「Z68A-GD80」は、MSIのIntel Z68 Express搭載マザーボード最上位モデルとして、5月に出荷された。MSIマザーボードの訴求ポイントで長寿命、安定動作を実現する品質基準「Military Class II」や自動オーバークロック設定機能「OC Genie II」、高効率電源回路を実現する「DrMOS」、電源フェース自動切り替え機能「Active Phase Switching」(APS)など、従来のMSI製マザーボードで導入してきた独自機能を継承する。
その、Z68A-GD80が市場に登場して1カ月もたたないうちに、COMPUTEX TAIPEI 2011のMSIブースで、Z68A-GD80のバージョンアップモデル「Z68A-GD80(G3)」が公開された。基板のレイアウトや搭載するスロット、オンボードで用意した専用コントローラなど、主な仕様は、Z68A-GD80と変わらない。(G3)でほぼ唯一の相違点で、かつ、最大の特徴となるのが「PCI Express Generation 3.0」のサポートだ。
Generation 3.0(Gen.3)を有効にするには、このバスをサポートするCPUの搭載が必須となるため、現時点でこの恩恵をユーザーは受けられないが、MSIによると、転送レートが高速化しており、“Sandy Bridge”世代のCPUを搭載した構成でも、Generation 2.0に接続した構成と比較して9〜13%の性能向上が確認できたという。
性能向上の検証は、後日紹介するとして、ここでは、基板に搭載された拡張スロットやオンボードで用意されたコントローラから、Z68A-GD80(G3)の機能を確認していく。
CPUソケットは“Sandy Bridge”世代に対応したLGA1155を載せている。Ivy Bridgeのパッケージがどのようになるかについて正式なアナウンスはないものの、とりあえず現時点では、Sandy Bridge世代のCPUを載せるしかない。MSIの関係者は、PCI Express Gen.3のコントローラはIvy Bridge世代のCPUに統合されると説明している。
CPUに供給する電源回路は10フェーズ構成で、フェーズ数はほかのマザーボードベンダーのハイエンドマザーボードより少ないが、DrMOSによる高効率回路となっているので、同等の効率は実現できるとMSIは説明する。システムの負荷に合わせて有効なフェーズ数が可変するが、有効になっているフェーズ数はオンボードのLEDで確認できる。
MSIが訴求する品質基準「Military Class II」は、同社が独自に定めた基準として、「Super Ferrite Choke」「Hi-C Cap」「高品質Solid Cap」の実装が求められる。Z68A-GD80(G3)でも、CPUソケットの回りにこれらのチップが並ぶ。
メモリスロットは、DDR3対応を4基用意する。1.5ボルトメモリに対応するほか、クロックでは定格の1333MHzを超える、1600MHz、2133MHzもMSI独自のオーバークロックで設定が可能となっている。
拡張スロットは、PCI Express x16対応スロットが3基、PCI Express x1対応が2基、PCI対応スロットが2基用意されている。3基あるPCI Express x16対応スロットのうち、最も下にある第3スロットは4レーンのみが利用可能。そのほかの2基は1基だけの利用では16レーン、2基のスロットにグラフィックスカードを差したマルチGPU環境では8レーン2基の組み合わせで利用する。
この第1スロットと第2スロットは、PCI Express Gen.3に対応しており、第3スロットはPCI Express Gen.2対応となる。スロットの色はいずれもブルーだが、スロット末端にあるカードロックの形状が、Gen.3対応とGen.2対応で異なるので外観でも区別できる。
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