

 続いて、OS X Lion標準のBoot Campで64ビット版Windows 7 Ultimateをインストールし、各種テストを行った。

 アップルの製品情報では1.8GHzのデュアルコアCore i7とされているが、Windows 7上でCPU-Zの情報表示を見てみると、プロセッサ・ナンバーはCore i7-2677Mとなっている。これはTDP(熱設計電力)が17ワットの超低電圧版Core i7で、Hyper-Threadingによる4スレッド(1コアにつき2スレッド)の同時実行に対応し、Turbo Boost 2.0による最大2.9GHzのクロックアップも行える。実際、CPU-Zを表示したまま、CPUに高負荷をかけると、動作クロックが2.9GHzまで上昇するのが確認できた。

 ちなみにCPU-Zでは、11インチモデル下位機(MC968J/A)の1.6GHz Core i5がCore i5-2467M(Turbo Boost 2.0で最大2.3GHz)、13インチモデル下位機(MC965J/A)の1.7GHz Core i5がCore i5-2557M(Turbo Boost 2.0で最大2.7GHz)と表示される。これらもHyper-Threadingによる2コアで4スレッドの同時実行や、Turbo Boost 2.0によるクロックアップ動作に対応しているが、動作クロックの最大値がCore i5-2467MとCore i5-2557Mで400MHzも差がある点に注目したい。標準の動作クロックでは差が小さいが、最大値の違いが後述するベンチマークテストの結果にも現れている。

 また、Core i5-2467MはCPU内蔵グラフィックス(Intel HD Graphics 3000)の最大クロックが1.15GHzで、Core i5-2557MとCore i7-2677Mの1.2GHzよりわずかに低いほか、vPro、VT-x、Trusted Executionといった機能に対応しない(Core i5-2557MとCore i7-2677Mはこれらにすべて対応)といった違いがあり、上位グレードのCPUと差が付けられている。

1.8GHz Core i7を搭載した11インチモデルのCPU-Z情報表示(画像=左/中央)。Core i7-2677Mは高負荷時に安全な範囲内で動作クロックを上げるTurbo Boost 2.0や、省電力機能のEIST(Enhanced Intel Speedstep Technology)をサポートし、状況に応じて動作クロックをダイナミックに変動させてパフォーマンスと消費電力のバランスを取る。GPU-Zの情報表示(画像=右)。従来機と異なり、外部GPUではなく、CPU内蔵のIntel HD Graphics 3000を利用している

 Windows 7標準の性能評価機能であるWindowsエクスペリエンスインデックスのスコアは、CPUが6.9まで上昇した。新型11インチ下位機のMC968J/Aが6.3、新型13インチ下位機のMC965J/Aが6.6なので、CPUクロックの差が反映されている。

 メモリとグラフィックスのスコアは5点台だが、フラッシュストレージの採用で全体的なスコアは高めでバランスが取れており、OS X Lionはもちろん、Windows 7を快適に操作できるパフォーマンスを備えていることが分かる。

Windowsエクスペリエンスインデックスのスコア

デバイスマネージャ画面。フラッシュストレージは「SM256C」とあり、Samsung製となっている

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